朝乃 戸張

どう生きていくと生きがいが生まれるのか、よくわからなくなっているんだよ。  ご用があり…

朝乃 戸張

どう生きていくと生きがいが生まれるのか、よくわからなくなっているんだよ。  ご用がありましたら、記事のコメントやTwitterへお気軽にどうぞ☆

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    詩と詩に関する記事です。

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    近未来SFシリーズ。どこから読んでも良いように、短編小説として構成しています。

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最近の記事

二月の空

白けた気持ちになりたくて 二月の冷えた空を見上げる くもり 私の血と肉とこころを静めた 愛情を与えることはずっと上手になって 受け取ることはどこまでも下手になっていた いつのまにか 悲しい

    • 因果の道理

      その命は誰のものか。 なぜこの世に居るのか。 生産されたのではない。 産まれてきたのだ。 培養されたラットのぬくもりも 紛れもない命だ。 受粉せず実を成す都合の良い果実も その香りは自らが作り出すもの。 誇りを持て。 その身を器と選んだのはお前の魂。 試練は甘んじて受け入れ 他の者が創れぬ世界を創造しろ。 ああ。 今日も空はあるよ。 成層圏が何色に見えても この惑星の自転は速度を変えない。 時間は均一に過ぎるってことさ。 時を戻す魔法? そんなもの あるはずないだろ。

      • 大陸とヒトの記憶

         朝いちばんの草の上に  ぽとり ぽとりと  種を撒く  はるかな朝焼けは  露ににじんで 乾いて消えた  年寄りの指は豆を開き  若き指がそれを数えていた  懐古主義が命を浄化する  交易のない絹の道を行く男  羊の居ない草原を行く男  馬を駆る勇壮な民の 鷹の目は弓の先を見張る  草原の満月が 溶けて落ちぬよう  砂漠の雨季に 生まれた湖  眠った魚 目を覚ます  刺繍の糸 色を咲かせ  一針一針  布に刻む 祖先の紋様  寄る辺なき花嫁を守れ  オアシスの

        • 黒に沈む

          「愛してる」は月の光に誓え 体は満ち欠けのゆらぎのまま 澄んだ空は似合わない それも悪いことじゃないね 誰の価値観で生きる? ホントはお前 囚われてなんかないよ 愛されてるってさ 思いたいんだよね? 束縛が愛なんだろ? 飽きたらすぐに被害者面だ 「ここに来て」ってどこなんだ その表皮付近? 自分でも辿り着けないだろ。 自分の本心に。 テキトーな定型文を口走って 遠い楽園で笑って 路地裏で淀む風 こびりついた油 立ち去ろうと思えばどこへでも行けるのに 無駄に肌を擦り付け

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        記事

          【合作詩】 時のフィラメント

          それは 柔らかく 優しく 私の上に降り続けた 寒い朝に 曇った午後に 溜息の宵に 涙の夜に 遠い打上花火の音 見えなくてベランダから背を伸ばす 夕餉の匂い 窓硝子に滲む街灯り 理不尽な理由で消えた予定がノートを汚して 思いがけず手にした自由は よそゆきの顔をしている あとどれだけあるのだろう? 問いを胸に パンを焼き 靴紐を結ぶ 「道の果てはあるよ。すべての旅人の道にね。」足元の花はそう答えた 「夢の果てはないよ。すべての幼子の夢にね。」乾いた風はそう答

          【合作詩】 時のフィラメント

          詩を合作してみる【リレーじゃなくてラリー】

          「リレー小説」というものがあるじゃないですか。 複数の作家で順番に一章ごとにまたは一節ごとに交代して一つの物語を書いて繋いでいくという。 次にどんな物語になっていくのか予想もできず、面白いものです。 そういった合作を「詩」でできないものかと。ある日突然思いまして。 そもそも「詩」とは?・書き手の頭の中にある気持ちやイメージや雰囲気や感覚など…目に見えないようなものを文字に変換して読み手に伝えるために、当てはまる言葉を探し出し、伝わる並びを考えながら作成していく。 ・言葉のリ

          詩を合作してみる【リレーじゃなくてラリー】

          【短編】みしんちゃん

          お日様がてっぺんにあった時 河原の方からたくさんの子供の笑い声が聞こえてきて、とっても楽しそうで、わたしは水面から顔を出した。 また“水切り”してる。 平らな石を上手に川面に投げると、石が水面をピョンピョン跳ねながら進んでいく。何回跳ねてから沈んだのかをみんなで数えて、たくさん跳ねさせた子が勝ち。 みんなでよくやっている遊び。 いいな。いいな。わたしもやりたい。一緒にやりたい。 わたしは川から出てみんなのそばに行った。 わたしもやる! みんながわたしを見て「誰?」って

          【短編】みしんちゃん

          たりないひとり

          夕焼けの中 みんなおうちに帰ろう 今日もたくさん遊んだから おなかペコペコだね 「夕御飯は何かな?」 たのしみで 小走りになる川沿いの道 ひとりひとりにひとつずつの 長く伸びた影 あたりまえのように 明日もあるからさ  でもね  でもね  わたしだけ影がない  わたしだけ影がない  誰かに気付かれたら恥ずかしい  わたしの御飯が待ってるおうち  どこだっけ?  忘れちゃった ああ 一番星が見張ってる 一緒に帰れない わたしはひと

