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宇宙文学

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宇宙の詩、小説まとめ。
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2022年7月の記事一覧

同じ色の星を見ていた

同じ色の星を見ていた

同じ色の星を見ていた かつても今も 名前のない色 終わりのような色をした 幾百億光年先の もう無いかもしれない星 それはもしかしたなら互いに見間違いで 宇宙には見知った星しかもう存在しないのかもしれない けれど僕達は探している いつだって 同じ色の星を見ていた人 この銀河の淵にいる 何処にもいないかも知れない人を 星座を踏み違えて 落っこちていって その先でも 探す 君を 君だけを ひかり だって

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第三宇宙ターミナル

第三宇宙ターミナル

 月と木星間を往復するシャトル便137号に乗っている。渦巻状に配置された座席の内側の方、N54が僕の座席だ。
 中央部に立った円柱型ロボットが機械音を発した。
「リーーー…通信中。この便は行き先を変更し、第三宇宙ターミナルへ向かいます。」
 真空睡眠状態にあった乗客が目覚め始める。N55、僕の隣で眠っていた君も。
「睡眠が切れないわ。どうしたの?」
「アクシデントみたいだ。今日は月へは戻れそうもな

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