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夏に見たい!海と空の王者、ブーダンの名作

【今月の名画】
この季節にぴったりの名画を紹介します。

暑いですね〜夏といえば海!
海を描いた画家ははたくさんいますが、中でも自らを「海の画家」と名乗り、生涯海を描き続けたのがウジェーヌ・ブーダンです。

ウジェーヌ・ブーダン(1824〜1898)

水夫の子としてフランスの港町に生まれる。光や大気の表現に長けており、印象派に影響を与えた。

今日はブーダンの描く海の魅力を見ていきましょう。

①映えないけれど

海の絵というと、色がものすごく綺麗だったり、逆に大波に荒れ狂っていたり、「映える」ものが多いですよね。
では、ブーダンの絵はどうでしょうか。

『トルーヴィルの浜』


『トリスタン島の眺望、朝』


正直ちょっと地味ですよね。真っ青でもないし、凪のようでもないし、迫力ある大波もありません。
ですが過剰な演出がない分、風景がリアルに感じられます。潮風や波の音まで聞こえてきそうです。
水夫の子であったブーダンにとって、海は身近な日常風景だったのでしょう。描かれたのは100年以上も前ですが、今の私たちが見ても親近感があり、「この景色どこかで見たことある気がする…」と思える絵になっています。

②想像に頼らない

ブーダンは光の表現が素晴らしいんです!
太陽が照らすところは自然に明るく、影の部分も暗さのグラデーションが絶妙です。

『港に近づくフリゲート艦』


『カマレット・シュル・メールの港』


なぜこのような表現ができたのか。それは、ブーダンが目の前の海をよく観察しながら描いたからでしょう。
そんなの当たり前と思われるかもしれませんが、当時はアトリエで制作するのが一般的で、風景を実際に見ながら描く人はあまりいませんでした。
ブーダンは当時としては珍しく、屋外での制作に積極的でした。脳内で海をイメージするだけでなく、現実の風景にしっかり向き合っていたのです。だからこそ、微妙な光の移り変わりを捉えらることができたのでしょう。

③海 ≒ 空(?)

海には空が映ります。ある意味、海の絵≒空の絵といえるかもしれません。
海の画家ブーダンは空の表現に長けており、他の画家から「空の王者」と称えられていました。
たとえばこれらは海辺が舞台の作品ですが、画面の大半を空が占めています。

『大空と海』


『白雲と青空』


雲の微妙な色の変化とか、光の当たり方とか、青のグラデーションとか、どこを取っても素晴らしい描写です。
空って普通は何かの背景になるイメージですよね。それを主役としても成り立たせてしまうのが、「空の王者」の力量です。
空がちゃんとしているからこそ、風景に臨場感が出ています。

海に行った気持ちに

今日は海洋画家ウジェーヌ・ブーダンを紹介しました。
海を「リアル」に描いたブーダン。彼の絵を見ると、なんだか海に行った気分になれる…
というのは少し大袈裟かもしれませんが、暑い夏にもそうでない季節にも楽しめる作品です。




ブーダンは後世の画家にも大きな影響を与えました。その1人がモネです。ブーダンはモネに、屋外で描くことを教えたといいます。
モネは屋外制作から何を得たのでしょうか。


ブーダンは海辺の大気や光を忠実に表現しました。ですが、現実の風景を写さない風景画もあります。


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