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サマソニとかいう天国の魅力を伝えたい

前回書いたアメトーークの記事が予想以上の反響を得ましてね、ほんとありがたい限りです。

前回の記事でも触れたとおり、アメトーークの内容がフェス芸人というよりは、フジロック&京都大作戦芸人と化していたので、他にも素晴らしいフェスはあるんだぞ、そこら辺も触れろやと思いましたね。そんな中でも邦洋混合型で、都市型フェスのパイオニアであるサマソニを無視するのはいかがなものなのかと感じた次第です。

まぁそんなわけで、今回は10-FEETファンと過激派フジロッカーに殺される前にねサマソニに関する記事を書いていこうと思うぞい。

サマソニとはなんぞや?

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SUMMER SONIC、通称サマソニは「日帰りでも行ける都市型フェス」として2000年にスタートしました。

会場は千葉県幕張地区大阪府舞洲地区の2ヶ所同時開催となっており、これはイギリスのレディング&リーズフェスティバルを踏襲したものとなってるらしい。

また10代も参加しやすい「敷居の低い」フェスを目指しており、それに合わせたアーティストのブッキングなども特徴である。ここらへんがフジロックと比較されるポイントである。

フジロックとの比較

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邦洋混合型フェスという意味でフジロックと比較されるのはある種の宿命であるが、ここでは比較を通すことで両者の良さを見出していこうと思う。

よく洋楽リスナー界隈だとフジロックを崇拝する一方でサマソニをdisる傾向が見られることが多々ある。これは両者のアーティストのブッキングの性質によるところが大きい。わかりやすいように2018年時点の両フェスのラインナップを載せてみようと思う。

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まずは2018年年のフジロックなのだが、ヘッドライナーは稀代のヒットメイカーファレル・ウィリアムス率いるヒップホップグループN.E.R.D。10年代ヒップホップの王であり前年発表した「DAMN.」が大絶賛されたケンドリック・ラマー。そしてロック創成期を代表するアーティストであり、ノーベル賞受賞後の初来日公演となったボブ・ディランという布陣だ。

もうヘッドライナーの時点で強すぎるよね笑。音楽オタクを喜ばせることに長けた人選。ディランとケンドリックは言わずもがな、アメリカの音楽界に置いてシリアスな表現をする新旧アーティストの構図。そしてあくまでファレル単体ではなく、N.E.R.Dでの参戦ってのがオタク心をそそらせる。

この他にもヴァンパイア・ウィークエンドマック・デマルコ小袋成彬、ブレイク前のポストマローンといったオタク好みなメンツが並んでますね。

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続いて同じ年のサマソニ。こちらは元オアシスのノエル・ギャラガーと90年代が産んだ神童ベックがヘッドライナーとなっております。両者に共通しているのは安定して集客が見込め、なおかつ耳馴染みのいいメロディを特徴としているところです。(注.ベックは時代によってかなりとんがった音楽性をしてるが、この時は最新作の「COLORS」がめちゃくちゃポップだった)

ここからが味噌で両ヘッドライナーに続くメンツはマシュマロチャンスザラッパーショーンメンデスマイクシノダ、別のステージではQOTSAニッケルバックテームインパラパラモアと洋楽系アクトはかなりジャンルレスかつ耳馴染みの良いメンツであることだ。

また邦楽系のメンツはバックナンバーマイファスレキシベガスといったロッキンだったらグラスでやれるレベルの面々を揃えてるのも特徴。この年「マリーゴールド」で人気者の仲間入りを果たしたあいみょんがビーチステージなのも感慨深いです。

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実は正直にゲロっちゃうと、この年のサマソニすげえガラガラだったんすよ笑。ある意味快適を目指すサマソニってコンセプトにはあってるんだけど、このブッキングは次の年画期的な方向に行くわけだがそれは後述で。

その象徴がこの年のサマソニで起こったチャンスザラッパーガラガラ事件で。チャンスザラッパーってアメリカだとケンドリック、ドレイク、チャイルデイッシュ・ガンビーノなんかと並ぶ人気を誇るラッパーなんですけど、ヒップホップがあまり根付いてない日本ではこの年のサマソニでかなり厳しい集客となってしまったんです。

とはいえ一方のフジロックではケンドリックとN.E.R.Dと言ったヒップホップ系のアクトがヘッドライナーとして君臨しているのを見ると、ヒップホップにも素養がある音楽オタク界隈の精鋭たちが集まることを見越しての抜擢ということが窺えます。

