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短編小説集

19
短編小説、増幅中。
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#物語

水葬

水葬

 朝からよく晴れた秋の日に、彼女は死んだ。
 誰も知らないところで死んだ。けれど皆それを感じていた。
 彼女の名前はもう無い。死ぬとき僕等は名前を失くすのだ。
 この街にはしきたりがある。それはひとつだけ、弔いに関することだった。
 水葬。
 それを僕等は今日しなくてはならない。
 白蘭の木で死んだ彼女の重みが無くなった身体を、アルペーオおじさんとその息子が抱き抱えて川へと運ぶ。
 花屋のジルが沢

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パレードと鐘

パレードと鐘

 世界の端には高いたかい崖があって、其処からどうどうと水が流れ落ちている。それは海とは違う、もっと重い水で僕等はそれに呑まれたら小指すら出すことは出来ない。
 トランペット。僕はこの小汚い金色をした楽器が一等気に入っている。いつだって陽気な音が出るし、パレードでは先頭に立てるからね。
 僕の持ち物と言ったら、その古いラッパと牛を呼ぶ鈴くらいのもので、何故そんな妙なものしか持ち合わせていないのか自分

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