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「ごめんね。さようなら、じゅ-くん」

じゅ-くんに出会えたこと、それは夢のような時間でした。

たった1日半の時間だったけれどこの子は精一杯生きたんだと思います。


* * *


こんにちは、あとりえ・あっしゅです。

先週木曜日に庭の巣から落ちたカラスの子を「じゅ-くん」と名付け記事を書きました。 

今日は、じゅ-くんとさようならするまでのお話、少し悲しいけれどお付き合いいただけると嬉しいです。


今は、もういないじゅ-くん。

でもあの時、確かに私の目の前にいました。

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翌朝、こんな風に庭の真ん中にじっとして、そして、幼鳥らしい鳴き声で何度も鳴いていました。

急いでミルクに浸したパンを用意して、じゅ-くんに近づくと、やっぱり人間が怖いんだね、茂みの方へと歩いて逃げて行ってしまいました。

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怖がらせちゃってごめんね、じゅ-くん。

でも、パンを食べて!

生きることは食べること。

食べないと死んでしまうよ。

昨日と同じようにお箸でパンを挟んでくちばしへ持っていく。

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あらあら、恐怖のあまり、転んだ姿勢のまま、パンもくちばしに挿んだままのじゅ-くん。足が宙に浮いちゃってる…。

今日はこんな形でのごはんタイム。

くちばしに挿んだパンは上手く呑み込んでくれて、今朝はたくさん食べてくれた。

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ごはんタイムが終わり、遠くからズ-ムして写真を一枚撮る。


この写真が最後の一枚になるなんて、この時は思ってもいませんでした。


1時間ほどしてから、庭に出て、じゅ-くんを探す。


どこにもいません。


また1時間後に探す。


いない。


そして、また1時間後…


こんなことをその日、日が暮れるまでずっとしていました。


でも、じゅ-くんはどこにもいなかった。


翌日になり、またじゅ-くんを探す。


もういません。


その日、わたしは車で出かける用事があり、道に出て運転し始めました。

しばらく車を走らせると、道の真ん中に「あれ、犬が出てきちゃってる…」

轢かないように、車のスピードを落とします。

追い越し際に、その犬をよく見ると、それは犬ではなく

キツネの子でした。

私の住む田舎、森にはきつねが生息しています。

でも、人里に出てくるのは稀なんです。

えさを求めてやって来る野生の動物達…。

彼らも生き延びるために精一杯です。


運転しながら、じゅ-くんのことを考えました。

最初にじゅ-くんを見つけた時、家族で決めたこと。

それは、じゅ-くんを自宅のカ-ヴに入れて保護しないということでした。

天敵から守るためには必要だったかもしれない。

でも、そうすることが動物にストレスを与えて命を奪うことになるかもしれないと判断しました。

今になって思うと、わたしは、カ-ヴで冷たくなったじゅ-くんを見たくなかったんだと思います。

* * * 


土曜日の午後、主人が庭で、伸びた草を芝刈り機を使って手入れをしていました。

じゅ-くん探しを諦めずにしていた私に、主人は、カラスの羽根がたくさん散らばっているところがあったよ、と言いました。

羽根だけしかなかったので、これは、キツネの仕業です。

キツネは獲物をその場で食べるのではなく、捕らえたら何処かへ運んで行く習性があります。

その羽根のある場所へ未だに行くことができません。

ごめんね、じゅーくん。

きみを助けてあげることができなかった。

たった1日半のおがぁさんでした。

でも、今日見た、道に出てきたキツネも同じなんだ。

生きるために食べなくてはならないね。

カラスにはカラスの、キツネにはキツネの世界がある。

みんな、食べられて、食べて、そうして世界は成り立っているから。

じゅ-くん、わたしに会いに来てくれてありがとう。

ごめんね。さようなら、じゅ-くん。


最後まで読んでくださりありがとうございます。
いつも皆様からのコメントがとても嬉しく、noteを続けていく励みにもなっています。
今回はコメントをしづらい内容だと思いますので、どうぞ皆様気になさらずにそのままにしてくださいね。


あとりえ・あっしゅ
















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