2020年オープン「京都市京セラ美術館」のおすすめ展覧会

 私は関西に在住する大学院生です。美術館やギャラリーを巡ることが趣味です。2019年には50館訪れました。そんなアート好きの私が今、大注目している美術館が、京都市京セラ美術館。2020年3月21日にリニューアルオープンします。

目次
1. 新美術館の概要
2. 2020年に開催される展覧会
 2-1. 超長期に渡る展示 これはアートのフルコース!「京都の美術 250年の夢」
 概要
 ポイント①充実した展示はまるでフルコース
 ポイント②必ず現物が観たくなる、素晴らしい作品群
 2-2. 国際的アーティストの大規模個展!「杉本博司 瑠璃の浄土」
 概要
 ポイント①杉本博司 京都美術館初の大規模個展
 ポイント②作家自身の講演が聴ける!

1. 新美術館の概要

 まず、京都市京セラ美術館をご存じでしたか?
 関西の美術館では、リニューアルオープンを知らせるパンフレットが置かれているのをよく見かけますよね。しかし、他地域にお住まいの方は詳しく知らないのではないでしょうか。
 この記事を読むことで、京都に新しく生まれる美術館のことを知っていただけると嬉しいです!
 京都市京セラ美術館は、2020年3月21日にオープンします。建物は新築ではなく、リニューアルオープンする美術館です。もともと京都市美術館という名前でした。ネーミングライツを京セラが購入し、この名前になりました。
 オープンしたばかりなら、きっと展示もかなり気合を入れているはず!そこで、2020年に開催される、いわばオープン目玉とも言える2つの展覧会を紹介します。

2. 2020年に開催される展覧会

2-1. 超長期に渡る展示 これはアートのフルコース!「京都の美術 250年の夢」
概要

 8か月という長きに渡る巨大展覧会。
 開催期間は2020年3月21日から2020年12月6日まで。ずっと「京都の美術 250年の夢」が開催されているのです。1つの展覧会の開催期間は、2か月から3か月くらいが普通ですよね。期間の長さ1つを取っても、京都の本気が伝わってきます。
 全期間同じ展示というわけではありません。全部で4つの期間に分けるようです。
ポイント①充実した展示はまるでフルコース
 本展に行けば、京都美術史を全て学べるのでは?と思うほど、豪華な展示内容です。
 まず全体概要から。


明治維新から100年を遡った江戸後期の「京都の美術」を綺羅星のごとく輝く伊藤若冲、与謝蕪村、池大雅、曾我蕭白、円山応挙、松村呉春、長澤芦雪にはじまり、明治から昭和にかけて、東京画壇に対抗する京都画壇を隆盛させた竹内栖鳳、上村松園、土田麦僊、村上華岳など、そして戦後から現代にかけては伝統を受け継ぎ革新的な日本画を描いた小野竹喬、福田平八郎、堂本印象、池田遥邨などに至るまで、日本画の代表作家を中心に、同時代に活躍した工芸家たち、明治期に登場した洋画家や彫刻家たち、さらには戦後における現代美術の若き作家たちを加えて、「京都の美術」の250年の歴史を彩った総計400点を越える名作を三部構成で展示します。(公式HPより)


  こんなにも高名な画家という画家が名を連ねる展覧会なんて、観たことがありません!各時代を代表する画家たちの作品を通して、京都美術を俯瞰できる展示構成になっているようですね。

 次に、各期の概要です。
最初の一歩:コレクションの原点
2020年3月21日(土)〜 4月5日(日)

 「最初の一歩」とは、改修前の京都市美術館が1935年に初開催した「本館所蔵品陳列」のことです。かつての初展覧会で展示した作品を、リニューアルオープン後初展覧会で再構成しようという試みです。京都の粋が感じられます。
 比較的開催期間が短いので注意が必要です。

第1部 江戸から明治へ:近代への飛躍
2020年4月18日(土)〜 6月14日(日)

 円山応挙や与謝蕪村を中心に、江戸から明治にかけての京都画壇を振り返ります。重要文化財級の美術品たちが一堂に会する第1部。盛り上がらないわけがありません。

第2部 明治から昭和へ:京都画壇の隆盛
2020年7月11日(土)〜 9月6日(日)

 京都画壇は明治から戦前にかけて最盛期を迎えました。第2部はその時代の画家を取り上げます。竹内栖鳳、五代清水六兵衞、柳宗悦、河井寛次郎、浅井忠、北脇昇・・・多様な京都画壇を楽しむことができるでしょう。

