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夜勤で一番大事なこと?それは仮眠です

なーんて言うと、世間から怒られるのかしら。

休むことばかり考えている
やる気のない看護師だと。

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わたしの背景を軽くお伝えすると、夜勤専従看護師といって、夜勤ばかりする契約の看護師。

したがって、勤務時間は全部夜。
夕方16時30分から翌朝の9時までの16時半、ぶっ続けで働きます。

ただ、法律により2時間の休憩が認められています。9時から17時まで働く人たちの多くが1時間の休憩だと思いますが、その倍働いてるんだから休憩時間だってその倍貰えるよね、という認識をもっていただくとよいのかも。

この2時間の休憩=仮眠が、わたしは死ぬほど大事。
仕事より大事。
だって、夜中に働いてるんだよ?眠くなるのが当たり前ってもんよ。

仮眠の質を担保するため、私物のまくらと毛布をロッカーにしまってありますし、アイマスクも常にバッグに常備。

仮眠をしっかり取れるかどうかが、勤務後半のパフォーマンスを大きく左右することを身をもって知っているからです。

たとえば。

入院したことのある人はご存知かもしれませんが、入院患者さんの採血は朝一番にとります。
健診でもそうだと思いますが、食事をしてから数時間経った頃合いのデータが欲しい。

多くの病院が朝6時に起床、先生たちが病棟にきて回診したり新しい指示を出す8時半前には患者のデータ(採血や尿検査の結果)を揃えておかなくてはなりません。

ということは、病棟看護師は朝6~7時に採血をとりにベッドサイドをまわるわけです。

もしも、あなたが患者さんだったら。

仮眠をとっていない看護師が目をこすりながらベッドサイドにきて採血の準備をはじめたら、ちょっと不安に感じませんか?

たとえば

当直明け、寝ていない担当医が虚ろなままオペの執刀をするの、怖いと思いませんか?

日中と同じように、失敗なく安全に採血してくれるの?
そんなに眠そうなまま、人に麻酔をかけて手術するの、大丈夫そ?

って。

ここで皆さんには、このnoteのタイトルを思い出していただきたいです。

仮眠が1番大事なこと、それはおかしなことでしょうか?
本当に、やる気のない人のセリフなんでしょうか?



したいこと>しなければならないこと

わたしは、多趣味です。

料理、読書、書くこと、ひとりカラオケ、名探偵コナン、カードキャプターさくら……

そのため、日々の料理、掃除やゴミ出し、なんなかんやの支払い……など、しなければならないことに費やす時間が惜しい。

その時間でもっとおいしい料理を作りたいし、もっともっと本が読みたい。
家事代行で作り置きおかずを作る仕事をしていた頃もありましたが、それも作りたいものを作るために、日々のおかずやごはんに割く時間や労力を最低限におさえていく演習の賜物だったのかもしれません。

やりたいことに時間を割くため、やらなければならないことへかける時間を圧縮する。
どうでもいいことのために、どうでもよくないことをとっとと終わらせておく。

はじめの、仮眠の話をひっぱってきますと、仮眠をしっかりとるために業務量やタイミングをかなり調整しています。
(念の為お伝えしておきますが、必要な業務をサボることしていません)

採血で言えば、高齢者の中には5時台から起きている人もいます。
ほら、夏は夜明けが早いからなおさらね。

そういう人は、本人の了解を取れれば暗闇の中でも採血してしまいます。
夕食から10時間以上経っているので、採血の意味合いはクリアしていますしね。

それに、こちらも時間的な余裕があるのでしっかり患者さんの訴えを聞いてあげれます。より安全に丁寧に処置やケアができます。
患者さんとしても、自分だけちょっと特別扱いを受けたような感覚になる人もいるそうです。

