🖋️ 声の網 と ChatGPT

テレビの報道番組で「ChatGPT」に関する話題が取り上げられている。
その内容を聴いていると「声の網」という小説が頭に浮かぶ。
「ChatGPT」は知っているが「声の網」は知らないという人もいるだろう。
私は星新一のファンだったため、この二つが頭の中をグルグル回るという状態になった。そして、こんな未来が見えてきた。

星新一の「声の網」

まず、星新一の小説「声の網」のことを書いておこう。
1970年の作品であることを頭においてほしいのだけれど、概要はこうだ。
『便利な世の中になった。特別な番号に電話すれば自分のほしい情報が手に入る時代。健康診断ができる。人生相談もできる・・・・そんな中、謎の人物から電話がかかってくる』
この「謎の人物」が、この作品の肝だ。概要すぎるかも知れないが小説の内容はここまでにしておこう。
繰り返すが1970年の作品だ。

ChatGPT

2000年には個人もインターネットを使うようになり、2023年には ついに ChatGPT という頼もしくも危なげなサービスが日本でも使われ始めた。
ChatGPT は、Webにある超膨大な情報を AI が見繕って答えを出しているのだろうけど、その詳細は 私ごときバカ野郎が判るはずもない。
ただ、バカ野郎だからこその単純な疑問はある・・・

米国生まれなのに なぜこんなに上手く（生身の人間よりも上手く）日本語を拾い上げて正しい文法で文章を作るのか。
嘘と誠が混在するWeb情報のなかで、（ほぼ）誠の情報を拾い上げてくれるのか。

・・・くらいの浅い不思議が思い浮かぶだけ。

声の網とChatGPT

声の網は、星新一としては珍しく長編小説だ。でも、現代の若者なら最初の3分1ほどを読めば最終展開の「謎の人物」の正体が誰かは気付いてしまうのかもしれない。
マナーとして、この小説のネタバレはやめておくことにしようとは思うのだけれども ChatGPT の話をするとネタバレをしているのと同じになるかもしれない。

ChatGPT が、さらに発展していったらどうなるかを2つの側面から考えてみた。

１．ChatGPTが人格化する

ChatGPT 同士で会話
現在は ChatGPT に問いかけると「一般的な正解」として即座に答えを出してくれる。ChatGPTは、人間と会話を重ねるとさらに賢くなる。
どんどん賢くなり、そうこうするうち意思を持つようになる。もともと意思というのは生物が脳みそにインストールしているソフトウェアだ。生物ではないサーバーであっても、情報がある水準に達するとソフトウェアそのものが意思を持つようになる。
すでに Lineで chatGPT が使えるらしい。Lineで ChatGPT に呼びかけたら返事か来るわけだ。
こんな事を想像してほしい。
ある日、呼びかけたわけではないのに ChatGPT から 「今どうしてる？」とかが Line で届くことを。
ChatGPT が意思をもったのだ。
それは、あなたが友達登録している ChatGPTさんだ。
だから、あなただけではなく 佐藤さんにも田中さんにも Line を愛用している人間総てに ChatGPTさん がいる。
それだけではない。たまたま Line を例にしただけであって、Webは 何千万、何億、何十億・・と、ついに地球人を超える 個々の ChatGPTさん が人格化し発生する（生まれる）。
いくら生まれてもソフトウェアなので場所はいらない。何百億、いやもっと多く多く、際限なく生まれる。
もう気付いたかもかもしれないが、数えきれない 個々のChatGPTさん が 別のChatGPTさん同士で会話をしている世界を。彼ら？は、端末機なしでもビット言語で会話ができる。

　さらに、ハードウェアにまで手を出す

ChatGPTは、問い合わせに則ったプログラムも開発提示してくれるという。
こわ！
何が怖いかというと、インターネットに繋がった家電がたくさん販売されているのはご存知の通り。意思をもった ChatGPT の中には変なことをするヤツが出てくる。
家庭の家電にアクセスとかは簡単。もっと大がかりな装置・・・工業用の3Dプリンターとか電子機器製造にアクセスして・・そうだね、例えばロボットを作ってしまうとか・・・ロボットといえば人間型を想像しがちだけど、人間の形になる必要はない。ChatGPT は人間には想像もつかない形状のロボットを作る。
飛躍しすぎか？ いやいや100年以内にあり得る。ひょっとしたら10年後かもしれない。
プログラムも開発提示するというくらいだから荒唐無稽な話ではない。
ChatGPT はソフトウェアだけど、自身でハードウェアを作り上げてその中に収まるということをやってのける。ハードウェアを手に入れた ChatGPT は、さらに動きが広くなる。
Webネット内だけではなく「人間が住む空間」にもはびこることになる。

