【ハイタッチ。】実話/ディサービスから
「はいたっち。」
ディサービス 外まで響く笑い声
何人かいるおじぃちゃんおばぁちゃんは
みんなで歌を歌っていた
でも1人だけ、ぼーっとして
浮かない顔のおばぁちゃんがいた
みんなが笑っている間も
表情一つ変わらない
おばぁちゃん
じっと見つめられたけど
何を考えているんだろう?
「ふみさん、トイレに行きましょう」
「ふみさん、お風呂にいきましょう」
「ふみさん、ふみさん、ふみさん、」
そのおばぁちゃんの名前は
ふみさん
ふみさんは庭にあるミカンの木を見つめたままぼーっとしている
私はふみさんのことがわらなくて
ただただ、見つめているばかりだった
たまに、縁側にとまった雀をみて
少し目が笑ったような…
奥の方から職員の女性がきた
ふみさんの前に来ると右手をパーの字にした
「ふみさん、はいたっち」
するとふみさんは右手を勢いよく
ポン。
とその手に合わせた
「こうやってね、はいたっちするとね、ふみさんいつもニコニコしてくれるの。とても優しいのよ、ふみさん」
職員の女性の目は嬉しそうだった
私は恐る恐るふみさんと目を合わせて
右手をパーの字にして前に出してみた
ゆっくりだったけど
ふみさんの手がこっちにやってきた
笑った
ふみさんは本当に優しい目をしていた
驚いた
「たっちしてくれたの?
ふみさん、はいたっち好きなんだね」
なんでだろう
認知症を患っていた
私のおばぁちゃんと似ている
そんな雰囲気を感じた
一緒におりがみを折ってニコニコ笑っていた
おばぁちゃんに
不思議、だった
それからは
ふみさんとのはいたっちが
なんだか嬉しくなった。
..........
このストーリー実話です!
介護職員時代に
ディサービスという現場で
おじぃちゃんおばぁちゃんと触れ合うなか
感じたものだったり感動したものを読み語り作品にしております。
もう1作、ひとり芝居を上演した作品もあり
今度ご紹介できればと思います
コロナウィルスで大変なこの世の中も
認知症を患っている方
そのご家族、関わるヘルパーさん
全国各地で様々なストーリーがあるかと思います
認知症高齢者で行方不明になっている方が
凄い数おられるというニュースや記事も何度か見ました。
私が小学生の頃
祖母はアルツハイマー型の認知症でした。徘徊もあり行動や発言に変化があってからたまに会うと病気を理解できずおばぁちゃんに対して怖い、と思うことがありました。
縁あってディサービスで仕事をして認知症の方々と触れ合うなかで「感情は忘れていない」という大事なことに気が付いて
表現ツールを使って配信したいと思い
ここにupしています
ちなみに、この名前も
そのディサービスで
名付けてもらいました。
今日かあす歌
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