見出し画像

高校生発 ロールモデルをみつけよう! #7 あすびと福島インターン 紺野由晃さん

取材日:2021年7月4日

私たち高校生が地域活動で関わっているあすびと福島。
こちらに東北大学2年生の紺野さんが1年間大学を休学しインターンとして活動しています。
紺野さんは私たちと同じ原町高校の出身で、私たち「あすびとユース」の先輩でもあります。
私たちの活動の時には、さりげなくフォローを入れてくれるような、謙虚で優しい紺野さん。紺野さんがどのような想いを持ち、大学を1年間休学してインターン活動をしているのか、震災から現在に至るまでのお話と紺野さんの思いを伺いました。

〈10年前の東日本大震災と南相馬〉

東日本大震災が起こった当時、紺野さんは小学校4年生。
大掃除の最中に大きな地震に襲われました。
紺野さんがいた小学校から3キロほど海側の地域が、津波で大きな被害にあっていることは、後から知ったそうです。
今回、当時津波で大きな被害があった場所に改めて行きました。
10年経ったいま、当時の写真と亡くなった方のお名前がある慰霊碑が津波の恐ろしさを伝えています。

渋佐地区慰霊碑

津波の被害があった沿岸部には、いま、福島ロボットテストフィールドができ、太陽光発電所が並び、未来に向かって生まれ変わろうとしています。

画像3

紺野さん、そして私たちが住んでいる南相馬市にも10年前の大地震と津波、そして福島第一原子力発電所の事故の影響がありました。
紺野さんの住んでいる原町区は、原子力発電所から約25キロの場所。
既に風評被害で物流が滞り、目に見えない放射線から家族を守ろうと多くの市民が避難を選択しました。

画像4


紺野さんのご両親も2人の子どもを守ろうと避難を選択しました。
紺野さんにとって避難生活はどのようなものだったのか、前後も含めお話を伺いました。


【紺野さんと東日本大震災】

東日本大震災を経験したのは、所属していたミニバスケットボールのチームが県大会で準優勝を決めた1週間後でした。
原子力発電所の水素爆発で飛散した放射線の影響で、紺野さん一家は南相馬市から約60キロ離れた郡山市の親戚の家で、1か月ほどの避難生活を送ります。
その後福島市へ移動。約9ヶ月間、地元を離れて過ごしていました。
仕事の関係で南相馬市に戻った両親に会えない寂しさや、屋外で遊べないというストレスもあってか、夜なかなか眠れなかったり体調を崩したりなど、
震災の影響を受けた紺野さんですが、「悪いことだけじゃなくて良いこともあった」と当時を振り返っています。
紺野さんは、現在もバスケットボールを続けている生粋のスポーツマン。
福島市では、縁あってバスケを続けることができました。
クラブ活動に打ち込み、校庭を皆と走り回るなど、 体を動かすことで少しずつストレスが解消されていき、紺野さんの生活は明るくなっていきました。
今の落ち着いた大人っぽい紺野さんが、体育の時間や鬼ごっこではしゃいでいたという話は、いい意味で新鮮でした。

またこの時期は「兄としてしっかりしなきゃ」という責任感を紺野さんに芽生えさせました。
私たちにも、あすびと福島スタッフの皆さんにも信頼されている紺野さん。
皮肉にも、紺野さんの素敵な人間性は、震災という特殊な環境下で養われた側面もあるのかもしれません。

紺野_プロフィール

【中高時代〜逆境をポジティブに〜】

スポーツ少年として楽しい日々を過ごしていた小学校時代。
しかし、中学では一転、「なかなか辛い時期だった」と語ります。
実はすごい人見知りだという紺野さん。進学後は、自分から初対面の人に話しかけられない、など人間関係の構築に苦労したそうです。
そして追い打ちをかけるように、心の拠り所であったバスケットボールで、利き腕の右肩を大怪我。選抜チームの活動に、参加が叶わなくなりました。
ふさぎ込み、一人で本を読んでいた日々だったとのことです。

しかし、紺野さんはそこで折れませんでした。
「右手が使えないなら、慣れていない左手の練習をすればいい」
逆境をポジティブに捉え直し、努力し始めた紺野さん。その結果、バスケでは両利きのプレイヤーとなり、困難をプラスに変えることに成功します。
高校進学後は、人間関係も好転。高1の文化祭を機に、少しずつ積極的に振舞うように意識し、友達を増やしていきました。そして最終的には生徒会役員まで務め上げます。

「誰にでも挫折や迷いのせいでネガティブになってしまうことはある。
 だからネガティブな気持ちからポジティブな気持ちへ変換する事、
しようとチャレンジする事が大事。」

人間関係に苦労したり挫折を経験した紺野さんだからこそ、この言葉は私たちに力強く響きました。

【アメリカ留学とあすびと福島 〜紺野さんの転換期〜】

ポジティブに変化し始めた生活の中で、紺野さんにさらなる転機が訪れます。高校2年に挑戦した、アメリカ留学プログラムです。
このプログラムは、東北3県の学生が、3週間アメリカの町でフィールドワークを行い、地域貢献やリーダーシップを学ぶというものでした。
参加当初は、「自分が何か行動したところで、地域はあまり変わらないのでは?」と思っていたそう。
しかし、プログラムを通して、地域の課題に真剣に向き合う仲間たちを見て「何かにアクティブに取り組む人ってかっこいい」と感じるようになります。

