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上京して良かった話

上京して来て良かった事といえば、やりたい仕事が世の中に存在している事と行きたいライブに行ける距離にある事、これに尽きる。もともと地元には何の拘りもないので、家を出ないメリットといえば「実家の犬と遊べる」これしかなかった。たとえ幾ばくかの生活費を出したとしても、実家に住む以上部屋を年中ハロウィンパーティの飾り付けにしたら文句を言わることは必至。上京して速攻ワンルームに黒い蜘蛛の巣(パーティグッズ)を張り巡らし、蓄光のクモをテグスで天井から垂らして隠しダンジョンみたいにした。片付けるのが面倒なのでもう二度とやらない。
関東における東京みたいな扱いを東北では受けている仙台だが、少なくとも当時はデザイン系の求人なんて市内に何もなくて、この専門学校の存在意義とは……?と不思議だった。担任からDTPのバイトを紹介されて行った先がスーパーのチラシを専門にやっている小さい事務所で、今となっては家電量販店の仕事をやっていた時期もあるのでわかるが、チラシをレギュラーでやっているとなると相当忙しい職場だったと思う。指示を出す暇もないので放置され、次回未定みたいな感じだったので2回しか行かず辞めてしまった。専門学校は基礎を覚える以上の役には立たないし、仙台にいるうちは、私のモラトリアムに終わりは来ないのだと結局自力で都内のデザイン会社を探し 、就職を決めた。30人弱のクラスの中で、卒業時にデザインどころかPC系の職種に就職が決まっていたのは数人しかおらず、しかも都内でとなると自分だけだった。小学生の時、青森から札幌に引っ越す時に「米米クラブは青森を飛ばしても札幌は絶対行くもん。羨ましいよ……」と馬の餞をされた。今はそんなことないと思うが、進学で地元を出ない限り、一生地元の呪縛が東北には確実にあった。面倒臭がりで付き合い悪いのに行動力とコミュ力がそれなりにあったお陰で今シティガールとして生活できているのかと思うと、拘りのなさを育んでくれた地元よありがとう、と感慨深い。

中高生の時に聴いてたプレイリスト20歳位から聴いてたプレイリスト、ときてこれが最後の、ここ10年から最近までのプレイリスト。

小林太郎「安田さん」
「ストファイHジェネ祭り」という10代のアーティストを発掘するイベントの、地域別の代表による全国大会の様子をたまたま深夜テレビで観た。東海代表の「小林太郎とマサカリカツイダーズ」というふざけたバンド名ながら、曲の完成度が飛び抜けていて、フロントマンの小林太郎はお若いのに表現力があって、10代とは思えない独特なささくれた声とギターもびっくりする程上手く、当然の如く優勝した。通販で購入した自主制作のCD-Rと番組で制作したCDを聴きまくっていたが、そのうちソロでデビューが決まり、スキルフルな年上のサポートメンバーが付き、デビューライブもリリパもサマソニもアラバキも観に行った。ロン毛で白のフライングVで本当に格好良かった。その後サポートがいなくなり同年代のメンバーと一緒にバンド形態となったが、一度高まってしまった生活水準はなかなか下げられないように、既にメンバー全員演奏力の高いライブを観てしまっているからか、どうも馴染めなかった。

BYEE the ROUND「コンティニュー?」
そんな小林太郎とYE$MANをお目当てで行った対バンライブに出ていたのがデビュー前のバイザラウンドだった。基本ザラザラしててしっとり時とのギャップがある西荻窪の洋菓子屋のフィナンシェみたいなイケボが私は本当に大好きなんだと思うが、歌も演奏も上手くステージ映えするギタボ、常軌を逸した変則ギター、挙動がやたらと格好良いベース(ベースショットガンで撃ち殺されたい女子がいっぱいいた)にパワフルなドラム、そしてエモい楽曲。終演後、吸い寄せられるように物販に行き、CDを全部買い、ご本人が物販に立つという文化に初めて触れ衝撃を受けた。そしてメンバーにその日のライブの感想を伝えたいがために毎回CDを買っていた。(それでもボーカルの松山さんだけは美形すぎて恐れ多くて話しかけられなかった)「コンティニュー?」はメジャーになってからの曲。好みとは微妙に外れていた。(Spotifyには「イメージ」とか「ゴールド」とかの私の好きなデビュー前の曲がなかった)

The cold tommy「リュカの黒髪」
そんなBYEE the ROUNDをお目当てで行った対バンライブに出ていたのがデビュー前のコールドトミーだった。ガッサガサここに極まれりみたいなのに基本ピュアな独特すぎる声と不思議なリリック、エモい楽曲に3ピースとは思えない音圧。終演後またもや吸い寄せられるように物販に行き、あるCDを全部買った。物販の勝手も熟知していたので、その後もやはり微力ながら支援しようとライブの度にCDを買っていた。本当に好きすぎて、メンバーの誕生日に焼酎やバスソルトをあげたりお菓子を差し入れたり、初自主企画後の打ち上げで出たケーキを知らないイツメン同士でつついたりと、それは楽しかった。この時にファンの方が好きなバンド数組を地元に呼んで対バンライブを企画していて、「そうか私もやれば良いのか……」と思った。私の好きな「夜汽車」とか「パラドックス」とかの初期曲がSpotifyにはなく、「リュカの黒髪」はメジャーになってからの曲。彼らに限ったことではないが、メジャーになると若干安定するからか初期衝動が薄くなってしまうことがままあり、リリックが自分の好みとは微妙に外れて行ってしまっていた。とは言え曲が格好良いのには変わりなく、実は自分の企画の時に2バンドに連続で断られ、問い合わせたことがあった。告知前だったけど丁度ドラムが入れ替わるタイミングで実現はしなかったけど、もしかしたらまたライブに通うようになってたのかもしれない。

