豆腐のない世界がNotoSansの夢? | ATQの「知っておこう」vol.2
ATQデザイナーのトラです!
最近、フォント整理をしていて「Noto Sans JP」と「Noto Sans japanese」の2種類のフォントがあり何が違うかわからず困ってしまいました。
調べたところ2種類の違いは、Noto sansの日本語正式対応版が「Noto Sans JP」で、2014年にベータ版としてリリースされたのが「Noto Sans Japanese」になります。
今回は、なんとなく知っているようで実はとても奥が深い。鉄板和文webフォント「Noto Sans」について深掘りしていきたいと思います!
Noto Sansの概要
Notoは「全ての人のためのデジタル言語」の制作を目標に、GoogleとMonotypeが共同で制作に取り組んだプロジェクトです。
そのサンセリフ体の総称がNoto Sansということになります。
Notoプロジェクトは、5年もの歳月をかけて、世界中のデザイナーや言語の専門家、文化学者など多くの人の協力のもと、ユニコードコンソーシアム規格に含まれている800以上の言語に対応できる単一の書体ファミリーを開発しています。
しかも、無料で使えて、商用利用もできます。頭が上がらないですね。
Noto Sansの開発背景
開発の背景には、情報の保存という意識が強くあり、インターネットを通じてあらゆる情報にアクセスできるようになっているが、同時に今ある文化の保全の役割も担う必要があるといった考えのもと開発が進んだようです。
そのため、メジャーな言語だけでなく、使用者の少ない言語や、現在ではほとんど使われなくなった言語など、世界中のありとあらゆる文字体系をフォントとしてデータ化しオープソース化しています。
Noto Sansの由来
皆さんはNoto Sansの名前の由来をご存知でしょうか?
というのが由来になっており、2つ目の英文を直訳すると「もう豆腐はいらない」となります。
冗談っぽいですが本当です。僕も最初に知った時は思わず文章を読み直しちゃいました。詳しくはNoto Sansの公式ページをご確認ください。
ここでいう「豆腐」とは、PCにフォントデータが入っていないことで表示される小さい四角を指しています。
文字化け現状を豆腐と呼ぶのはユニークだけど、なんで日本語の豆腐?と思ったのですが、なんと一部の日本人が使っていた業界語録が世界共通認識になって広まったとのこと。
アルファベット圏では使用する文字は26種類のアルファベットと一部の記号で統一されているので、文字化けが発生することがなく、彼らからすると馴染みのない現象です。
ところが、日本語や中国語など複数の文字形態 + 数万文字の漢字を必要とする環境では記入したはずの文字が表示されない現象が度々起こります。
当時の日本人エンジニア達がこの現象のことを豆腐と呼んでいたのが全世界に広まり四角い文字化け記号 = 豆腐と浸透したらしいです。
Noto Sansは、文字の保全つまりは、この文字化け現状を起こさせないことを目的として開発されています。
前述した開発背景にもつながりますが、世界のあらゆる文字を残してやるんだ!といった強い熱意を感じますねよ
Noto Sansの種類
現在Google FontsではNoto Sansのファミリーが157種類登録されています。
また、サンセリフ体のNoto Sans以外にもセリフ体のNoto Serifも存在しています。
「種類が多すぎて結局何を使えば良いかわからない」
「何となく全ファミリーダウンロードしてみた」
なんて方も少なくはないのでしょうか?
Noto Sansの名称は基本的に、その言語が使われている国名もしくは、書体名が名前につきます。
国名なら、その地域で使用される言語に適した書体が、
書体名なら、その書体が収録されています。
なので無闇矢鱈にたくさんのファミリーをダウンロードするのは、使用しないフォントでPCの容量を大量に使ってしまうのでオススメはしません。
Noto Sans何を使えば良いのか問題
日本でweb制作をする際に、使用可能性が高いファミリーは主に以下の4種類になるかと思います。
Noto Sans CJK JPってなんぞやって感じですよね。直前の命名規則の紹介からいきなり例外の登場です。
CJK = China Japan Korea の頭文字で中国語:簡体字・繁体字と日本語:ひらがな・カタカナ・漢字と韓国語:ハングルが一緒に収録されています。
その中でも日本語を優先表示するので「CJK JP」となります。基本的な考え方は命名規則と同じですね。
ちなみに韓国語を優先表示したい場合は「Noto Sans CJK KR」、簡体字優先だと「Noto Sans CJK SC (Simplified Chinese)」、繁体字優先だと「Noto Sans CJK TC (Traditional Chinese)」を使用することになります。
Noto Sans CJK Variableは2021年4月10日に追加された新しいファミリーです。名前にもあるようにバリアブルフォント化したNoto Sansです。
バリアブルフォントは通常、字幅やウェイト、斜体などのスタイルごとで分割するデータファイルを、フォントファミリー全体を1つのファイルで管理することができるものです。
僕もあまり詳しくないので、詳しくはこちらを確認してください。
源ノ角ゴシックとの違い
共同開発の際に、Googleからリリースされたフォントが「Noto Sans」Adobeからリリースされたのが「源ノ角ゴシック」となります。
なので、フォントデザイン自体は全く同じになります。
2つのフォントを重ねると全ての文字がピッタリ重なるので皆さんも試してみてください!
よくNoto Sansと源ノ角ゴシックは全く同じ書体だ。と言われますが、実は微妙に異なります。細かな違いについてはすでに素晴らしい記事が投稿されているのでこちらでご確認ください!
結局、何を使うの?
ケースバイケースかとは思いますが、大枠は以下の通りでいいかと思います。
Noto Sansと源ノ角ゴシックはGoogle Fontsか、Adobe Fontsどちらを使うか好みでいいかと思います。
Noto Sans CJK JPがAndroidとChrome OSにシステムフォントとして採用されているので、一部のユーザーに対しては高速化が期待できるのでNoto Sans CJK JPがやや優位かも?といった感じです。
注意点としてパッケージするときに、Adobe Fontsは収集されないので、それを嫌うならGoogle FontsのNotoファミリーの方がいいかもですね!
終わりに
今回はNoto Sansの制作背景やファミリーの特徴などを深掘りしていきました。フォントの制作意図や、込められた意味などを理解することでフォントの選び方や、捉え方、表現の幅広さなど、デザインに対してより深い次元で取り組めると個人的には考えています。
僕自身もNoto Sansについて調べているうちにこのフォントのことをもっと好きになれたと思います。調べながらスケールの大きさに、終始圧倒されてました。
デザインの機能的側面と意匠的側面を表裏一体で併せ持つ、フォントの楽しさを今後もお届けできると嬉しいです!
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