アマゾンがない国、ノルウェーでの出版業界の未来とは
メディア業界のデジタル化が進むノルウェー。
今や10人中8人がストリーミングで音楽をきくように。
ラジオでは、FM放送全廃に乗り出した最初の国でもある。
出版業界はどうなっているのだろうか。
読書が好きな筆者だが、ノルウェーでの本の価格にはいつも驚く。
1冊4000~5000円前後するのが普通だ。蚤の市に行っては、1冊500~600円ほどで古本を購入している(価格は蚤の市によって異なる)。
本の価格がこれだけ高いと、その分何かを得ようという意識が働いて、必死に本を読もうとする自分がいる。
Cappelen Damm出版社の広報アンネ・オステゴール氏に、以前、本の価格はノルウェーではどうしてこうも高いのか聞いたことがある。
最も大きな理由は、ノルウェーが(人口520万人)という小国で、ノルウェー語を話す人が世界的に少ないからです。本が印刷されればされるほど、1冊の価格帯は低くすることができます。
ノルウェーでは多くの本の部数はわずかなもの。初版の発行部数は2000~2500部が一般的です(少ない時には1500部)。だから、どうしても1冊の価格帯が高くなってしまいます。
物を作るにもお金がかかる国なので、アイデアからスタートし、1冊の本ができるまでのプロセスにも、さらなるお金がかかってしまいます。編集者やコンサルタントたちへのギャラも高く、他国に比べると作家へのロイヤリティも高いのですよ。
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5日、15度を超え、春の兆しがでてきたオスロでは、ダイクマン公共図書館で、出版業界の行方についてのトークショーが開催された。
メディアのデジタル化の研究者、紙の本を売る出版社、既存の出版業界のビジネスモデルにはうんざりの作家という、立場が異なる3人が集まった。
Photo&Text: Asaki Abumi
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