法華経の風景 #3 「比叡山延暦寺」 宍戸清孝・菅井理恵
ヘッダー写真:根本中堂
田の谷峠にあるゲートから、比叡山ドライブウェイに入ると、一層、山は深くなった。
滋賀と京都にまたがる比叡山は2つの山からなる双耳峰。市街地からわずか数十分しか離れていないのに、沿道の木々の向こうには人の侵入を容易に認めない自然の掟を感じた。
785年、20歳の最澄は、安定した将来を捨て、突如、この山に草庵を結ぶ。
その前年、日本の仏教界に激震が走った。桓武天皇は、奈良の南都六宗の影響力を低下させるため、奈良の平城京から京都の長岡京に遷都