          たりないひとり

          【短編】僕達の巡りの旅

          「雪が…見たい…なぁ…」 じいちゃんは僕を見てそう言った。 それから 「あれに…」 ベッドの上で重そうに腕をあげて、震える指でなんとか、湯呑みを指差したんだ。 病院の10階にあるじいちゃんの病室の窓からは、雪で真っ白な山は見える。 でも窓越しじゃなくて、僕に持ってこさせて目の前で見たいらしい。 「お父さん、外は晴れているけど寒いのよ。この窓から見え…」 「わかった。行ってくる。」 お母さんに止められないうちに素早く湯呑みを持って、病室を走って出た。 お母さんはいつも、娘のくせ

          【短編】僕達の巡りの旅

          【詩】 いつくしみのかいな

          重たいからっぽがひそんだその体を ずっと抱きしめておくから 安心して眠ってください ぬくもりを 命ある体内の音を その呼吸を この腕にあずけてください かなしさは たくさんあっても大丈夫 ぜんぶ引き受けるから 朝まで深く眠ったら その体は軽くなっているよ わたしの体が 悪い夢を食べる あなたが眠った後 おなかが満ち足りるまで抱きしめて それからわたしも眠ります どうか静かに ここにあずけてください ------------- 悲しみを隠した誰かを、救ってください

          【詩】 いつくしみのかいな

          水底の人魚

          生命の混沌が漂う海の その潮の合間に 人魚の青年を見つけた 網に囚われたセイレーンの末裔 彼は光を求め 水面を目指し あがき 疲れ 冷えた体を横たえていた 海底に朽ちた古代の遺跡を ただぼんやりと見ながら いにしえの言葉で途切れ途切れの物語を歌う 故郷の景色 置いてきた愛 狂おしい渇望 ひとつひとつが泡となり 水面に小さく不揃いな旋律を解き放つ ただ1枚の 彼の鱗がたゆたっていた 月光に輝きながら 私はそれを大切にすくい 朝焼けの女神へ捧げよう かつて同族であった者

          水底の人魚

          【短編】とある豊穣の庭に捧ぐ

          この石の階段を登ると、居心地の良い庭がある。 私への、私の命への、ただ一つのご褒美。 それは 世界 という言葉そのもの。 ++ 自然のままの深い緑と、太陽の陰をまとったせせらぎの上には 近代的で合理的なコンクリートの橋がかけられていた。 この無粋なコントラストは見慣れたら案外気にならないものだが、 見慣れてしまいたくないと思う。 透明なせせらぎの中の小さなカニが吐く泡や 雨の度に形を変える岸の、名もなき草が落とすしずくの音に 気づくことができなくなりそうで。 橋を渡ると

          【短編】とある豊穣の庭に捧ぐ

          【台本】Judgement

          ボイスドラマ・声劇・ラジオドラマにお使いください。 少女 : 高校生くらい。家出人 井上 : 一見穏やかそうな男 記者 : 兄さんとおっちゃんの狭間 刑事 : 撃つ前に相手のフルネームを叫びたい主義。女性なら美女、男性ならイケメンらしい。 これ以外の各キャラクター人物像、心情推察、役者にお任せします。語尾、性別変更等も、楽しめるように。演出担当さんもお好きなように。 noteの仕様で、ト書き、役名、セリフの境目がわかりにくかったらごめんなさい。なんとか工夫はしました。

          【台本】Judgement

          c6 "Forgotten children "

          壊れかけのネオンが目立つ古い街の夜の路地を、3人の兄弟は必死に駆けた。 ドローンの追跡から逃れなくてはいけない。 見つかってしまったのは失敗だったが、うまく撒くことができたようだ。後ろにドローンの気配はなくなった。 しかし、油断はできない。最近はこんな見捨てられた街にも超小型のドローンが配備され、犯罪防止監視システムは新しい物に徐々に入れ替えられていると聞いた。 破壊し略奪した各種の部品を、一番上の兄が軍払い下げ品のリュックいっぱいに背負い、それが時折夕闇に放電するので、後

          c6 "Forgotten children "

          【歌詞】 -270℃

          これは…J-POP風の歌詞として使える…?のでしょうか…? 物語を書いているうちに生まれた副産物です。 天文マニアの失恋の風景であります。なぜかそうなりました。 一応最後まで書いたのでここに置いておきます。 内容になんのひねりもなく、単語の雰囲気しかないような詞ですが、メロディを付けやすいように1番2番母音の数をなるべく揃えてあります。 歌にしたいなという方…おられるのでしょうか?弾き語り作曲の練習用になどいかがでしょう?コメントでお知らせください。 "-270℃" A)

          【歌詞】 -270℃

          c5 "Coll with girl on the moon"

          私…あなたに会いたくて…。 今日のゲームも、素敵だったの。 終わったら早く…会いたくて、すぐにコールしました。 あなたのところからも見える? 地球って綺麗ね… 行ってみたい。 ねえ、どっちでした?地球が月の周りを回ってるんですよね? え?逆なの? うふふ。知らなかった。 そんなこと知らなくても、別に困らないもの。 ねえ。 今度いつ会えるの? ここで…? ここでなら、いつでも会えるでしょう? ヴァーチャルじゃなくて。 少し一緒に歩きたいの。 歩くのは…苦手だけど。 とっ

          c5 "Coll with girl on the moon"