映画「パーフェクトデイズ」の感想
まさに、足るを知る
繰り返される、平凡な日常
そういった日常こそが、一番貴重で、尊い気がする。
もちろん、出会いや別れ、といった経験が、思い出や記憶として刻まれていき、人生を色濃くしていくのかもしれない。
でも、日常がそこに変わらずある安心感、帰る場所があるからこそ、外に出て、旅ができるように、
一人ひとりにその日常のかけがえのないストーリーがある。
それを知ること、理解することを、忘れてはならない。
全体を通して、
虚心坦懐、というキーワードが浮かんだ。
主人公の平川さんは、このルーティンになるまで、紆余曲折あったのだろうけど、基本的に広く平らな心で、そして温かい人だなと思った。
印象に残っている2つの対話のシーンがある。
(そもそも、作中もほとんど対話してないのだが)
1つ目が、女の子とのシーン
私も聞くと思う、今度とはいつのことか?そういう曖昧で、ごまかされているような感じは、苦手だ。
そういうグレーな感じは、耐えられないタイプだけど、
最近は、保留でも、曖昧な感じでも、即決しなくても大丈夫になってきた。
(性格や考え方が全体的に穏やかになったのか。。)
そして、今は今、のセリフに、
今は今、と自分にも言い聞かせた。
今を生きる、この瞬間が大事、now here、そういう言葉がたくさんあるなかでも、響いた。
今の見つめている夕日、光、二人で並んで自転車を走らせていること、
二度と同じ景色は訪れない、そういう時間が愛おしく感じた。
なんて素敵な描写なんだろう。
2つ目は、三浦さんとのシーン
確かめてみましょう、という平川さんのセリフに、
あぁ、そうやって、気になったことをやってみればいいんだ。一つひとつ。
そんなふうに、背中を押された気がする。具体的に何をというわけではないけど。
同時に、
嘆いて絶望している暇があれば、美味しいもの食べて寝るかな!と言ったアンナチュラルの三澄ミコトのセリフもなぜか思い出した。
虚しさから、ぐっと引っ張られた言葉だった。
日々悲しいことがあっても、また日は昇り、朝がきて、
見上げると光が眩しい。
風は木々を揺らし、照らされた葉の影も揺らぐ。
そうやって、自然とともに、私たちは生きている。
私たちが、目の前のことや時間に追われていても、自然はそこにあって、その瞬間の風景を作り出し、私たちと共存している。
・・・そんなことを、熊本の小さい劇場で感じていました。
これから、どんなふうに歳を重ねていくのか、それはまだわからないけど、
今は今、というように生きていくこと、それを積み重ねていきたいと、確信できた作品です。
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