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#12 2021年夏、日本帰国のために海外でPCR検査陰性証明書を手にするまでがチャレンジングだった話(2021年フランス・パリ旅)

こんにちは、あさまるです。緊急事態宣言下の2021年夏に行ったフランス・パリへの海外旅行。2021年8月下旬にパリへ行き、2021年9月上旬に帰国しました。今回の記事では、当時帰国に向けて必要なこととして「現地の病院でPCR検査を受けたお話」をしたいと思います。
文章多めですがご承知おきください。

緊急事態宣言下の帰国に必要な「厳格な要件のPCR検査」

海外旅行と街ぶらが楽しいと思えて乗ってきた中ですが、パリを離れるまであと2日。一般的な旅行であれば、空港で帰国便に乗ればなんとかなるものですが、緊急事態宣言下での海外旅行はとても特殊な状況下でした。

入国時に必要な資料と要件に適合したPCR検査 および 陰性証明書が必要だったのです。具体的に1つずつ紹介していきます。

1. 検査方法に細かな指定がある

厚生労働省より日本入国に必要なPCR検査の検査方法、検体採取方法について、細かく要件が指定されていました。

1. 検体採取方法が以下のいずれかであること
鼻咽頭ぬぐい液(Nasopharyngeal Swab), 唾液(Saliva), 鼻咽頭ぬぐい液と咽頭ぬぐい液の混合(Nasopharyngeal and Oropharyngeal Swabs)

2.検査方法(Testing Method for COVID-19)(以下のいずれかに限り有効)
Nucleic acid amplification test(real time RT-PCR法), Nucleic acid amplification test (LAMP法), Nucleic acid amplification test (TMA法),  Nucleic acid amplification test (TRC法), Nucleic acid amplification test (Smart Amp法), Nucleic acid amplification test (NEAR法), Next generation sequence (次世代シーケンス法), Quantitative Antigen Test (CLEIA, 抗原定量検査)(注:Qualitative Antigen Test(抗原定性検査)は不可)

3.検査証明書のヘッダーなどに研究機関ないし医療機関などの検査を実施した機関のロゴ等を印字

在シアトル日本大使館 Webサイト
【重要】新型コロナウイルス感染症に関する新たな水際対策措置について」より引用

一般的な病院であればおおむね上記に準拠した形式で発行されるかと思いますが、採取方法から検査方法まで非常に細かく指定されていため、悩ましいところでした。

2. 日本入国用検査証明フォーマットでの提出が必要

そしてさらに厳しいことに、2021年8月~9月時点では、日本人として自国に帰国するためには「日本入国用検査証明フォーマットで記載された、出発72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書」が必要でした。

病院発行のPCR検査陰性証明書でも帰れなくはなさそう・・・でしたが、入国できる保証がないような言質があり、いっそう不安になりました。

任意のフォーマットによる検査証明を取得する場合には、航空機の搭乗時及 び本邦入国時に検査証明の内容を確認するための時間がかかることがあり得る ほか、場合によっては、搭乗拒否や検疫法に基づき入国が認められないおそれがあることをあらかじめ御理解願います。なお、厚生労働省が有効と認める検査検体及び検査方法以外による検査証明は、本邦検疫及び各航空会社に無効なものと取り扱われます。

在キューバ日本国大使館 Webサイト
厚生労働省所定フォーマット(検査証明書)利用の原則化等(PDF資料)」より引用

日本入国に必要なPCR検査要件6点

厚生労働省による日本入国時の要項からまとめますと、以下6点を満たす必要があることがわかりました。

  1. 検体採取方法が適格である

  2. 検体採取が出国前の72時間以内に行われている

  3. 検査方法が適格である

  4. 検査結果が陰性である

  5. 陰性証明書のフォーマットが日本入国用になっている

  6. 陰性証明書内に検査を担当した方の署名がある

ひとつひとつはとても言っていることが明瞭なのですが、現実問題、6つの要件を満たした結果を出すのは、簡単にできるものではありませんでした。ひとつずつ確認と進めることが必要で、意識せずに進めると「実は要件を満たしていなかった」となりそうなくらい、トリッキーです。
というよりも、この制約は厳しすぎると感じました。特に(3) (5) (6)あたりは。

