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お米、ラーメン、生徒会  もりたからす

白米が苦手だ。

弥生時代に生まれていたら隅っこの方で「縄文は良かった。今じゃ若いやつらがどこもかしこも水田にしやがる。大体なんだあの薄っぺらい土器は」と愚痴をこぼしていたと思う。

(最近では縄文晩期から稲作が定着していたと考える説が主流だが、そうだとしてもやはり私は日陰で文句を言うだけである。)

日々の生活においても私の白米嫌いは徹底しており、炊飯に際してはもち麦や雑穀を加え白米度の低下に努めるし、放っておけば麺類ばかり食べてしまう。

ところで、主食としての麺類と雑穀米を比べると、どうしても後者の方が体に良さそうというか、丁寧な暮らし感がある。

そこで前者、とりわけラーメンなぞ食べる折には、言い訳として大量の野菜を一緒に茹でがち。

一方で3食雑穀米の日などはもう内臓から美貌が確定した気になって、ついおかずにヒレカツとか選んじゃう。

この「野菜ラーメンと雑穀カツ丼どちらが健康的?問題」は長年私を悩ませている。

こういう時に「いやいや、雑穀米で野菜を食えや」などと正論をぶつけてくる相手とは友達になれない。なんか便通とか良さそうで怖い。

「ヒレカツ」というワードで思い出したことがある。

中学時代、会話の中で「ヒレ」を「フィレ」と発音したら生徒会のメンバーに爆笑された。

不本意であった私は辞書を引き、その綴りが「filet」であることを証明した。思えばあれがフランス語との出会いだったかもしれない。

生徒会では、私は事務局長という役職に就いていた。

事務局とは、正副生徒会長と各委員会の正副委員長から構成される「生徒会」の議事や業務一般を担当する部門であり、所属する事務局員は3年生各クラスから1名ずつが役員待遇で選出されていた。

その事務局を司る事務局長が私であった。これほど多くの部下を持つ役職は生徒会広しといえど他にはなく、私こそが王の中の王であり、将の将たる器であったことは議論を俟たない。

人事権を掌握する生徒会長が幼稚園からの幼馴染であったことから縁故抜擢の可能性も捨て切れないが、とにかく私は絶大な権力を有し、1年という長期に渡りその実力を遺憾なく発揮したのである。

結果として、翌年からは事務局の構成が変更され、「局員は各クラスから1名ずつ選出する。局長は特にこれを選出しない」となった。

どうも我が生来の不精、おっちょこちょい、手抜き、早退等々が露見し「これ別に局長とかいらなくね?」と職員室方面で話題になったらしいのだ。

独裁者の地位に就きながら、結果として組織そのものを民主化してしまうこの手腕、どう考えても地方公立中の生徒会におさまる器ではない。ほとんどゴルバチョフである。

当記事は稲作に始まり、紆余曲折を経て遂にソ連崩壊に到達した。何が何やら意味が分からないが、素敵な未来はすぐそこだ。



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