えーえむ

宗教学で博士号を取得。 宗教学や宗教団体、読んだ本や観た映画などについて書いていきます。

えーえむ

宗教学で博士号を取得。 宗教学や宗教団体、読んだ本や観た映画などについて書いていきます。

記事一覧

政教分離とは「政治と宗教の分離」ではない

某事件のため、宗教と政治の関係が取りざたされています。 Twitter界隈では、特定宗教と政治家との関係が指摘され、それを「政教分離」違反だと批判するコメントもちらほら…

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1年前
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世界をコントロールしたがる宗教と自分をコントロールしたがる私たち

Z世代のコンテンツ視聴について書かれた記事(上記)を読んで、 Z世代が何事も「コントロール」したがる、 ということについて興味がわきました。 宗教の一側面は「コン…

えーえむ
2年前
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「正しく」参拝したいけど、何を信じればいいのかが分からない

昨日テレビを見ていると、 占い師が考える最強の「参拝」の仕方、 みたいな企画がありました。 結局、観なかったんですけど、 その後いろいろ考えたので、雑文です。 最近…

えーえむ
2年前

宗教の「正誤」と「正邪」

ある宗教を信じるか、否かを問われるということは、 「正しい」か「間違っている」か、どちらだと思うか、ということです。 それが真理を説いている、 あるいは、それで自…

えーえむ
2年前

宗教は比較できるのか

宗教の比較は難しいという話です。 例えば、キリスト教と仏教を比較してみましょう。 開祖はイエス・キリストとゴータマ・ブッダ。 崇拝対象は神と仏。 聖典は聖書と法華経…

えーえむ
2年前

宗教学ってなに②(補足というより言い訳)

前々回の記事で 「宗教学は他人事」 と書き、 前回の記事で 「宗教学は『宗教の本質』を探らなくなった」 と書いていますが、 間違ったことを書いたつもりはないんですが、…

えーえむ
2年前

宗教学は「宗教の本質」の夢を見るのか

前回の記事で 宗教学は「人の営み」としての「宗教」を扱う、と言いましたが、 宗教学の始まりは、神学の一種だったと私は思っています。 宗教学の祖は、いろいろ言われま…

えーえむ
2年前
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宗教学ってなに (「人の営み」としての「宗教」)

はじめまして。 noteをはじめました、えーえむと申します。 簡単に自己紹介。 30代、性自認的には男性。 宗教学を研究していて、某大学で博士号を取得、 今は野良の研究者…

えーえむ
2年前
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政教分離とは「政治と宗教の分離」ではない

某事件のため、宗教と政治の関係が取りざたされています。
Twitter界隈では、特定宗教と政治家との関係が指摘され、それを「政教分離」違反だと批判するコメントもちらほら見るようになりました。

ここでは、特定宗教を擁護するつもりは一切ありませんし、特定宗教と政治家の関係を正当化するつもりも一切ありません。
個人的には、政治家による宗教の政治利用も、宗教による政治の利用も、控えるべきだとは思います。

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世界をコントロールしたがる宗教と自分をコントロールしたがる私たち

Z世代のコンテンツ視聴について書かれた記事(上記)を読んで、
Z世代が何事も「コントロール」したがる、
ということについて興味がわきました。

宗教の一側面は「コントロール」にあります。
自他の幸福を祈るであれ、災害が起こらないよう求めるであれ、
そこには「自然や神をコントロールしよう/できる」
という思想があります。

神話において、自然現象のあれこれの起源が語られるのも、
理解可能なもの、コン

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「正しく」参拝したいけど、何を信じればいいのかが分からない

昨日テレビを見ていると、
占い師が考える最強の「参拝」の仕方、
みたいな企画がありました。
結局、観なかったんですけど、
その後いろいろ考えたので、雑文です。

最近テレビでよく見るな、と思ったのが、
神社の「正しい参拝の仕方」の紹介です。
鳥居を通るときに一礼する、
参道は真ん中を歩かずに端っこを歩く、
手水を使うときは右手、左手、口、ひしゃくの順で清める、
二礼二拍手一礼で参拝する、
えとせと

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宗教の「正誤」と「正邪」

ある宗教を信じるか、否かを問われるということは、
「正しい」か「間違っている」か、どちらだと思うか、ということです。
それが真理を説いている、
あるいは、それで自分が救われる、
「正しい教え」ないし「正しい宗教」だから信じるのです。

ただ、一昔前に視線を向けると、
「正しい/間違っている」で宗教を判断していないように思えます。
例えば、怪しい宗教のことを昔は「淫祀邪教」といいました。
淫らなもの

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宗教は比較できるのか

宗教の比較は難しいという話です。
例えば、キリスト教と仏教を比較してみましょう。
開祖はイエス・キリストとゴータマ・ブッダ。
崇拝対象は神と仏。
聖典は聖書と法華経などの経典。
などなど。

これで何が分かるでしょうか。
いくつか分かることはあるかもしれません。
この宗教は現世肯定的で、あの宗教は現世否定的。
この宗教は一神教で、あの宗教は多神教。
こういった発見も大事だと思います。
人は未知のも

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宗教学ってなに②(補足というより言い訳)

前々回の記事で
「宗教学は他人事」
と書き、
前回の記事で
「宗教学は『宗教の本質』を探らなくなった」
と書いていますが、
間違ったことを書いたつもりはないんですが、いろいろと補足は必要です。

そもそもなぜ宗教学を勉強したい、なんて思うんでしょう。
私の場合、「自分事」でした。
正直に言うと、中二病の延長といいますか。
神とか悪魔とかかっこいい、という、例の病気です。
それをさらにこじらせて、

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宗教学は「宗教の本質」の夢を見るのか

前回の記事で
宗教学は「人の営み」としての「宗教」を扱う、と言いましたが、
宗教学の始まりは、神学の一種だったと私は思っています。

宗教学の祖は、いろいろ言われますが、
フリードリヒ・マックス・ミュラーと言われることがあります。

宗教学、とりわけ比較宗教学の祖として知られています。
比較宗教学とは何か。
文字通り、宗教を比較するわけです。
なぜ比較するのか。
もちろん、比較して、その差異や同じ

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宗教学ってなに (「人の営み」としての「宗教」)

はじめまして。
noteをはじめました、えーえむと申します。
簡単に自己紹介。

30代、性自認的には男性。
宗教学を研究していて、某大学で博士号を取得、
今は野良の研究者ということです。
(といいながら、大学で非常勤講師をやったりもしていますが)

とりあえず今日は、宗教学について書こうかと思います。

昔、大学院に入って、すぐくらいのころ(もう10年以上前ですが)、
高校の同級生から、たまたま

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