マガジンのカバー画像

穏やかな日々

10
こころにうかぶことを、誰に伝えるでもなく、むしろ自分の整理のために書き残します
運営しているクリエイター

記事一覧

私は今ここにいるべくして、ここまで生きてきた

私は今ここにいるべくして、ここまで生きてきた

電車の中、目の前に座った若者のスポーツバッグにはある有名私立大学の附属高校の名前が記されている。私は小学生の頃から受験勉強を始め中学受験をしたのだか希望校には合格とならず公立中学へ進学、以降、高校大学と、世間では決して一流とまでは言われない進学の道を辿った。その中学受験の体験が影響しているのか、なんとなく学歴に対してコンプレックスのようなものを感じることがある。実際、もしあの中学受験で希望校に受か

もっとみる

自分への言い訳

市内でひとり暮らしの98歳の叔母。2週間以上、連絡をしていない。どうしているかな。平日はヘルパーさんが入ってくれるので何かあれば連絡が来るはず。でも、連絡が無いから良いということではないよね。最後に行った時、買っていった折り詰めのお弁当を見た時の叔母の嬉しそうな表情。完食だった。きっと毎日コンビニの冷たいおにぎりばかり食べているんだろう。

放っておくなんてヒドいじゃないか。

そんな声が聞こえて

もっとみる
パパはどこに行ったのかしら

パパはどこに行ったのかしら

昨晩、姉からスマホに電話が。いつもはLINEでのやりとりなのに、これは緊急に違いない。すぐに母のことが脳裏に浮かぶ。
「どうした?」
「ママが変になって。あの遺骨はパパの骨ではないって、また言っているの。しまいには怒って手がつけられない」
母は以前から父の遺骨は父のものではない、という主張を繰りかえしてきた。僕はネットでいろいろ調べ、葬儀会社、火葬場に電話で確認をした。火葬場は火葬の日の記録を調べ

もっとみる
人生において、子どもや孫ができる意味

人生において、子どもや孫ができる意味

今日も天気が良かったのでスーパーで買ったお弁当を駅前タワーマンション下にある広場でひとり食べていました。すると目の前を老夫婦が、おそらくお孫さんと思われるお子さんをベビーカーに乗せてゆっくりと歩いて行かれました。
「もっと奥へ行くの?」
「ここじゃまだ景色が面白くないんじゃない?」
そんな会話をしながら。
幼い子どもになるべく素敵な景色を見せてあげたい。そんな優しい気持ちがうかがい知れました。

もっとみる
どこにも行きたくない

どこにも行きたくない

今年98歳になった叔母はひとり暮らし。家族と死別したわけではなく、これまで生涯ひとり暮らしだ。だからだろうか、この年齢になってもひとりで暮らしている。ただ、この数年もの忘れがひどく、数分前のことでも忘れてしまう。いや、そもそも憶えないといった方がいいだろうか。認知症の典型的な症状なのかもしれない。昔のことは憶えているがついさっきのことはまったく憶えていないのだ。
そんな姿を見ると当然のごとく、ひと

もっとみる