紫陽花と日常

少しずつ日常が戻ってきて、いつもの忙しさが戻ってくると同時に、タイのことを考えることが少なくなってきた。

こういうときに、タイが少しずつ僕から離れていってるような気がして、少し寂しい気持ちになることもある。

そういうときはタイの友達にラインをしたり、Facebookやインスタの投稿をチェックしたりして、僕とタイをつなぎとめるための密やかな動きをする。

タイであった何もかもを忘れませんようにと、呪文のように唱えながら。

このまえタイの友達がタイの風景の写真を送ってくれた。それで何かお返しをしようと思って、何がいいかなと考えたすえ、紫陽花の写真を送ることにした。

タイに住んでいたとき、紫陽花を見たことがなかったからだ。これなら日本ならではのものだし、喜んでくれるかもしれない。

そして送ってみたら、想像通りとても喜んでくれた。

「紫陽花はタイにないです。日本にいたときによく見に行きました。好きです」
と返事をしてくれた。
送ってよかったなと思った。

他にもタイになくて日本にある花は何だろう。
アサガオ？ヒマワリはあると思うし、コスモスはないかな？

そういうことを考えつつ、仕事をしっかりこなし、人ともちゃんと話し、ごはんを一日に三回食べる。

紫陽花みたいに、タイが日常のどこかに咲いてくれていたらいいなと思いながら。
そういう日々を今、過ごしている。

2020年7月9日