第3部 戦後から現代へ:未来への挑戦
2020年10月3日(土)〜 12月6日(日)

 第3部の舞台は、敗戦による価値観の転換や戦後の再出発を経験した京都。創造美術(後の創画会)やパンリアル美術協会、横の会といった画家グループを紹介しながら、現在に続く京都の美術を観ていきます。

 1つ1つが非常に充実していながら、全期通して鑑賞することで、京都美術史全体を知ることができそうです。非常に、綿密で考え抜かれた構成と言えるでしょう。

ポイント②必ず現物が観たくなる、素晴らしい作品群
 以下の2点は、実際に展示予定の作品です。公式HPでも公開されているので、誰でもPCで観ることが出来ます。
 ・・・しかしその絵を一目観てしまえば、直接観に行かずにはいられないでしょう。

画像1

中村大三郎《ピアノ》(部分) 1926年 京都市京セラ美術館蔵

画像2

曾我蕭白 文化庁蔵 重要文化財 上:左隻  下:右隻
 
 未だかつて京都の美術品をこれだけ大量に、長期間集められた展覧会があったでしょうか?
 京都の本気を垣間見ました。これぞ、京都の神髄です。

 展覧会情報
 会期:2020年3月21日~2020年12月6日
 会場:本館 北回廊1階 ※第3部は北回廊1、2階が会場
 HP:京都市京セラ美術館 | 京都の美術 250年の夢 公式ウェブサイト
 アクセス:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124(2020年3月21日オープン)

2-2. 国際的アーティストの大規模個展!「杉本博司 瑠璃の浄土」 
概要

 杉本博司は、国際的なアーティストであり、京都に関する作品を数多く生み出している作家でもあります。公式HPより、杉本の説明を引用します。

杉本博司は、1970年代より、大型カメラを用いた高度な技術と独自のコンセプトによる写真作品を制作し、世界的に高い評価を受けてきました。また、古今東西の古美術や歴史資料等の蒐集、建築、舞台演出といった幅広い活動を行い、時間の概念や人間の知覚、意識の起源に関する問いを探求し続けています。

 画家というよりは、写真制作や舞台演出など幅広い分野で活躍されているようですね。作品はヴェネチアやヴェルサイユ宮殿にも展示されたことから、その評価の高さがうかがえます。そんな杉本の京都美術館初となる大規模個展です。
ポイント①杉本博司 京都美術館初の大規模個展
 杉本は何度も京都を訪れ、作品を生み出してきました。本展の目玉作品《瑠璃の浄土》もその1つ。美術館の所在地・岡崎にかつて大寺院があったことに着想を得たそうです。
 他にも、世界初公開となる大判カラー作品シリーズ「OPTICKS」日本初公開《ガラスの茶室 聞鳥庵》も見逃せません。ヴェルサイユ宮殿に展示されたのが、この作品です。本展覧会が終わった後も、パブリックアートとして2021年1月末まで公開されるようです!

 パブリックアートとは
公共のための芸術作品のことです。美術館やギャラリーと異なり、誰でも自由に出入りできる公共空間に展示されるという特徴があります。
 参考:美術手帖〈https://bijutsutecho.com/artwiki/57〉

ポイント②作家自身の講演が聴ける!
 
公式HPによると、杉本博司本人の講演会が計画されているそうです。


 ※講演会の開催概要は、公式HPにまだ掲載されていないようです(2020年1月4日現在)。更新が分かり次第、こちらのページも編集します。あしからず。


 講演会って言っても・・・作品観れればそれでいいよ・・・何のために参加するの?
説明します!
 現代芸術って分かりにくい・・・というイメージありませんか?私は「この作品はどんな意図が込められているの?」と疑問符で頭がいっぱいになってしまいます。でも大丈夫!


「分からないなら本人に教えてもらえばいいじゃない」

 作家本人の解説を聴くことができるのが、現代芸術の魅力の1つ。講演会の具体的な内容は不明ですが、大抵は関連づけられた展覧会の作品を説明するはずです。観ただけでは理解できなくても、本人の話を聴き、彼の思想や制作意図を知ることで、作品を重層的に理解できるようになります。
 ダ・ヴィンチやゴッホに彼らの絵画の意味を尋ねることは不可能ですから。同時代人であるというメリットを最大限に生かさないと、100年後のアート好きに怒られちゃうかも。

 展覧会情報
 会期:2020年3月21日(土)~2020年6月14日(日)
 会場:新館 東山キューブ
 公式HP:京都市京セラ美術館 | 杉本博司 瑠璃の浄土 公式ウェブサイト
 アクセス:〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町 124

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