川面に泡沫の ウジェーヌ・アジェという写真家
ウジェーヌ・アジェという写真家がいます。
写真史では必ずと言っていいほど出てくる人です。
以前はアジェの写真のどこがいいのだろうと思っていました。
今も、よく分かったとはとても言えないのですが、
退屈に思えていた、アジェの写真の静けさみたいのものに
惹かれるようになっています。
パリに出てきたのは画家になりたかったからですが、
画家ではなく写真家として「美術家のための資料」にと
パリの街を撮り集めることで生活の糧にしました。
生活は恵まれなかったみたいで
死ぬまでパンと砂糖とミルクを常食としていたという
カッコいい写真家だったと思います。
アジェには他人事だからそんなふうに言えるんだと
怒られるかもしれません。
世間的には不遇だったのですから。
でも、自分の思いよりパリの街そのものを写そうとしたのは
写真家として、とてもカッコいい在り方だったのでは、と思うのです。
(2024年4月中旬・大阪市、上本町)