もちろん、その時間にいびきをかいて寝ているような患者さんの採血は、後回しにします。
眠たいなか起こされて、針を刺されてご機嫌になる人なんていませんからね。

こういう調整を積み重ねていくと、6時台にやるタスクが減っていくことになります。
そうやって、時間あたりのタスクを分散させているんです。

イレギュラーの業務、患者が転倒した!とか急変した!とかにまわせる労力と時間の余白を作っておきたい。

似たような話は、臨床じゃなくてもありますよね。

・どうしても読みたい本があるので、朝30分早く起きて時間を捻出している人
・お風呂のあとの自分の美容時間を取りたいので、子どもたちやパートナーを説得し協力してもらっている人
・家族をデイサービスに預けている7時間を、うまく振り分けて介護ストレスに対するコーピングをおこなっている人

やらなければならないことよりも、やりたいことの優先順位を高くしておくことで、結果としてやらなければならないことの生産性が上がる、という循環が生まれるように思います。

このあたりは、ちきりんさんの著書にくわしく書いてあります。

正しい生産性の上げ方とは、資源を今より有効に活用し、得られる成果(価値)の総量を増やすことです。

自分の時間を取り戻そう P.73 ちきりん著 

生産性を上げなければと真剣に考えるのは、「そうせざるをえなくなった人だけ」なのです。

自分の時間を取り戻そう P.149 ちきりん著 

たまに、家事も育児も仕事も美容もイケイケなワーママがいたりしますが、彼女たちがイケイケなのは、そうせざるをえない状況の中で絶え間ないPDCAを回し、成果を出してきたからこその生産性の高さなんだなと思います。

反対に、朝から終電までずーっと会社にいること=仕事をしていると認識しているような人の生産性は、う〜ん……


休むことを悪いと思ってしまうのは、なぜ?

ここで、休むことへの抵抗感や後ろめたさを感じてしまうことに関して、話をふくらませてみようと思います。

わたし個人の話をしますと、先日祖母が亡くなったんですね。
南無阿弥陀仏。

契約上の忌引きは2日
熱中症や脱水、コロナ患者の急増、自分や家族が感染or 濃厚接触者でスタッフの人数が最低数を下回っている中、おやすみをもらいました。

ただ、忌引きが労働者の権利であるということと、実際に取得するときの感情には大きな開きがあることを実感したんですよね。
自分の都合だけを優先させてもらったような居心地の悪さと、同僚への負担増への申し訳なさ。

昭和が終わり平成が終わり令和になっても、昭和のモーレツサラリーマン気質といいましょうか。
身体も心も強靭でタフ、休まない人が重宝されるように思います。

だから

・妊活をしているカップル
・持病のある人
・保育園からいつ呼び出し電話がかかってくるかわからないワーママ
・メンタルヘルスの既往のある人

こういう人たちの仕事のしにくさ、好機の掴めなさったらないですよね。
仕組みで解決できる部分がたくさんあるはずなのに、一個人のせいにされ、自分自身で巻き取って解決してね!というパターンが多いのではないでしょうか。


休むことが前提、看護師のキャリア形成

意外に思われるかもしれませんが、看護師は上記のような悩みが一般職より少ないかもしれません。

やっぱり看護師は、女性が圧倒的に多い。
比率でいうと、9割を超えています。

ということは、女性ならではの社会的な離脱が多い。
というかそれを前提にしておかないと、組織マネジメントが成り立たないんです。

女性とは、結婚したら寿退社する
女性とは、夫の転勤についていく者、それゆえ、自身のキャリアを夫に左右される
女性とは、妊娠という生体反応を伴う生き物
女性とは、育児をメインで担う役割がある、保育園や幼稚園からの呼び出しはデフォルト
女性とは、家庭や家族の都合のため、正社員以外での働き方があるのが望ましい

くわえて、やっぱり激務の看護職
コロナもあって、メンタルヘルスの問題で休職&退職するスタッフが多いのもひとつの特徴だと思います。

つまり、女性=出産・育児などでのブランクがあるのが当たり前という認識が、業界全体にあるんです。
師長や看護部長など役職についている人が、ほとんど独身&子なしなんてことは、まずありません。
むしろ、がむしゃらになんとか望むすべてを手に入れてきた人たちのほうが多いように思います。