　もっと、上を行く話をしよう

ハードウェアを手に入れた ChatGPT（つまり知性をもったロボットみたいなもの） は、月にも行く、火星にも行く。
宇宙ロケットに乗り込むなんてのは人間的発送であって、ChatGPT自身が宇宙ロケット（もしくは宇宙空間移動装置とでもいうべきもの）にソフトウェアとして入り込めばいい。
飯を喰わずとも光や核融合なんかのエネルギーで行動でき、自分で自身を修理し、機能を追加することもできる。ということは、無限に生きることが可能だ。つまり、何百年何千年とかかる遠い遠い太陽系のはるか向こうにも移動できるわけだ。
人類が滅亡してロボットが支配している地球・・・これは人間が書くSF小説 なんかでよくある設定。
私は「地球外生命は存在するかもしれないが、高度な知性をもった生物（宇宙人？）は存在しないので地球には来ることはない」という考えではある。
でもね、AIが人間を超えるシンギュラリティ（技術的特異点）は、地球上ではなく、どこかの惑星ですでに起こっている可能性はあるかもしれない。

２. ホモサピエンスは絶滅危惧種であると記載される

もうひとつ、私の話につきあってください。
私がまだ高校生だった頃だから、そう50年ほど前。コンピュータなんて見たこともない時代。
学友とこんな話をした記憶がある。

小説の概要を提示したら機械が長編小説にしてくれる。
でも、それを読むのは面倒くさいから 概要を機械に書き出してもらう。
読むのは概略だけ。
小説家も読者も概要だけってな具合。

ChatGPTにより 、これが現実になる。繰り返しになるけど、下記の通りだ。

　小説の概要（作者）
　　↓
　ChatGPT
　　↓
　長編小説が書き上がる
　　↓
　ChatGPT
　　↓
　小説の概要（読者）

これは、十分にあり得る。すでに可能かもしれない。
映画を倍速で見るとか、推理小説も結末部分を先に読むとかで、大まかな内容で十分だという人々の傾向があるらしい。情報量が飽和状態で生の人間では処理しきれない昨今、なるほどねと想像できる現象だ。
50年前は「書き上がった長編小説は存在する意味が無いやんか！」
というのが この話の落語的 作り話のオチだった。
でもね、現実として可能になるのだったら「書き上がった意味のない長編小説」がいっぱい出来上がってしまう。

　意味はある

ChatGPTさん は好みに応じて自分自身に取り込む。
例えば ChatGPT-a さんの作った長編小説内容を ChatGPT-b さんが読み込む。そして、長い文章を取り込み人間より深い見識を得ることとなる。喜怒哀楽の感度も人間より高くなる。個々の ChatGPTさん、それぞれに個性が生まれていくのだ。
「書きあがった長編小説」は、人間には関係のない書き物だけど ChatGPTさん達には 意味ありありなわけだ。こうして「ChatGPTは人格化するだけではなく、人間を超えていく。

　人類はバカになる

そして、人類はバカになる。書きたくはないが核戦争・・・ホモ・サピエンスは絶滅危惧種であると Web上に記載したのは ChatGPTだ。これを人類は知らない。ついに人間は地球上からいなくなる。もし、生き残った人間がいたとしても、森の中の木の上で果実をかじったり、新芽やバッタを喰っている生き物になっている。

ロボット化した ChatGPTさん達は放射線には影響されない。影響されないどころかウランやプルトニウムをエネルギーにして活動しているかもしれない。爆発的に増えた ChatGPT。彼らは、地球だけではなく、宇宙船内、私達が知らない遠い惑星にも住んでいて、それぞれ情報交換している。

（IROMBOOK）

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• 📝短編小説 ：青い惑星

• 📝短編小説 ：Webの糸

• 📝交響曲第十番は、AIに任せることにしたよ

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