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【推し本】2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義/ボンボヤージュ!

私がこの本を読んだのは、今から2年ちょっと前、そう、タイトルの2020年6月30日の10日前だった。

その数か月前から日本でもコロナ禍が叫ばれ、自粛モード真っ盛りの時期だった。
遡ること8年前の講義の場にいた人が、このタイトルの約束通りに、どれだけ本当に集まるかは分からなかったが、10日後物凄い奇跡があるかも知れないとも思った。
世の中がパンデミックでおかしくなっている中で、何かいい話を聞きたい時でもあったのだろう。
しかし、確実なことは、著者の瀧本哲史さんはもうこの世にいないということだった。その前年に病気で早世されていた。

エリートで、マッキンゼー出身の、歯に衣着せぬ鋭いエンジェル投資家というイメージもあったが、まだ何者でもない若者への絶対的な信頼を持っていた人でもあると思う。
なぜなら、若さはそれ自体パワーだ。
それなりの年齢になると切にわかってくるが、これは詩的な表現でもなんでもない。
若いということは、よりこの世に生き延びて、いろいろ社会を変えていく役割を担えるということだ。長期投資でも圧倒的に有利だ。
上の世代の持ち時間は多くない。

瀧本さんは自分の頭で考えて判断するための武器を若者に配り続けていた。
世界に「正解」はない。そんな幻想を抱いてはいけない。
これを大前提とすると、生きていくための意思決定をろくに考えもせずに誰かにゆだねていてはいけない。ましてや、それで何か世の中を変えていくことはできない。
瀧本さんのいう「武器」は、考えるための枠組みであり、それには教養が必要というものだ。

本の最後には、これから世の中に出ていく若者たちに、瀧本さんらしいエールが送られている。
船長は、すれ違う別の船の船長に「ボンボヤージュ!」と言うのみ。そっちに行ったら嵐だぞ、などは言わない。
リスクを負って判断する者同士のリスペクトがあるから、他人の判断に口出しせず、自分の判断にも責任をもつ。

ボンボヤージュ!

そして、今日の講義を聞いてどれだけの人が「ホームワーク」をやってみせたか、8年後の2020年6月30日にこの場所で会おう、ということだったのだ。

より、具体的にヒントを得たい方は次の2冊もよいだろう。
いずれも、大切なのに、なぜか学校では教えてくれないサバイバル術だ。


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