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映画-海ほおずき(The Breath) その文脈は唐十郎の世界だ・・

 観客が文脈を探るのが大変な映画だ。
どこが、始まりで、どこが終わりなのか、演繹法(えんえきほう)、帰納法(きのうほう)というような謂わゆる従来型の解釈は難しい。
文脈を探そうと迷い始めると、映画の何かしらが見えて来るのかも知れない。
それでいて、シュールな作品でもないだろう。そして、ほとんどが、台湾ロケでの撮録だ。
そこには、唐十郎の世界が散りばめられている。

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海ほおずき(The Breath) 林海象監督 原作・脚本:唐十郎 1996年公開 台湾・日本
灰田:唐十郎
まりこ:タン・ナ
逆谷:原田芳雄
名月:鰐淵晴子

原作・脚本・主演は、唐十郎、監督は、林海象(はやしかいぞう)の1996年のミステリー作品。
その原作は、日本人女子大生の台湾失踪事件といわれる。
共演は台湾のトップシンガーのタン・ナ、原田芳雄など。音楽は、めいなCo.、中島みゆき、ディック・リーの曲も挿入している。

ストーリーの概要(この映画には文脈がない:ネタバレのようだがこれを読んで理解できる映像でもなさそうだ・・・)
探偵の灰田(カンテン堂-唐十郎)は、薬物依存症のリハビリに日々を費やしている。
そこへ、女性検事の名月(なづき:身元引受人-鰐淵晴子 )から、久々の探偵の仕事を依頼された。
それは、5年前に台湾で失踪した女子大生・真理子を探すことだった。
突然母親のもとに届いた「私の息を届けます」という真理子の手紙が唯一の手掛かりとして台湾へ飛ぶ。

探偵の灰田は、新聞に求人広告を出して、助手を雇う、現われたのは、日本語の話せない女性だった、彼女をまりこ(タン・ナ-堂娜)、と命名した。
灰田は、上司(じょし)と、まりこに呼ばれている。

灰田の行く先々には、台湾へ出発前の日本で命を助けた逆谷が待っている。
航海士の逆谷は過去に日本漁船襲撃事件に遭い、その時、屈辱を与えられた楊という女性を捜している。
灰田は逆谷の行動に付き合い、逆谷と楊の再会に立ち会う事になる。

そこへ、灰田に、5年前に日本人女性を殺して埋めたタクシー運転手が逮捕されたというニュースが届いた。
灰田は、まりこ、と事件現場を調査し、ベレー帽をかぶった、まりこ、の幻影を見る。
その後、日本語のわかる床屋に案内された灰田は、そこで幻影で見たベレー帽を発見し、その床屋の奥さんの助けを得て真理子とまりこの隠された関係を知った。
それは、真理子とまりこは、文通を重ねた友人で、真理子が台湾を訪れた時に小さな行き違いがあって、真理子がタクシーに乗り去ったまま、別れ別れになった、ことを知る。
そして、あの手紙「私の息を届けます」は、投函されずじまいだったものをまりこが母の元に送ったのだった。
そして、灰田は、真理子との別離と同じかたちで、、まりこと別れた。
あてもなく挑んだ、灰田は、日本に帰り、最後の謎を解く。

ベレー帽の中には海ほおずきが挟み込まれ、それには、まりこ、と別れる寸前の真理子の息(Breath) が吹き込まれているのだ。
そして、江ノ島で、、名月(女性検事)に会い・・・・

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Trailer-the breath 

(註)Trailerは、期間限定。

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