Owl City「Fireflies」
普段職場ではJ-WAVEが流れているが、程良くトレンドをおさえたオシャレな曲がかかるので重宝している。Owl Cityは当時かなり癒されていて、狂ったように聴いていて、品川ステラボールで行われた来日公演では感激して泣いてしまった。そういえばライブ前に今はもうないバーチャルライドシアターで「ダイオウイカVSマッコウクジラ」を観た。

Jónsi「Go Do」
J-WAVEの中でも、特にレイチェル・チャンの番組の選曲が好みで、Sigur RósとかEnno BungerとかÁsgeirとかの暗い感じの曲ばっかりかけていた。ヨンシーはこの時期毎日と言って良い程かかっていたが、初めて聴いた時は衝撃が走った。楽曲もMVも衣装も世界観全てが最高で、ソロ来日公演の早め整番チケットも入手し(クリマン3Aパワー)、ツアーメンバー全員とのサイン会にも参加した。今となってはありえない程貴重な時間+ブックレットとなりました。アレックスもいたし……

Sigur Rós「Ný batterí」
シガーロスの名前は知っていたが、「Hoppipolla」のイメージが強く、今までちゃんと聴いて来なかったけど、ちゃんと聴いてみたら凄く好きだった。武道館もセンター4列目位(クリマン3Aパワー)で、この曲と、大好きな「Vaka」と「Sæglópur」を演奏してくれて感激の余りまたもや泣いてしまったが、周りの人達もみんな泣いていたので、シガーロスとはそういうものだと思う。

Nothing's Carved In Stone「村雨の中で」
エルレ活動休止後はthe HIATUSを良く聴いていたため、CDは家にあったもののちゃんと聴かないまま「REVOLT」まで放置してしまっていた。ある時、金髪マッシュの村松拓格好良くない?声もガサガサしっとりで格好良くない?日本語詞格好良くない?となり、単独だけでなく対バンライブやイベントやフェスなども行っていた。(ステージ上手とセンターはサーフと圧縮が怖いので専ら下手)

TK from 凛として時雨「haze」
今でこそ凛として時雨とTKソロは近い感じになっているが、初めは全然別物感が強かった。ライブを観ては「本当にギターはTK一人しかいないんだ……」と思っていた。初めて行った中野サンプラザ公演は、ベースがひなっちだったものの最後列でステージが見えず、かろうじて上手の短パンのboboさんが見える位だったが、それはそれで良いものを観れたと思っている。グッズがオシャレで、この頃は普段から良くバンドTを着ていた。

the dresscodes「Ghost」
マリーズ時代は全然馴染めなかったものの、ドレスコーズは凄い好きで、特にドラムの菅さんのプレイスタイルが格好良かった。仙台公演に行った時に珍しくメンバー全員物販にいたのでサインしてもらえば良かった、と今でも心残り。(母親と一緒に行ったので遠慮してしまった。ちなみに母親のライブの感想は、「曲は良かったけど、ボーカルの子は大丈夫なの?」だった)その後、野音ライブでこの曲を聴いて良い曲だなあ~とオフィスビルの窓を見上げながらメソメソしていたが、その後ライブ映像がMVになり、志磨遼平以外のメンバー脱退になり、あのメソメソはこれだったのか……と結構本気でショックだった。

These New Puritans「Fragment Two」
またもやレイチェル・チャンの番組で流れていた。今考えてもこんな暗い曲を平日14時台に流すの凄くないですか……というか、洋楽面に於いてどれだけJ-WAVEにお世話になっているんだろうか。このアルバムはアンビエント色強めだけど、過去アルバムもトリッキーでオシャレな曲ばっかりで、聴いてるこっちまでオシャレになりそうだった。

DOTAMA「ホーリーランド」
バンドだと当たり前だけどラッパーの場合、アルバム全曲同じトラックメイカーじゃないこともよくあって、この曲が入っているアルバムは、全曲暗いポストロック的なトラックを作る方の作だった。(今はどこで何をやっているんだろうか……)リリックも、SF的な作家性が垣間見えるもので、本当にオリジナリティがあって格好良いと思っていた。ライブに通っている間はとうとう聴けなかったが、内容的にあんまり披露する曲でもないな。

DOTAMA×ハハノシキュウ「13月」
以前に記事にした通り、名曲で名盤。

ハハノシキュウ「ヴェルトシュメルツ」
音源になる数年前から、ライブではやっていた曲で、この曲をきっかけにしてはまったと言っても過言ではない。元々、俺の生きざまとかメイクマネーして地元の仲間みんなでブリブリみたいなリリックに余り興味ないので(面白いけど)、この曲がタイトルトラックになってるアルバムとか、前述の『13月』とか『ホーリーランド』とかの作家性があるコンセプトアルバムが大好きで、突き詰めればそれは「生活感のなさ」に言い換えられるんだと思う。これはHIPHOPに限った話じゃなくて、前述の「メジャーに行ったら変わった」問題もこれが原因のことが多いと思うが、個人の嗜好だから仕方ない。

トリプルファイヤー「人生を変える言葉」
多分音源よりもライブで聴いた回数の方が多い。「シルバースタッフ昇級したら〜」とか「焼肉食べても喋らない〜」とかなのに不思議と生活感が薄いのは偏に吉田君の虚無の賜物だと思う。私にとっては「プラスチック製の君の現実を〜(時雨)」と変わらない虚無というか……バンドの楽曲については以前触れた通り。

スカート「回想」
スカートも音源よりもライブで聴いた回数の方が多い。スカートも基本的に君と僕の歌なのに、不健康なせいか生活感が薄いので聴いていて疲れない。この曲は、歌い出しの音が明るくないのも格好良い。パーカッションが終始鬼なので、またライブ行きたいね……

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