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美味しく飲んで、意識せずいつの間にか健康に。カテゴリー・クリエイターへの挑戦 Vol.9

S藤取締役がI橋に作らせた事業プランはこうだ。

サプリメントMCMを原液化し、RO濾過した天然水に配合する。
供給の方法はウォーターサーバーと500mlで、既に両タイプ共それぞれ外注先の工場を見付けてある。
お客様へレンタル貸与をするウォーターサーバーは、中古品を用意できるので初期費用も抑えられる。
サーバーは一年毎に交換する。サーバーメンテナンス工場も目処が立っている。
自社ECサイトを作って販売する。

I橋の作成した販売計画はバラ色そのものだったが、その実はS会長の会社の販売力に頼るつもりだ。
S会長のメインの会社は、全国にリアルな支店を260箇所以上有していた。しかし、小売業ではなくサービス業だ。販売する対象が全く異なる。

私は、その面からいっても、この計画に無理を感じていた。
経営の上層部がどう考えたとしても、現場というのは自らの商材の説明で手一杯になる。
オプション商品ならともかく、なんの関連もない飲料品など売れるものだろうか。ましてや、特許を取得したサプリメントを混ぜた水などというキテレツなものをちゃんと理解した上で、説明出来る余裕などあるだろうか。

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その懸念は後のこととして、まず試飲をしなければ始まらない。
とは言っても、その頃の私にはそれほど水を飲む習慣は無かった。というより殆ど飲まない。日頃からたいていはコーヒーばかり飲んでいたのだ。

だから、I橋とS藤取締役が持参してきたサンプルを飲んでも良し悪しについては判断が付かない。ただ、不味く感じた訳ではなかったので、ひとまず合格とした。

RO水にミネラル原液を混ぜる、ということ自体は実はそれほど突飛なことではない。
アクアクララ、クリクラという当時のウォーターサーバー業界でのツートップは、水道水を濾過して、カルシウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウムという成分表示が必要な四種類のミネラルのみを混ぜ合わせている。

水の旨味というものは、如何なるミネラル類が、どの様なバランスで、どのくらい含まれているかによって変わる。四種類のミネラルのみを混ぜているこの二社のお水が美味しいかと問われて、イエスとは言い難い。というか言いたくない。

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この二社の製造方法が何故この様なものなのかというと、配達員が受け持ち地域のルートを廻って配送し、同時に使用済みボトルを回収するスタイルだからだ。つまり、遠距離までは運べないので、地域毎の製造と販売の拠点が必要であり、どこでも同じ商品が作れる方法を採る必要が有った訳だ。
因みに、この手法はボトルを回収して洗浄して再利用することから、『リターナブル方式』と呼ばれる。そして、ボトルの材質はポリカーボネイトを使っており、硬い。

対して、宅配便を用いて、一部地域を除いて全国配送をする『ワンウェイ方式』が後から現れた。ペットボトルと同じ材質のボトルは、使用後に潰してお客様に捨てて貰う。回収の無い一方通行販売手法なのでそう呼ばれる。供給するお水は天然水が一般的だ。
日本は名水の産地の宝庫だ。当時既に天然水のワンウェイメーカーが数多く台頭し、後発ながら確実に販売を伸ばしていた。


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