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#10 暇だからアメリカ横断する―元旦はカヤック&水遊び


明けましておめでとうございます!

なんやかんやで、帰ったら2時半くらいになっていたので、早々に寝ました。だって、元旦は大晦日にサイクリングを強行してまでやりたかったことがあったのです。

それはカヤッキング
僕はまたしてもエバーグレーズ国立公園へと足を向けるつもりでいました。

先日お話しした通り、ほぼ全てが湿地のため、トレイル出来る場所も限られている……。ならば水の上をいけばいいじゃない!!

という発想のもと、エバーグレーズでは様々なアクティビティが用意されています。カヌー、カヤック、ボート(釣り船、ハウスボート、遊覧ボート、エアボート)などなど。

その中でも、予約が要らなそうで自分の時間で調整できるカヤックをすることに決めていました。ちなみに、カヤックはやったことなくても簡単にできますよ。疲れますが……。興味があれば挑戦してみて下さい。レンタル料は半日(4時間)で35ドルほどでした。

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■年があけたら、もう一度あの子に会いたくて

眠い身体を起こして7時前に家を出ると、9時には昨日ちらっと足を向けた公園の南端にあるフラミンゴビジターセンターへとたどり着けました。

そして、僕は人生で二度目のカヤックに乗って、カナルゾーンと言われる細い水路をえっちらおっちら漕いでいきます。

両脇にはマングローブの林が生い茂り、赤茶色に濁った水路の上を滑っていきます。鳥たちが列をなして水面すれすれに飛んできたと思ったら、マングローブの根の上では別の鳥が羽を太陽に向けて広げています。

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オールを漕ぐ度に水滴が足にかかってくるのですが、それが何とも言えず気持ちが良い。

元旦は雲一つない快晴でした。

見上げれば、黒や白の点が緑に挟まれた青いキャンバスの中を飛び回っています。風はじんわりとかいた汗を心地よく拭っていきます。

半袖に水着といういで立ちでも、全く問題のない暖かい元旦になりました。慣れない水の上の感覚を体験しながらも、水をかいて奥へと進んでいきます。

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1時間ほど漕いだ所でしょうか。

行き交うボートのモーター音も、先や後を行くカヌーやカヤックも見えない、凪いだスポットがありました。

最大でも3時間ほどで帰ろうと思っていたので、僕はそこを折り返し地点にして、漕ぐのを止めてぷかぷかとその場に浮きます。

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目を閉じて、聞こえてくる音に耳をすましました。

老婆が叫んだような鳥の声。
優しくさえずる小さな命の声。
何かをリズミカルに叩く音。
波紋を作って水に飛び込む音。
林の奥から聞こえる、豚の断末魔のような声。

とても活気のある林の声たち。

目を開けると、林の隙間から射す光が、ゆらゆらと水面で揺れています。びっしりと張られたマングローブの根。垂れ下がる枝。それらの木々の間に張られた大きな幾何学模様の巣は雨粒を溜めていないにもかかわらず、その姿を浮かび上がらせています。

僕らが入り込む隙間はないように感じました。

こういう場所にいて、自分の存在を出来るだけ薄めていると、全く目には見えなくとも自然の中でどれだけたくさんの生き物がいて、それが生活しているのだ、ということが感じることが出来ます。それも、人間とは全く関係のない場所で。

自分だけが異物になったような、違和感、疎外感を感じることが出来るのですよね。

僕はそんな感覚が好きです。

たまに「ぷーん」という羽音が聞こえて、「でたな! モスキート!」と現実に引き戻されるのですが。あいつらくらいですよ。僕たちを自然に引きずり込むのは。

しばらく、そうして休憩がてらのんびり浮かんでいると、ふと泡がマングローブの付近から上がりました。

お、と思う間もなく、丸っこい灰色がかった頭がぷかりと浮いてきました。 

人魚やー!!

と、内心めちゃくちゃ叫び声を上げましたが、刺激しないようにそのまま眺めます。

マングローブの根についた苔を食べているのでしょうか。ねっこをもしゃもしゃとついばんでいました。結構近くにいたのですが、こちらには意を介さずもぐもぐする姿は可愛らしく、僕の心と体を更に癒してくれたのです。

元旦から、また会えるなんて幸先が良いな。20年は良い年になりそうだ。

僕はそう思って、引き返しました。

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でも、彼らにとってはそんなことはどうでもいいのでしょう。
ただ、その時間を生きている。

僕は車を走らせながら、ふと、そんなことを思ったのです。

■全米が息を呑んだ Bahia Hondaの海岸

さて、この二日で3度も入場したエバーグレーズ国立公園。もう存分に満喫できました。予想以上、期待以上の結果となりました。次来る機会があれば、エアボートとアリゲーターを食べることを目標にしたいと思います。

