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突然父親が金日成になってしまったら…!?歴史に翻弄された父子を描く「22年目の記憶」

みなさまこんにちは♡今日紹介する映画はこちら!

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「22年目の記憶」(2014年韓国、2019年日本公開)です。


あらすじ(引用)
1972年、韓国では初の南北首脳会談に備え、その予行演習を極秘裏に準備していた。そして北朝鮮の最高指導者・金日成の代役として、売れない舞台役者のキム・ソングンが抜擢される。ソングンは必死に役作りに励むも、そんな父の姿に幼い息子テシクは戸惑いを募らせていく。22年後、年老いたソングンは完全に自分を独裁者・金日成と思い込んでいた。テシクはある目的の為にそんな父を施設から引き取り、渋々ながらも同居生活を始めるのだったが…。

キャスト
テシク:パク・ヘイル
父が金日成役を射止めたことで人生を翻弄される事になる一人息子のテシク。演じるパク・ヘイルと言えば個人的には何といっても映画「殺人の追憶」の犯人役ですね。登場シーンは少なかったのに、細面で綺麗な顔…という犯人像にドンピシャでものすごく印象に残っています。その後も「グエムルー漢江の怪物ー」等数々の映画で出演している韓国を代表する俳優さんですね。

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キム・ソングン:ソル・ギョング
売れない役者でしたが、大切な一人息子との生活を守る為、金日成役のオーディションに参加します。次第に役に飲み込まれていって…。演じるソル・ギョングさんといえば韓国の名優!!言わずと知れた名作映画「ペパーミントキャンディ」に主演していた方ですね。もうこの方が居るだけで一気に映画の重厚感が高まりまる韓国イケオジ枠俳優。「シルミド」「1987ーある闘いの真実ー」でも超重要なキーパーソンを演じています。

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この映画はぜひ邦題だけではなく、原題も知って頂きたい作品です。
原題は”나의 독재자”=”私の独裁者”です。北朝鮮の独裁者である金日成役になりきってしまった父の存在がタイトルになっています。


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みどころ
歴史に翻弄された父と、そんな父に翻弄された息子。家族はどうやって再び一つになるのかー

なぜソンングンの精神は崩壊してしまったかと言えば、実は結局1972年に南北首脳会談は開催されなかったんですよね。その後時は流れに流れ、2002年の金大中政権下でやっと初の南北首脳会談が開催されました。実に28年の月日を要したわけです。売れない俳優だったソングンが半監禁状態で必死に研究して体得した金日成役でしたが、用無しとなり歴史の闇に葬り去られる事になってしまいました。役者さんでも、いわゆる憑依型と言われるスタイルで役を演じる方は、役が終わった後もしばらく元の自分に戻るのに時間がかかるとか。ソングンも金日成役を披露する機会を失い、全てを投げうち人生を掛けて必死に取り組んだものが急にゼロになってメンタルが崩壊してしまったんですね。

ちなみにソングンがカンヅメになって演技指導を受ける場所は、当時「南営洞対共分室」と呼ばれ、大いに恐れられていた場所です。薄暗い狭い部屋で、左奥には水攻め用と思われる小さな風呂の様なものがあります。

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映画「1987」でソウル大生が拷問死した場所としても登場しました。ソングンの演技指導中も隣室から悲鳴が聞こえてくるシーンがあったり、ソングンに北朝鮮の歴史や政治について指導する学生が出てくるのですが、どうやらアカ(反政府的共産思想者)として捕えられたらしい学生だったり…と、うーん恐ろしい環境…。こんな環境下でカンヅメにされるだけでおかしくなりそうです。

断絶状態になっていた父ソングンと息子のテシクが、紆余曲折をへて再び家族として一つになっていく様子はまるで、断絶した南北朝鮮がいつの日か一つになれたらという夢のような希望を間接的に表しているようにも見えます。日本の映画では少ないですが、韓国映画は政治や歴史的背景を取り上げたものが多くありますね。取り上げるべき政治的、歴史的トピックが多い分韓国映画は深みのあるドラマが多く生まれるとも言えます。「22年目の記憶」は、南北首脳会談に備えてリハーサルが行われたという史実にヒントを得て制作された映画だとか。韓国映画らしいユーモラスなコメディ要素あり、シリアスな歴史的背景あり、泣けるヒューマンドラマありの作品です。

個人的にはパク・ヘイルのお顔の美しさが尊くて終始見とれておりました♡とあるサイトでは「日本ではあまり知られていないかもしれない」なんて書かれているパク・ヘイル。そんなことないよ~!と思うのですが、実は彼の日本語のwikipediaって無いんですよね(びっくり)。どなたか作ってあげてください。映画「22年目の追憶」は現在Netflixでご視聴頂けます。

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