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「グローバル」を考える①:ローカルとグローバル

いつからか日本の教育界はグローバル教育の推進のもと,高等教育機関も中等教育機関も英語教育に力を入れ始め,外国語圏(特に英語圏)の文化を知り、学習していく流れができてきました.

グローバルな視点で物事を見たり,
海外の知見を取り入れて課題解決に取り組んでみたり,
これはこれで必要なことではあると思います.

しかし一方で,グローバルばかりに目をやりすぎてローカルが疎かになると,なんのためにグローバルを学ぼうとしているのかわからなくなってきます.
その結果,何が起こるか.

「日本ダメじゃね?」
「日本でよかったね」

そんな感想なのだろうか.

グローバル教育で理解してほしいのはそこではない.つまり,日本や地域を知らずに,憧れのアメリカに思いを馳せて日本じゃダメだという結論に結びついてしまっては教育の意義はありません.

そこで,私はグローバル教育の前提として必要なことはローカル教育なんだと思っています.

特に私立に通う生徒にとっては,学校周辺は馴染みのない場所であったり,クラスの中でも同じ場所に住んでいる友達もいない場合は大いにある.

そういった環境下で,学校がローカル教育として学校周辺の方々,企業,神社や寺,役所に行くことで得られる情報や知識を手にし,異なる居住地域で集まった生徒たちの意見を交換したり,思考したりすることでも比較学習としては何か有意義なものになるかもしれない.もちろん,比較した結果,たとえば首都圏では特に大きな違いはなかったという結果でも十分おもしろいわけで,異なることがおもしろいわけではありません.

ローカル教育で思いつくものは,

・周辺住民との対話
・周辺散歩
・周辺の店の店主などによる金の話
・住職との対話  など

そして,教職員がこのローカル教育を教育活動に取り入れる1つの例は修学旅行でしょうか.

普段とは異なる地域に赴き学ぶ機会を最大限活かすには,修学旅行の数か月~1年ほど前に担当の教員が行く下見(視察)時に地域の方とコミュニケーションを取ることにあります.

たとえば,
沖縄に行く際にも東京では感じられない中国・台湾との緊張状態,
北海道のロシアとの関係,
千葉で取れなくなった秋刀魚,
生態系の変化,
農作物収穫量の変化 など

百聞は一見に如かず

教科書は数年前の情報であり,実地で人との交流が修学旅行の醍醐味であるから,教職員の事前の調査・聞き取りを持ち帰り,事前学習として生徒に伝え,考え,実際に修学旅行で赴いたときに現地の方と深いコミュニケーションを図ることが重要であると考えます.

地方創生の取り組みは日本の抱える社会問題解消への方策ですが,こういった情報収集,現地の方とのコミュニケーションで問題解決を事後学習で考え,できるなら再び現地で取り組む.
つまり,ケーススタディを行うことを修学旅行に組み込むということです.

こういったコミュニケーション言語の壁がなく内容に注力することでローカル理解をすることで,その対象が国内の地方から海外地域に移ったとしても言語の壁さえ解消できれば取るべき行動の基本は知ることが修学旅行で養われるのではないでしょうか.

グローバルを謳う学校は増えましたが,ローカルで行えることは数多くあり,言語の壁がないからこそ取り組みやすさと思考を深めるトレーニングが可能となります.
グローバル教育を謳うことは結構ですが,ローカルにも目を向けた教育活動が数年後の日本に活気をもたらすのだと私は信じています.

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