画像6

アメリカ留学の後、紺野さんは早速ある挑戦をします。
あすびと福島での「あすびとユース」としての活動です。
紺野さんは、子どもたちの農業体験の企画・運営を行いました。
「子どもたちが地元の農業に触れる機会は意外とない。この体験を通じて、地元の野菜を身近に感じてほしいし、福島産の安全性を実感する場にしたかった。」

画像7
画像8

意志を実際の行動に繋げ、形にした紺野さん。
同じ高校生の私たちにも何かできるのではないか、とチャレンジ精神を駆り立てられました。

これらの経験は、のちのインターン決断に大きな影響を与えます。


【インターン 〜自分自身の決断〜】

紺野さんはその後、学業に励み、国公立の難関東北大学へ進学します。
順風満帆な人生に見えますが、ここであえて1年休学し、インターンという選択をした紺野さん。
インターンをすると決めるまでにはどのような背景があったのでしょうか。

紺野さんが1年間のインターンを決意したのは、大学2年生の7月下旬ごろ。
コロナが蔓延し始めてしばらく経ってのことでした。
コロナ禍の大学生活は、リモート授業でパソコンに向き合うか、バイト先との往復のみ。
ルーティーンを繰り返すだけの生活に、「このままじゃダメだ、動かなきゃ」という想いが湧き上がり、環境を大きく変えることを決意します。
そして「インターンで社会を経験することは大きな学びになる。」と確信し、活動に集中するべく1年間休学するという選択を取ります。
紺野さんがインターン先に選んだのは、以前から関わりのあったあすびと福島。
「あすびと福島では、企業研修も提供しており、様々な社会人の考えに触れることができる。それと同時に、自分自身の内省も深め自分の軸を見つけることができると思った」とのこと。
自分にも他人にも、謙虚かつ誠実に向き合う、紺野さんらしい理由だと感じました。

もちろん、大学を1年間休学するということに対し、周囲の人からの反対もありました。それでも、自分自身の決断をまっすぐに突き通した紺野さん。
そこには、高校時代に芽生えた「アクティブに取り組む人への憧れ」「自分も何かアクションを起こしたい」という強い意志がありました。

―すぐに変わることはできないけど、できることから徐々に積み上げていきたい― 少しずつ努力を続け、まっすぐに進んでいくという気持ちが、今の輝いてる紺野さんを創っているのだと感じました。

紺野写真コピー

現在紺野さんは、あすびと福島で小中学生の体験の場創りを企画し、運営しています。
学生とインターン生との違いについて伺うと、責任の重さが大きな違いと感じたと話していたことが強く印象に残りました。
社会人は何か失敗をしてしまったとき、責任は自分を通り越し、所属する組織の社会的信頼を崩すことにもなる。朝寝坊するのも授業に出ないことも自分の責任である大学生とは違い、自分が週末スクールで大きなミスをした場合、あすびと福島が培ってきた地域からの信頼を損なうようになることが大きな違いと責任のあり方に言及していました。

画像10


私も小学生のときに参加していたあすびと福島の週末スクールは、子どもたちだけでなく保護者の方も楽しみにしています。
紺野さんは、自分たちが一生懸命子どもたちに向き合うこと、そして一つでも学びを感じてもらうことを大切に企画-運営していますと話されていました。
にこにこと笑顔の紺野さんですが、インターン生として責任をもって取り組んでいることを感じ、とても頼もしく感じました。

【紺野さんから高校生へメッセージ】

画像11


最後に、紺野さんから私たち高校生へのメッセージをいただきました。
今回の編集メンバーは主に高校2年生。これから受験生となる私たちが、今後どのように高校生活を送ればいいかを中心に、アドバイスを伺いました。

〇勉強と何かでバランスを保つこと
勉強を継続するには「バランス」が大事だという紺野さん。
高校生活では、2年生までは部活などにも取り組んでおりバランスをとりやすい→のですが、3年生になると勉強だけになってしまいがちです。
継続可能なスタイルを作るには、バランスを意識して、自ら勉強以外の何かを見つけてほしいとのことでした。
ちなみ紺野さんは、夏休みに勉強で疲れたときには友人と川遊びをしていたそうです。

〇先生を活用するのは生徒の特権
受験勉強中につまずいた時、先生や友人に力を貸してもらうように努めていたという紺野さん。
受験生は、意外と先生を頼らない人が多いと言います。先生方はこれまでたくさんの受験生を見てきており、勉強の内容に限らず生徒にアドバイスできる引き出しをたくさん持っています。そんな心強い味方を携えているのは学生の特権。
学校の先生をある意味でうまく活用できるかが、受験の結果にも大きく影響する、と教えていただきました。

【編集後記】

ロールモデル#7感想①【修正版】png
ロールモデル#7感想③.1【修正版】png


身近にいる紺野さんから普段とは違うお話を聞き、貴重な時間を過ごすことができました。本当にありがとうございました!


↓↓あすびと福島 HP
https://asubito.or.jp/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?