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苗床日誌vol.5-石渡久照さん-「地域づくりの原点はサッカー”’出来ない”を”出来る”に変える熱い想い」

こんにちは。naedocoコミュニティマネージャーのみっすーです。
会員さんの暮らしや働きなどを紹介する「苗床日誌」
第5回目となる今回はオープン当初からの会員であり、naedocoの1人目の会員でもある石渡久照さんです。

「じぃじ」の愛称で街の人からも親しまれている石渡さん。熱海市出身で市役所職員としても熱海の活性化に関わってきた石渡さんの原点や、現在活動のメインとなっている地域づくりについて色々お伺いしました。

海辺のあたみマルシェの様子

「”出来ない”を”出来る”に変える」


ーまずは石渡さんの経歴を教えてください。
大学卒業後に上京し民間の企業で働いていました。新卒のタイミングで熱海市役所で働くことに誘われていたのですが、その時はお断りしました。

ーそうだったのですね!断った理由や、その後働くことになったきっかけは何だったのですか?
公務員という仕事に対してネガティブなイメージがあったのが断った理由です。一方で東京には住めないという気持ちもありました。その中で、結婚の話などもあり熱海に戻ってくることを決めました。

ー熱海に戻り、市役所で働いてみた時に感じたことなどありますか?
入社当時は、同期が賢そうに見えて壁を感じましたが、実際はすごく友好的でお酒を交わしたりもして楽しかったです。
ただ、どうしても自分自身が全体的な前例踏襲の仕組みに馴染めなかったというのがあります。自分はその仕組みや考えを変えたかった。色々な規則や縛りがあるのは当たり前ですが、最初から「出来ない」と決めつけるのではなく、「どうすれば出来るか」を考えたかったのです。その考えを色んな部署で実践してきました。

ー石渡さんの、その熱い想いはどこからくるのでしょうか?
まずは、自分が民間の企業で働いていたというのが一つの理由です。その時は「出来ない」と決めつけるのではなく、「どうすれば出来るか」を考えるのが当たり前でした。
あとは、市役所で働き出してから出会った人の存在も大きかったです。その人は当時20歳ぐらいの方で、市の職員ではなく民間のシステム開発で入ってきているという事もあり自分と感覚が似ていました。業務の中で、ふと疑問に思ったことを聞いた時にその人自身も分からないことがあったみたいなのです。多くの方は「今までがこうなので、こうしてきました。」」という返答をしたり、誤魔化したりしていたのですが、その人は一緒に考え、調べてくれました。こういう人の存在があったからこそ、簡単に「無理です。」と突き返すようなことはしたくない。と強く思いました。

「原点はサッカーにある。まちづくりから「地域づくり」へ」

ー石渡さんのお話を聞いていると、「出来ない」と最初から決めつけるのではなく「どうすれば出来るか」を考える。という言葉が何度も出てきました。それだけ、その想いが根本にあり、ずっと活動されてきたのだなと感じました。
市役所職員として約37年間、「出来ない」を「出来る」に変えるという信念を持ち勤められてきた石渡さんですが、取材後に改めて原点を教えてくれました。

「私の原点はサッカーにあります。」ボランティア精神や、コーディネート、マネジメントなど、今そういうものが在るのはサッカーがあったからです。今でも幼稚園の子供達にサッカーを教えてますが、昔は熱海銀座商店街のお店の店主の人たちにも教えていました。

ーそうなんですね!その信念を持ち、現在は「地域づくり」をしていますが、「まちづくり」ではなく「地域づくり」を行っているのは何故ですか?

地に足をつけて、自分で動きたいという想いがあったからです。最初は移住や二地域居住促進などのまちづくりに関わっていたのですが、市來さん始め、若い人が色々と動いてくれています。そういう方が目立つ表部分で活動してくれた時に、より地域の中の課題に関して誰がやるのだろうか。と思うようになり、市民が主体となった地域課題に取り組む「地域づくり」に興味を持ちました。最初は自分自身が色んな勉強会に参加し、それをきっかけに講座のコーディネーターをやり始め、今は西部地区地域づくり事務局を西部地区町内会長連合会の役員の方々と立ち上げ、事務局スタッフをしています。

ー具体的にはどういうことをやっているのですか?

地域の人、特に高齢者の方の課題であるゴミ出しや買い物などについて、利用者と協力者のマッチングを行ってます。単発のボランティアではなく継続的に取り組めるように謝礼金も発生させています。利用者は1人世帯の高齢者、協力者は周辺地域の主婦層が多い状況です。その他にも、道路の除草作業や児童が登校する際の見守りなど、些細なことだけど、地域の大きな困りごとなどにアプローチしています。

ー街全体でみると些細なことかもしれませんが、その地域で日々暮らす人にとっては大きな課題ですよね。
最近ではお祭りやひな祭りなどのイベントもやっていますよね。

地域の活性化や住民の交流を目的として今宮えびす市を開催しました。

ー私も写真で今宮えびす市の様子を見ましたが、すごく賑わっていましたね。
石渡さんが今後目指すものなどはありますか?

西部の地域づくりは課題解決だけでなく、一つのモデル作りとしてもやってきました。今後は西部地区に限らず、色々な地域を跨いで活動したいです。地域によって特色が全く違うのですが、まずは自分が地域の中に入り込み、その場所で主となる人を見つけ、繋がり、コーディネートしたいなと思います。地域には本当に様々な課題があります。表立って見えるのは「少子高齢化」です。ただ、その課題以外にもたくさんあります。「この場所に住みたい!」や「子育てがしやすい環境」というものをつくっていかないと地域はよくなっていきません。マニュアル通りに出来ないのが地域づくりなのです。若い世代の人がどうワクワク、楽しく地域の活動などに参加してくれるかが、今後の課題でもあります。

ーきっと全国のどの地域にも様々な課題があると思います。その課題に向き合い続けるモチベーションはありますか?
モチベーションというか嬉しいことはやっぱり、地域の人たちが喜んでくれることです。その中でも若い人や子育て世代のママさんたちがもっと、集まりワイワイ・ガヤガヤ出来る機会があるといいなと思います。

ーここまで石渡さんの核となる想いや現在の活動、今後の展望まで本当に様々なお話を聞かせていただきました。ふと石渡さんが仰った「自分の中に「出来ない」という言葉はない」。この言葉ってすごいですよね。きっと、口にするのは簡単なことだと思います。ただ、石渡さんはその言葉をずっと形にしてきました。熱海に暮らす人や温泉の魅力を発信するためのツアーを開催したり、収穫体験を実施したり。地域づくりとしてより地域に入ることで、小さな声を拾っていく。それも「出来ない」と返すのではなく「どうしたら出来るか」を考え行動に移す。まちづくりに関わるものとして、本当に尊敬しています。

これからも石渡さんの活動を応援しています。お話を聞かせていただき、ありがとうございました。

写真提供:石渡さん


取材・記事:naedocoコミュニティマネージャーみっすー

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第1回〜第4回までの記事はこちらから↓
https://note.com/atami_naedoco/m/meafe47e7a12c


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