星間鉄道会社謹製(超短編)
「眠れないのですか」
星間鉄道の車掌に声をかけられた。
「なんだか頭が熱くって」
「宇宙の景色にのぼせてしまう方は多いんです。よろしければこれを」
車掌が肩掛けカバンから取り出したのは、青白く光るタオルだった。座席から腰を浮かして受け取ると、手にひんやりと吸い付いてくる。
「氷の惑星に生息する雪原ボルの毛で編まれています。首筋や額を冷やしてみてください」
よき旅を。言い残して、車掌はコンパートメントから去った。
首筋にタオルを当ててみる。ひんやりして気持ちがいい。
車窓の向こうには、相変わらず闇が広がっていた。どこまでも続く終わりのない闇。
けれどよく見れば、ところどころに光る星がある。青炎の月、白銀の星、淡い緑のガス惑星。
見つけた星を数えていると、段々まぶたが重くなってきて……。
終
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