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#哲学

「論語」と「自己への配慮」6 自己の形成について

「論語」と「自己への配慮」6 自己の形成について

いよいよ本題かもしれません。自己への配慮の概念を論語も共有していたと仮説をおいて、論語ではどのような自己を形成するのか、例の如くフーコーの分析に対置して行きましょう。

まずはフーコーによるギリシア哲学からのセネカ、マルクス・アウレリウスについて

 人生の中で時間を無駄にしてはいけない、自分を成長させるために労力を惜しんではならない、ということが強調されています。

 次に古代ギリシア・ローマの

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「論語」と「自己への配慮」5 パレーシアをできる人を育てる学校について

「論語」と「自己への配慮」5 パレーシアをできる人を育てる学校について

前回は政治的なパレーシアで、リスクを低くするには君主に信頼されてから、ということや司馬遷についても触れた。
 このようなパレーシアをできる人を育てるために孔子は活動していたと言えるだろう。その学校について私は論語以外に何も情報を持っていないが、例によってフーコーにより古代ギリシアのエピクロスの学校の紹介をしてもらう。

では論語ではどのように語られるか:

教育が必要であること:
先進第十一
一九

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「論語」と「自己への配慮」4 政治的なパレーシア 司馬遷

前回はパレーシアに踏み込んでしまった。古代中国で政治的なパレーシアをしてリスクを取られないようにするには孔子にはコツがあったのか?それは、

子張第十九
一〇(四八一)
 子夏がいった。――
「君子は人民の信頼を得て然る後に彼等を公けのことに働かせる。信頼を得ないで彼等を働かせると、彼等は自分たちが苦しめられているように思うだろう。また、君子は君主の信任を得て然る後に君主を諌める。まだ信任されない

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「論語」と「自己への配慮」3 巧言令色鮮なし仁

前回は論語は口語訳だったので対応する漢文から始めよう。
超有名的、

學而時習之、不亦說乎。有朋自遠方來、不亦樂乎。人不知而不慍、不亦君子乎。

子曰、「吾十有五而志於學。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而從心所欲、不踰矩。」

の日本語訳を取り上げたのである。
自らの血肉となるように思索する。仲間が集まってくるほど、金や名誉よりも大事なことがある。それが道を求めること。15歳

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光る君へ 白楽天 左遷されても真実を語る、と論語

 光る君へをみていて白楽天(もしくは白居易)が時々出てくる。枕草子のエピソードも中関白家と定子のところでちゃんと御簾を巻き上げるシーンでドラマ化された。
 しかし、どうやら香炉峰の雪を見るのに簾を跳ね上げた、というのが正しいらしく当時はそこまで厳密に伝わらなかったらしい(白楽天 山口直樹 学研)。
 ドラマでは紫式部の弟が大学で白楽天の新楽府が紹介されていたが内容は諷諭詩で、世の中の風刺、夜中で民

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