このように、今回の海外旅行旅では日本入国用のPCR陰性結果証明書を現地で取得することが、もっとも不確実性が高く難易度の高いミッションでした。

「フランス・パリ中心部だからなんとかなる」と考えていましたが、帰国日3日前になり、ようやく向き合うことにしました。

ひとり作戦会議をする

ホテルに宿泊し、近くのパン屋さんで朝ごはんをした後、部屋にこもって作戦会議をはじめます。

5つの要件のうち、最も不確実性が高いのは、「病院から日本入国用陰性証明書のフォーマットで検査結果をもらうこと」でした。

私は英語はほとんど話せません。中学生レベルの英語のみです。そしている場所はフランス。フランス語が主に話されている国です。お互い英語で疎通できる確証もまったくありません。

この状況下では、まず病院の受付で交渉したところで日本フォーマットで結果はもらえないだろうと感じました。病院のPCがインターネットにつながっているのか?日本政府のサイトを探し出してPDFをダウンロードできるのか?紙に印刷してくれるのか・・・?
まったくスムーズに進む気がしませんでした。

これは逆に日本で同じようなシチュエーションだったとしても、病院で「とある外国政府のフォーマットに準拠して出してほしい」と言っても、受付の方から難しい顔をされると感じたからです。

さらにこの状況で医師のサインまで求めないといけないのですから、難しいコミュニケーションをとらなければいけない状況なのは明白でした。
そこで私は、以下の作戦で望むことにしました。

  1. 現地病院でPCR検査を受ける

  2. 陰性結果が出た後に、プリントセンターで日本入国用フォーマットおよび陰性結果を印刷する

  3. 必要事項を記入し。再度病院へ行って医師のサインをもらう

これなら (1) で仮に陽性が出た場合は諦めがつく、(2) で用紙に印刷することで飛行機には乗れそう、 (3) は医師の先生に頼み込んで手に入れれば最高ですね。

よって、PCR検査を受ける病院も、ホテルとプリントセンターの両者に近い場所で探すことにしました。

PCR検査場所の検索は、フランス政府のWebサイトが使いやすかった

PCR検査を受ける場所・病院については、在フランス日本大使館から公式に出ている情報をチェックしたところ、Sante.fr というフランス・保健予防省が提供しているWebサイトがあることを知りました。PCR検査ができる病院を地図から探せるサイトです。

フランス・保健予防省 PCR検査施設検索サイト(Covid-19 : tout savoir sur les tests)

地図から病院を見つけられるのはもちろんのこと、取り扱っている検査方法(RT-PCR、抗原検査)でフィルタリングすることもできたのです。
まるで賃貸で物件検索するような感覚でした。日本でもこんなWebサイトあったら良いのに。。。
デジタルの活用が進んでいると感じた瞬間でした。

PCR検査を受けにいざ病院へ

作戦会議の後、昼ごはんを食べた私は、早速病院へ行くことにしました。

私は旅の後半はモンパルナスのホテルに滞在していたのですが、Sante.fr で探した結果、私は「BIOGROUP - Laboratoire Denfert Rochereau」という病院で受けることにしました。予約なしでPCR検査を受けられることがわかったことと、プリントセンターが1.5kmほどの距離にあって近いことが決め手でした。

病院へ入ったあとは受付でGoogle翻訳アプリを使ってコミュニケーション。
問診票を記入し、「PCR検査を受けたい」旨を伝えて、待合室で20分ほど待ちました。

「パリに住んでいるのか?」という質問を受けたのですが、「いや、住んでいるというか観光で滞在しているんだ」という回答をしたら、「いや Yes or No で答えなさい」的なことを言われてあたふた。保険や補助金の関係があるのかな?と想像したけど質問の意図はよくわからなかった。

