この夏おすすめ映画4本と苦い思い出 8月1日(火)
今年の夏は、よく映画を観ている。
どきどきしながら観に行ったのは、こちらの作品。
『怪物』
『君たちはどう生きるか』
いずれも話題作。
どちらも「時代性」がひとつの鍵だったので、リアルタイムで見ることができて、ほんとうによかった。
友人にも観た人が多いので、感想を聞くのも、映画を見るのと同じくらいおもしろい。良い作品ほど、色々な見え方が生まれるのだと思う。
そして今週末楽しみにしてる2本
『ぼくたちの哲学教室』
『教育と愛国』
『ぼくたちの哲学教室』は、ゴトゴトシネマにて。ゴトゴトシネマは、高知という文化的辺境の地(!)でミニシアターばりの良質映画を提供してくれる救世主的存在。価格もとてもリーズナブルなので、家族で安心して観に行ける(シネコンは家族4人で6,000円超え…涙)
今回は小学校4年の息子も連れていく。
マイクラ(ゲームです)と将棋に夢中の彼が、どれだけ興味を持てるかは未知数だけど、年に一度はこんなチャレンジもしてみたい。映画館で映画を見る、という体験だけでもなにか残るものがあるかもしれない。
もう一本は、『教育と愛国』。
教育と政治。どちらも興味があるけれど、いかんせん知識不足だなあ、とうっすらとしたうしろめたさを感じてきた。そんな私に色々な視点を与えてくれる映画だと思う。
こちらはなんと豪華トークイベント付き。
ゲストは『教育と愛国』にも出演されている平井美津子さん。
平井さんは、大阪の公立中学校の社会科教員。日本軍「慰安婦」の問題を通じて、戦争の本質について伝える授業を続けてきたという。
こちらのインタビューも、とてもわかりやすく、非常に興味深く読んだ。
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苦い記憶がある。
大学生の頃、夏季留学先のフランスで、台湾人の子と知り合った。とても感じが良く、成熟した話し方が印象的だった(会話はフランス語ではなく英語)。
どういう流れだったか、「日本がかつて台湾を占領していて…」という話になり、当時のわたしは日本の侵略戦争について、ほとんど把握しておらず(たしか教科書にそんなことが書かれていたような…あれ?でも「それは事実ではない」と言っている人がいたような…)と混乱しつつ、無知と思われたくないという気持ちと(実際無知だった)、とにかく何かを言わなければ、と焦る思いで
「それがほんとうに起きたこととは限らない」
と言ってしまった。
彼女は一瞬押し黙り、「それはほんとうに起きたことだ」と静かに言った。その後のことは覚えていない。
その後しばらくして、新聞かなにかで日本の侵略戦争についての記事を読み、愕然とした。あのときの、彼女の顔が思い出された。
あれから27年。その記憶がずっと自分の中に沈んでいる。羞恥と申し訳なさ、そして「なぜ私はそれを知らなかったのか?」という問い。
『教育と愛国』は、その時からわたしが抱え続けているテーマと結びついている。
侵略戦争も、慰安婦問題も、ほんとうはもっと知らなければいいけないことだと思う。過去を見つめることで、はじめて人は進んでいけるのだから。
『教育と愛国』の自主上映に踏み切ってくれたのは、友人でもある「いのちつなぐ」主催のタナベヨシカさん。彼女には感謝しかない。
知ろうとする小さな一歩だけが、いまのわたしにできることだと思う。
『ぼくたちの哲学教室』 8/5~6日 @高知市メフィストフェレス 詳細はこちら。
『教育と愛国』8/6(日)@高知市立自由民権記念館 詳細はこちら
*平井美津子さんトーク「生きづらさと子どもたちと教育」
*従軍慰安婦当事者のドキュメンタリー『金福童』も同日上映