【ご採用事例のご紹介④】完全別注のオリジナル米袋(マットポリポリ)~アニメーションタイアップパッケージ~
皆さんこんにちは、
アサヒパック広報の小林です!
こちらの記事では、日ごろご愛顧いただく皆様のご採用事例をご紹介します。今回お話を伺ったのはこちらのお客様。
取材に快く応じてくださり、ありがとうございます!
静岡県の東側、富士山麓と伊豆半島の計8JAが合併して2022年に誕生したJAふじ伊豆さん。日本最大級の事業規模を誇りますが、その中でも沼津市を擁する「なんすん地区」は、人気コンテンツを巧みに用いた「商品開発」と「地域活性化」で注目を集めています。
今回はご採用いただいた袋のご紹介を軸に、ブランド米とアニメーションタイアップ企画の取り組みについてレポートします。
するがの極 × ラブライブ!サンシャイン!!
「アニメで町おこし」の成功事例は国内にいくつか存在しますが、沼津市は“その代表格”と言っても差し支えはないでしょう。大人気シリーズ「ラブライブ!」、その2作品目「ラブライブ!サンシャイン!!」の舞台となった同地域は、コロナ禍による一時的な減少はあったものの、放送開始から8年目を迎える今でも数多くのファンが訪れる“聖地”となっています。
そんなキラーコンテンツを「農産物PR」へ巧みに活用しているのが、地元の「JAふじ伊豆なんすん地区」の皆さん(企画スタート当時はJAなんすん)。
作中にも登場した特産の「西浦みかん寿太郎」から始まり、地元ブランド茶葉使用のボトル缶飲料「ぬまっちゃ」など、アニメとのタイアップ商品を次々と世に送り出してきました。
そして数年前から販促に取り組むのが、独自基準を満たす「きぬむすめ」を使ったブランド米「するがの極」とのコラボパッケージ商品です。“若い世代に積極的にお米を買ってもらう”という難題に「コンテンツの力」を借りて挑んでいます。
そう話してくれたのは地区購買課の吉川さん。インタビュー中の言葉の端々から、地域と作品双方への愛が溢れているように感じました。
それでは今回ご採用いただいた米袋を見てみましょう。
非常に目を惹くメインイラストは「すり餌」さんというイラストレーターの方の作品。
吉川さん曰く『企画元のサンライズ(現バンダイナムコフィルムワークス)にとてもセンスの良い担当さんがいるんです!』とのことで、確かに、一見アニメ関連の商品とは思えないほど落ち着いたデザインになっています。
その繊細な色味を上手く表現するため選ばれた材質はポリポリ。こういった淡く薄い色合いは、一般的に掛け合わせでの印刷が非常に難しいのですが…なんとか、納得のいく仕上がりになってくれました。表面に施したマット加工も、そこに高級感を加えています。
こちらこそ、妥協ができない製品でご用命をいただき、本当にありがとうございます!
国内屈指の新米PRイベント
そう語る地区営農課の榎本さんは、何を隠そう本タイアップの仕掛け人。立ち上げ当初からずっとこの企画を支え続けてきました。
そんな『出口対策が課題』という「するがの極」ですが、取り組みの一つとして2022年からアニメ「ラブライブ!サンシャイン!!」と地元飲食店を巻き込んだ新米PRイベント「するがの極フェス」を開催しています。
11月から12月にかけて2市2町(沼津市・裾野市・清水町・長泉町)のお店を回るデジタルスタンプラリー形式で、コラボステッカーのプレゼントや懸賞企画も実施。協力を申し出てくれた飲食店へ「するがの極」を提供し、お店を訪れるお客さまへ新米を最高の状態で味わってもらえるように工夫された企画です。もちろん、コラボパッケージのお米をその場で購入することもできます。
内外から好評のこのイベント。驚いたことに、企画案そのものは「するがの極」を生産する農家さんからの“持ち込み”だったのだそうです。
それを受け取った榎本さんが『なんとか形にしたい』と、ブラッシュアップをしつつ各関係者と調整。結果的に国内でも屈指の「新米PRイベント」となりました。
コンテンツの力を借りてブランド知名度を上げ、それによって売り上げが上がり、高まった意欲によってまた新たなアイディアが生まれる…。とても理想的な好循環です。
地域の理解を得るための“絶妙なバランス感覚”
とはいえ、農産物とアニメ作品のタイアップ、それも特にキャラもの…となると「地域や生産者の理解を得ること」は、かなり高いハードルになりそうです。
ところが、今回の米袋もそうですが前述の「西浦みかん寿太郎」も「ぬまっちゃ」も、実は地元のスーパーやコンビニに普通に陳列をされているのです。
表現を変えれば“陳列できるデザインに留めた”とも言えます。
確かに、アニメファンにベクトルが向きすぎたパッケージですと、なかなか一般消費者の理解は得られないかも知れません。そちらを向きたくなる気持ちをグッと堪えて、バランスの取れたデザインにしたことが結果、“双方から愛される商品”として形になっているのではないでしょうか。
加えて、各農産物そのものが“味で勝負できる品質”だったことも大きく、特にみかんはその美味しさから「若者が10キロを箱で毎年購入してくれる」という奇跡にも近い状況となっています。
ただ、もちろん良い側面ばかりではなく気を使うことも多いようで…。
例えばみかんの出荷箱。凹んだり、汚れて届いたために『取り替えて欲しい』『箱だけ売って欲しい』などのご意見が届き、当時は対応に困ってしまったそうです。そう言われてみれば、パッケージを綺麗に取っておきたいファン心理も分からなくはありませんよね?
現在では「出荷時の送り状は箱に直接貼らない」「場合によっては二重包装にする」など、購入者へ寄り添った対応をされています。
さて、この「ラブライブ!」シリーズはアニメコンテンツの中でもかなり“息の長い”作品です。放送開始から時間が経っていることもあり、モデルとして登場した施設やコラボカフェが相次いで閉園、閉店を発表するなど、少しずつですが状況も変わり始めています。
先述のようなバランスを地域全体で見極めていくことは非常に難しいかも知れませんが、JAふじ伊豆さんのように、商品PRへコンテンツを賢く用いることができれば、日本各地の素晴らしい農産物が、きっと今まで以上に若い方々からも求められるようになるはずです。
最後に、吉川さんへ今後の展望についてお聞きしました。
※本記事は弊社発行「こめすけ 49」に掲載の内容を加筆修正し、再構成したものです。
※取材は2024年2月に行いました。