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カリブの島の中学生に日本語を教えにいってきた

昨日中学校に日本語を教えに行ってきた。今こちらはカーニバルのシーズンでカーニバルバカンスの真っただ中である。こちらの学校ではバカンス中、各学校でアクティビティが行われることがある。今回はたまたま日本語の授業というのが組み込まれた。
早朝家から1時間離れた場所にある中学校へ、車をふっ飛ばして授業を行ってきたのである。他には中国語、スペイン語、自転車競技などなど、様々な体験ができるようになっていた。

カリブ海ナースと名乗りながら、日本語教師もやっているの?前職はお弁当屋さんで?なんでもやるのね。あははは。。。
と言われることがある。自称オンライン看護師として活動しているのだが、性格上、現地の人と関わりや生身の人との交流がない生活には耐えられない。だからといって、フルタイムで働いてしまうとオンライン看護師の仕事が疎かになってしまうので、週に少しだけ、頼まれた時だけというスタイルで日本語教師をしている。

さて、現地に到着。誘いはもらったものの、住所しか渡されずほぼ現地の状況などの説明がない状態で到着したのであった。
語学学校の社長に聞いても
「んー、よくわからない。まあ、とりあえず行ってみたらわかるよ。」との返答しかなかった。いつも通り、適当な感じである。
事前に4時間の授業と聞いていたので、恐ろしくなって大量の資料や事前準備をしていた。
授業の途中で子どもたちから
「授業は2時間だよ。僕たちは次は他の授業にいくから。」
そう、2時間ずつ2クラスの授業だったのである。
現地に到着後にも色々質問をぶつけてみた時も
「なんとかなるから、そんなに心配しなくて大丈夫よ。」としか言われなかったのだ。
いつもこんな感じなのである。

私の住む島はフランスの海外県なので、教育の仕組みはフランスと全く同じだ。クレオール語という現地語を話すが、学校授業はフランス語で行われる。フランスからのフランス人移住者も多く、クレオール語が理解できないくても学校生活、社会生活を送ることができる。またカリブ海周囲の国々からの移民間ではクレオール語やスペイン語、英語などが話されているようだ。
「マダム、クレオール語話せますか?理解はできる?」との質問が両クラスで聞かれた。
「うん、まだ聞くのもしゃべるのもできないので、悪口はクレオール語でお願いします。」
笑いがおこる。これで掴みはOKだ。

授業の最初に知っている日本語を挙げてもらった。
やはりマンガの影響力はすごい。

もしもし、やめてください、ばか、せんぱい、えっと、よわいもの・・・

こんな言葉が並んだ。すしとか、ありがとうとか、こんにちはとかが出てくるのかと思いきや、予想と違うものが出てきて驚いた。
次に好きなマンガを教えてください、との質問をしたら教室は爆発的に盛り上がった。すごい勢いで手があがり、次々とマンガの名前が飛び交う。
正直アラフォーの私にはついていけないマンガの種類であったのだが、キラキラしている生徒たちをみると一気に授業に対するやる気が出た。少しでも日本語を知ってもらって帰ってほしい、日本に興味を持ってほしいと。

結局1クラス目が14人、2クラス目が11人を教えたのだった。行き当たり場ったり、こんなにいるのかーい、と驚きながらもとりあえずなんとかなって、ほっとしている。

授業ではまず、挨拶の練習、次にひらがなを書く練習をして、最後にひらがなを使って自分の名前を書く練習をした。50音のひらがなを書き終わった順番に名前の書き方を教えていった。
グーグル翻訳を使って、意味が通じるか私に試してみたり、50音からマンガの主人公の名前を探してみたり、自前の日本語勉強本を持ち込み一生懸命ひらがなを練習する生徒もいた。しかし中には途中で飽きてずっと携帯をいじっている生徒もいた。まあ、これは仕方がないことで興味がないことができないのは当然なので見守り容認することとした。

そんなこんなで全員が満足することは不可能であるという社会の縮図を、小さなカリブ海の中学校の2時間授業で痛感し、無事に授業を終えた。
何人かの生徒から熱い感謝の言葉をもらったので、よかったことにしておく。
最後に「マダム、好きなマンガは何ですか?」という質問され、普段一切マンガを読まない私はとっさに「うーん。スラムダンクかな?」と言ってしまった。これには生徒たちは苦笑。「あはは。私おばさんだからさ~・・・」これぐらいしか返す言葉が見つからなかった。
これからも行き当たりばったり生活は続くことが予測されるが、そんなことも楽しみながらやっていくしかない。



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