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靑生ふゆ
2021年3月24日 01:11
くすんだグリーンのリノリウム。留まった儘、淀んだ空気。窓。格子。細い木の枝が見える。 凡そ簡素なベッドに、白は四六時中寝ている。病。それは三歳のときに始まり、十四歳の今迄一度たりとも良くなることは無かった。 「そろそろ、春たろうか。」 呟いても、答えは無いに決まって居る。独りだから。白は、ずっとこの201号室に唯一人きりだった。 春の花の香りは、この窓に届かない。格子が嵌められ、閉じ切っ