「文にあたる」出版記念展に行ってきた!
私たち編集者は、本を出版する前に必ず「校正」という作業を行っています。主にはゲラ(試し刷り)を読んで、内容の誤りや誤字・脱字を正す作業のことです。
そして、私はこの「校正」こそが一番好きな仕事なのです。他の編集者が担当している企画の校正作業をしている時が、いちばん仕事を楽しめています。企画を考えるよりも、ずっと校正だけやっていたい!と思ったりもしています。笑
先輩編集者には、
「自分の作りたい本を企画して、本の形にしていくのが編集者の醍醐味なのに、校正が好きってちょっと変わってる!」
と言われたこともあります。あれ、私って編集部向いてない…?
こんな私からしたら憧れの存在、人気校正者の牟田都子さんが本を出版したそう。校正者の本や文との向き合い方、付き合い方を紹介した『文にあたる』です。
この『文にあたる』の出版記念展が荻窪の書店で行われているという噂を聞き、先週行ってきました~!
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荻窪駅を降りて、てくてく歩くこと15分ほど。
街の小さな書店、Titleに到着しました。
1階が本屋とカフェになっていて、2階がギャラリーになっています。
こじんまりとした温かみのある本屋です。
店内に入り、細くて急な木造の階段を、ゆっくり上ると小さなギャラリーが。
撮影OKということだったので、写真を撮りつつ、ゆっくりと楽しみました。
『文にあたる』の実際の初校~念校ゲラの一部が展示されていて、何を修正したか、なぜ修正したか、どのようなところに気を付けて校正作業をしているかなどが付箋で記してありました。
これを見れば、校正者の頭の中がのぞけるようになっていました。
展示を見る前までは、校正のプロが文章を書いたら、赤字(ゲラに書き込む修正指示)なんて、ほとんどないんじゃないかと思っていました。
でもそんなことはありませんでした。たーーくさん赤字が入っていて、なんだか安心しました。笑
と同時に、「やっぱり執筆と校正は独立していないといけないよね!」と実感しました。
『文にあたる』の中でも、こう書かれています。
これは、編集をしていると悩むことが多い点です。一文は短い方がよいけど、削りすぎると文意が伝わらないから本末転倒になってしまいます。
「サランラップ」「バンドエイド」など、一般名称でないことが有名なものもありますが、日常に根差した言葉だからこそ、調べることが重要ですね。
「三校でむやみに赤字を入れない」
私は、三校でも読めば読むほど直したくなって赤字を入れてしまうのですが…これを見て反省しました。その赤字が本当に必要か、よく考えようと思います。
念校になるとほぼ赤字がありません。
このように初校から順に見ていくと、本ができるまでの過程で、「もともとはこう書いてあったんだ!」という違いが楽しめたり、校正で見るべきポイントがそれぞれの段階で異なっていることを実感できたりと、とてもおもしろかったです。
Titleのギャラリーは決して広いわけではないのですが、その中に情報がたくさん詰まっていて、見ごたえのある展示でした。
私が見ている間にも、代わるがわる多くの人が訪れていて、みんな静かに、でも熱心にゲラを見つめていました。
荻窪はちょっと遠かった。でも行ってよかった!!
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校正が好きです。
でも、まだまだ見落とすことがたくさんあるし、自分が気づかなかった赤字を先輩が入れているのを見て、まだまだだと感じることもあります。調べ物の効率が悪くて、ひとつの事象を調べるのに何時間もかかってしまったり。
でも、このような展示を見ると、自分ももっとできるようになりたいと思いますし、勉強にもなります。
まずは『文にあたる』をじっくり読みたいと思います。
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