ここでわかった通りフジロックは比較的オタクチックな面々であるのに対し、「敷居の低さ」を標榜するサマソニは邦楽リスナーでも聴きやすい面々を揃える傾向があります。

そうつまりサマソニは新たな音楽の出会いの場を提供するという意味では最適なフェスなんですよね。もうTinderが馬鹿馬鹿しいレベルで新たなアーティストに出会える。自分もサマソニ経由で知ったアーティスト多くいて、これは自分の例なんですが

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まだ「BAD GUY」リリース前のビリー・アイリッシュの存在を知ったのもこの年のサマソニ。そんときは全然ハマらなくて「ほぉーんこんなアーティストおるんかぁ」ぐらいの認識だったんだけど、翌年時代の寵児として君臨することになるからびっくり。こういう出会いがあったりするのもサマソニの醍醐味なんですよ。

とにかく快適それに尽きる

サマソニは日帰りでも行ける快適なフェスを標榜している通り、とにかく快適。

まずはなんといっても抜群のアクセスの良さ。フジロックやライジングのように遠方ではないので、交通費や宿などの面での不安は減少します。

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また幕張と舞洲という2箇所開催のため、どちらか近い方を選択して行くことができるというのも大きなメリットです。またどちらの会場も半径5km圏内に、JR沿線もしくはモノレールがあるため交通面のメリットです。

(注.この先サマソニ大阪ユーザーの反感を買う可能性のある文が含まれてます)

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自分はサマソニ東京しか行ったことないのであれだが、サマソニ東京は会場の半分が幕張メッセであるため、冷房がガンガン効いてて凄く快適なのだ。大阪も屋内ステージが一つあるそうなのだが。

とにもかくにも夏フェスに行きたいけど、暑いというイメージがあって行きにくい人にもサマソニをオススメしたいのはそういう所がある。

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またこれをやったら一部界隈から怒られそうな気がしなくもないのだが、サマソニ東京の会場には隣にデカいイオンモールがある。暴論になるがもし時間が空いてしまったらそこのイオンで過ごす、はたまたスタバを飲むことだって出来るのだ。(個人的にはあまり推奨しないが)

そしてこれは両会場に共通している特徴で、海が近いということだ。夏といえば海って思ってるケツメイシ的マインドの思考の持ち主の人にとって、潮風と海特有のあの磯臭い匂いを嗅ぎながら一流アーティストの音楽を聴けるなんてこの上ない贅沢です。

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あとここも大きなポイントなのだが、サマソニは各ステージ間の移動が他のフェスと比べても比較的楽なのも大きいですね。

サマソニの大胆すぎるブッキング

先述のブッキングという面で言うと、サマソニは時々そのアーティスト呼んじゃう?っていう意外性のあるブッキングをすることがよくある。

これはサマソニが'ロック'フェスと標榜していないことが、多種多様なジャンルのアーティストを呼べる原動力となってる面が大きい。

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一例で言うと90年代邦ロックシーンを支えたこの3バンドのブッキングだろう。奇跡の復活を経て東日本大震災が発生した2011年に出演したX JAPAN。2005年のロッキンを最後に4大フェスとは無縁だった2013年のMr.Children

そしてB'zだ。フェスとは無縁だった彼らが2008年初出演をきっかけとし、11年後に日本人初のヘッドライナーとして再び登場した時は大きな話題となった。

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ポップ系のアーティストがヘッドライナーを飾ることが多いのもサマソニの特徴だ。ブラックミュージック系で言うと、今なお最前線で活躍しているビヨンセリアーナを始め、スティービー・ワンダーといった大御所もヘッドライナーを務めている。

また2015年に出演したZEDDが好評だったことを受けて、EDM系のアーティストも多く出演している。これは未だに90年代ビッグビート系アクトが人気の日本のフェスシーンでの現状においても、EDM系アクトの導入は良い新陳代謝を促すこととなってる。

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去年サマソニは大きな改革に乗り出した。それは比較的同系統のジャンルのアーティストで1日のラインナップを組み込むというものだ。これは先ほど触れた2018年の集客で苦い思いをした反動によるもので、こうすることで自分の好きなジャンルのアーティストが同じ日にいるため見逃しを防ぐことができ、アーティストがばらけてないことでチケット購入を見送るという事態をも防ぐ効果があった。

結果としてこの一大改革は大成功を収め、東京会場はほとんどの日程がソールドアウトを起こすこととなった。だが自分が語りたいのはそこではない。語るべきポイントはこの年の東京3日目(大阪は2日目)についてだ

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この東京3日目でサマソニのメンツは事件だ。なぜならメインのマリンステージはヘッドライナーにチェインスモーカーズ、それに続く形でZEDDアランウォーカーブラックピンクPerfumeとほぼほぼダンスミュージック系アクトで固められたのだ。