そして、僕はそこから今回の旅の最終目的地である、キーウエストへと車を走らせることになるのです。

キーウエストとは、フロリダ半島の南に位置するフロリダ・キーズ諸島の最も西南にある島です。アメリカ合衆国の最南端でもあります。

フロリダキーズ

島と島を繋ぐ道路はオーバーシーズハイウェイと呼ばれ、その中でも最も長い橋、7マイルブリッジは様々な車のCMで流れたことで有名。それほどに海の青と空の青の間を一本の道が続く光景は壮観で爽快です。

そして、なによりその途中にある島々。

これがどこを取っても綺麗で、見るからに南国の島と言う感じ。変に小綺麗ではなくて、そこに家が建っているだけと言う感じの簡素なものなのですが、それがまた良い。

そして何よりBahia Honda(バイーヤホンダ)州立公園。これは正直全く頭に入っていなかったのですが、アメリカ在住の由海さんに丁寧なアドバイスを頂いて、今回の旅の行程に加えました。

・お昼:Lazy Days Restaurant

お昼は3時頃にLazy Days Restaurantと僕好みの名前のレストランで食事をしました。これがまた素晴らしいオーシャンビューの二階テラス席でして。思わずまた、海産物全部のせ(ロブスターものっています)のパスタを頼んでしまって、うっかり6千円のランチとなりました。

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朝食は抜いたし、新年初めの食事だし良いか、と軽く考えてオーダーしました。大丈夫か、この社会人。

景色と美味しい料理に満足した僕は眠気が襲ってきたので、Bahia Hondaへと急ぎます。

その途中、7マイルブリッジが目の前に現れました。

僕は慌ててiPodの曲を探し始めます。今日の朝から、7マイルブリッジを渡る時は爽やかな曲を掛けてやるんだ。と、心に決めていたのです。

そして、選んだのはJack's Mannequin――I'm readyとかBruisedとかを大音量で流す。歌詞の内容はともかくこれが爽快な雰囲気に合って、気分はウキウキ。窓を全開にして、音量も上げて、風とJack's Mannequinの曲を受けながら走る海上は最高。

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心なしかカッコよくなっていたはずです。

今なら街コンアプリのCMなら採用されそうなくらい爽やかな好青年だったはずです。

・全米屈指のビーチ:Bahia Honda Key

橋を渡り切ったら、その島がまさにBahia Honda Keyです。

左側にある州立公園の入り口へと入ります。入った瞬間、Admission Fee(入場料)の看板が見えてくるのですが、その額なんと450?!

「由海さん?!?!」と、一瞬でも疑ったことを恥じました。

なんてことはない、4.50ドルの見間違いですね。ピリオドが見えなかったので、金持ちしか入れないビーチかと思ってヒヤヒヤしましたよ(バカ)。

もう4時を回っていたこともあり、帰る人もいるほどで、ほどよい込み具合でした。僕は早速、靴を脱ぎビーチに降り立ちます。

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砂浜自体は凄く短くて浅いです。入場ゲートに一番近い駐車場の前の海岸は3mほどの砂浜の深さでしたが、そんなことはビーチの甲乙には関係ありません。

全米で一位に輝いたビーチ」という前評判に違わぬ美しさ。打ち寄せる透き通った透明な水は温かく、僕の足を包んでいきます。かなりの遠浅なビーチはどこまであるいてもひざ丈ほどしかにならない所もあり、一面エメラルドグリーンの海の中に一人立っています。

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足を洗う心地よい波。西の空には白く落ちる太陽。そして、かつて使われていたであろう木造の橋。

すべてが素晴らしかったです。

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残念ながら一人で出来損ないの前宙とか、バク宙をする元気も勇気もなかったのですが、ゆったりと海岸沿いを物思いにふけりながら歩くという大人な海の過ごし方が出来ました。

3枚以上、甘い薄皮が剥けていぶし銀な大人の雰囲気が醸し出せていたに違いありません。今ならば、地方の漁業組合のCMなら即採用されそうなくらい渋い仕上がりだったはずです。

そして、砂浜に寝っ転がって、ウトウト。

元旦に、綺麗な海に浸かって、そのまま半袖水着で夕陽で日向ぼっこって、素晴らしいシチュエーションですよね。

寒さに震えるなんて考えられません。

やはり、暖かさというものは人を幸せにする

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そんなことを考えた、Bahia Hondaでした。ぜひ、また誰かと一緒に来よう。その時はドライ・トートゥガス国立公園と、その他の場所もしっかり回ろう。

2020年新たに出来た、人生の目標です。ちなみに21年現在目標は依然として目標のままです。人生の夢は、「大切な人と犬と一緒に暮らす」です。

エトセトラとして、「フロリダキーズが似合う男になって、すしざんまいのCMに出れるくらい爽やかで渋い大人になる」が出来ました。


なんか、もうちょっとこっちも似合うんじゃない?
みたいなCMがあったら教えてください。

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