これは、看護業界だけではなく、すべての業界に浸透して欲しい認識です。

女性でなくたって、家事育児に疲弊する人はいるし、介護する人はいるし、心や身体を病みながらも自身のペースで働きたいと願う人はいるんですから。


休むことが、やっと権利になりつつある日本

まだまだ休むことにかけては、後進国の日本。
しかし、そんな日本でも有給休暇を取らないといけない流れになってきています。

https://jsite.mhlw.go.jp/okayama-roudoukyoku/content/contents/001189402.pdf

簡単にいうと、5日間は有給休暇をとらないといけない。
つまり、休むことが権利ではなく、義務化されました。

とは言っても、お盆や年末年始にちょちょいと取る人が多いと思うんですが……

わたしは、いまの仕事を6年以上やっているので年間で20日間の有給休暇が発生します。
2年経つと消えるらしく、毎月コンスタントに有給を取っているのが現状です。

仮眠だけじゃなく、有給もオール消化しているナースあさみ
休むことにかけては、最先端を走っているという自負があります。


従業員を5週間休ませなきゃいけない国、フランス

ここで、休むことに関して最先端かつ歴史のあるフランスをのぞいてみましょう。

フランスでの有給休暇誕生は、1936年
第一次大戦が終わり、第二次大戦へ向けて世の中が不穏な流れに包まれるなか、2週間のまとまったおやすみを取らないと&取らせないといけない法律が制定されます。

その後、いまのような年間5週間の有給休暇取得が義務という制度に落ち着いたそう。
フランスの人たちは、お給料をもらうのと同じくらい、有給を取ることも当たり前の認識であるというのに、驚きつつも羨ましいと思いました。

給料日に給料が振り込まれていなかったら、さすがに「どゆこと?」と会社にお尋ねすると思うんですが
有給を勝手に使われたり削られたりしても、日本にいるとしかたないか…と納得してしまう人が多いんじゃないでしょうか。

フランス人だったら、ブチギレそう〜(イメージです)

まとまった期間のお休みが、休養や生産性の向上、仕事へのモチベーションアップという効果をもたらす以外に

制度が作られた当初の理念には、さらに深いものがあった。「生きる喜び」「人としての尊厳」を知るためという、生き方の根本に関わる狙いがあったのです。

休暇のマネジメント P.30 髙崎順子著

こういう理念があったことに、心からの敬意と拍手を送りたいと思います。

人の一生は、仕事だけじゃありませんからね。
むしろ、仕事以外のところにその人らしさや喜びがにじみ出てくるもの。

わたしの調べられる範囲での話ですが、フランスの方達のバカンスはとてもシンプル。
南仏など温かい(暑い)地域にいって、のんびり過ごすというもの。
海に入ったり、海辺で本を読んだり、滞在先の街をさんぽしたり、家族や知人と食事をしたり。

人としての「生きる喜び」「人としての尊厳」を味わうには、十分だと思います。


権利と義務のバランスを、できるだけ水平に

日本で働き日本で暮らしていると、どうしても義務ばかり考えてしまいますが、義務は権利とニコイチです。
そして、それは天秤にかけたとき、水平を保っているのがヘルシーだとわたしは考えています。

残業代を出してくれない会社でサービス残業する必要はないし
契約内容以外の業務をふられたら断っていいんです。

わたしの場合は派遣社員なので、たとえスキル的にもキャパ的にも可能であったとしても、正社員の仕事はやりません。
「その業務は契約にないですね〜」と、はっきり言います。
これは、わたしの権利です。

このnoteも、わたしの権利のひとつ。
仕事じゃありませんが、わたしが書きたくて書いたものです。

夜ご飯を冷凍のお蕎麦と桃モッツラレアという火を使わないメニューにし、時間を捻出して書いたわたしの権利の賜物なのです。

しなければならないことより、やりたいことの優先順位をあげて時間をかけること。
しなければならないことへの時間と手間を圧縮して、生産性を上げること。

どちらも、生活をしているすべての人に必要なことではないでしょうか。




参考になるかもしれないテキストたち


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