裏にもディスクロージャーFlume、そして若手ヒップホップグループBROCKHAMPTONといった面々が並ぶ。自分はこの年全日程を行ったのだが、この日だけ客層がガラッと変わったのは鮮烈に覚えてる。全身バレンシアガのパリピを少なからずとも20人は見た気がする

この同ジャンルでラインナップを固めるやり方は、今年サマソニの代替として行われるスーパーソニックでも踏襲されており、初日はロック、2日目はEDM、3日目はヒップホップという風になっている。

サマソニという大きな物語を体感せよ

個人的なサマソニの最大の醍醐味としては、若手アーティストの成長を体感出来るところだと思っている。

サマソニは若手アーティストの抜擢でも知られるフェスだ。前述のガラガラだった2018年でさえビリー・アイリッシュ 、レックスオレンジカウンティペイルウェーブスといった日本でもあまり馴染みのない若手を起用している。

ここからは若手時代にサマソニでの大抜擢を経て成長したアーティストをいくつか紹介したいと思う。

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まずはイギリスという枠を超えて、世界屈指のモンスターバンドとして君臨するコールドプレイだ。

彼らは第1回サマソニに出演しているのだが、驚くことにこの時の出演はまだデビューアルバムをリリースする4日前での出演だったのだ。

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出世作となった「Yellow」ですら発売から1ヶ月弱という状態での出演。当時世界の音楽トレンドの状況が伝わるのに今と比べて遅いことを考えると、目の付け所が良いとかそういうレベルじゃない。

「静寂の世界」「X&Y」といったヒットアルバムを経て、8年後に名盤「美しき生命」を携えてヘッドライナーとして帰還するのだからとても感慨深い。


続いて紹介するのは00年代UKロックの王者アークティックモンキーズだ。彼らの初めてのサマソニはデビューした年のの2006年で、この時点でもかなり早い段階でブッキングしたサマソニ運営の勘の良さに驚かされるわけだが

なんと翌年にはいきなりヘッドライナーにジャンプアップという大胆な采配をとるのだ。これはデビュー最速および史上最年少(21歳)での出演というサマソニにおいて不滅の記録である。

イギリスでは既にグラストンベリーのヘッドライナーをやるなど、社会現象レベルの人気だったが、極東の島国でいきなりデビュー2年目の新人バンドがヘッドライナーをやるのだから、サマソニ運営の大胆さが窺える。

最後に紹介するのは当noteでもお馴染み10年代ロックシーンを制したThe 1975である。彼らもコールドプレイ同様デビューアルバムリリース前に初出演。しかもこの時のライブが好評で、翌年にはソニックステージからマリンステージへと一気にジャンプアップ。

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その後も段階的に出演を重ね、2016年はソニックステージのトリ、2019年はマリンステージのトリ前で伝説的なパフォーマンスを見せ、今年のスーパーソニックでは見事ヘッドライナーを飾ることとなった

このようにサマソニの大胆な若手の起用は、日本の音楽リスナーに新たなアーティストを紹介するだけでなく、一つの成長物語としての一大コンテンツを提供しているのだ。

総括とおすすめの歴代ベストアクト

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いかがだったろうか?長々と語ってしまったがだいぶサマソニの魅力は伝えられたのかなぁとは思う。ほんとだったらアメトーークで芸人の皆様方がちゃんと紹介してくれれば良いんですけどね。やれビール奢るだの、やれ宿泊場所提供してもらうだの、やれモッシュに巻き込まれるだの、芸能人パワーって素晴らしいですねぇって感じっす。うっす。

というわけで最後は後世に残したい個人的サマソニ歴代ベストアクトだけ紹介して終わりましょうかね。

まずは2003年のレディオヘッド。元々レディオヘッドを呼ぶために始まったと言われるサマソニ、3年目にして念願のレディオヘッド登場。さらには当時封印されていた名曲「Creep」を披露という出血大サービスなどもあり、今なお日本のフェスシーンにおける伝説的ライブと称される名演。


続いては2009年のリンキンパーク。リンキンといえば2006年、2009年、そして2013年のメタリカとのダブルヘッドライナーを含めて3度のヘッドライナーを経験したまさにサマソニを象徴するバンドだ。チェスター亡き今、サマソニの時のパフォーマンスを見るとあの声を生で聴けなかったことを悔やむばかりである。


最後はやはりここ最近のサマソニを語る上で欠かせない2019年のThe 1975だ。この時のライブは後々別の記事で書こうと思っているのだが、あの時のマシューヒーリーの切羽詰まったマジさは未だに忘れられない。彼らが真の王者たる所以を示した名パフォーマンスだ。




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