診察室に通され、フルネームと生年月日の確認。鼻の奥から採取するかたちでグリグリされました。

会計では49ユーロ(日本円で約5,800円)をお支払い。結果は今晩か明日の朝にはメールでいただけるとのことで、この日は終えました。

病院受診後はパリ・モンパルナス駅から、ベルサイユ宮殿へ観光しました。

PCR検査の結果は夜21時頃に陰性とのことで、メールで送られてきました。陰性結果でひとまず航空機には乗れるだろうと思い、ほっとしたのを覚えています。

病院への道中で見つけた「ベルフォールのライオン」
自由の女神の彫刻家の作品であり、記念碑となっている

翌朝、プリントセンターでフォーマットを印刷する

モンパルナスでの1泊の後、いよいよ帰国日前日。この日は朝食を食べた後、「COPYTOP」というプリントセンターへ向かいました。
「陰性結果のPDF」と「日本入国用陰性証明書のフォーマット」を印刷してもらうためです。

COPYTOP パリ・モンパルナス店(画像は公式店舗サイトより引用)

パリは中心部であってもプリントセンターがとても少ない印象でした。いや、日本だとキンコースやアクセアが都心部には多くありますが、日本を基準にしてはいけないのかも。

COPYTOP パリ・モンパルナス店 店内受付(画像は公式店舗サイトより引用)

SDカードに入れてお願いしたのですが、ストレージは受け付けておらず、「店舗のメールアドレスに直接送ってくれたら印刷するよ」とのこと。

個人情報を知らないメールアドレスに送るのは嫌だったんですが、背に腹は代えられません。お送りして印刷してもらいました。
A4 1枚1ユーロ、4ページ印刷してもらったので、計4ユーロ(約530円)でした。適正な価格だと思いますが、やっぱり紙の印刷はたまに必要になるので、コンビニで簡単にネットワークプリントができる日本はすごいと思いました。

印刷後は、「日本入国用陰性証明書のフォーマット」に対して、医師のサインをお願いするためにもう一度病院へ。
他の患者さんのご対応で忙しい中、20分ほど待って医師の手書きサインをいただくことができました。

「医師のサインが入った日本入国用陰性証明書」が仕上がった瞬間、私はとっても安堵したのが今も記憶に残っています。

これで日本に入国できる段取りがついた。帰りの航空券を手に入れたような感覚でした。実際、空港および日本到着後にこの証明書を見せて問題なく入国することができました。

この日の夜はモンパルナスの飲食店で気兼ねなくごはんを楽しみました!

雰囲気的にとても良さそうだったので入ってみたのは「Au Metro 14」というレストラン

振り返ってみて

2021年夏、緊急事態宣言下での海外渡航・帰国は非常に厳しかったといえます。日本国内にいる分はなんとも感じていませんでしたが、日本専用の入国フォーマットは、やはり融通のなさを感じました。
「ここまでする必要はあったのだろうか?」といえます。陰性証明書は各病院ごとにそれぞれフォーマットがあるだろうし、それで良いのでは?と感じました。おそらく偽造された陰性証明書で入国させたくない思いとかもあったのでしょうかね。

この時期に海外へ行った方にしかできない体験でしたので、ひとつの思い出として記録しておきたいと思い、noteに記しました。

街ナカの移動はLimeというレンタルキックボードに助けられた

ホテル、病院、プリントセンター間の移動には、パリ市内の駐輪スペースによく停められていたレンタサイクル、レンタルキックボードをフル活用しました。最もよく見かけたのが「Lime」と「Tier」でした。

私はLimeで市内を移動していました。キックボードをレンタルでき、時速15kmほどでスムーズに移動できる体験は新鮮でした。

PCR検査と陰性結果証明書がチャレンジングでしたが、最終的に手に入れられたお話でした。
また次回の記事でお会いしましょう。


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