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マリア・ジビーラ・メーリアンの生き方

マリア・ジビーラ・メーリアンの生き方

はじめに

アンナ・マリア・ジビーラ・メーリアン(Anna Maria Sibylla Merian,1647 - 1717/ドイツの植物や昆虫など画家)ナチュラリスト、昆虫学者、植物イラストレーターであり、史上最高の植物アーティストと言われる。
マリアの名声は、彼女が昆虫を研究した、最初の自然科学者の1人であることだろう。マリアは186種の昆虫のライフサイクルを記録し、図解しているのだ。

Anna Maria Sibylla Merian

マリアの経緯

1647年、ドイツのフランクフルトでスイス系の家系に生まれる。
マリアの父は版画工であり「メーリアン出版社」の経営、そして、オランダ人であった彼女の母(ヨハンナ・ハイム・マレル)は、1651年に静物画家のジェイコブ・マレル(Jacob Marrel,1614頃 - 1681/ドイツの静物画家)と再婚した。マリアは、この義父の導きにより絵画に興味を覚えた。

その義父のジェイコブ・マレルは、早期から、マリア・ジビーラ・メーリアンの才能に気付き、線画や銅版画、水彩、油彩の技法を指導している。

マリアの肖像画 - Jacob Marrel

蚕蛾の誕生と変態の真相

その頃、マリアの家族の友人がフランクフルトに所有していた養蚕場で蚕蛾を見る機会があり、蛾は卵から生まれ、幼虫が蛹になってから生まれることに気づき、蚕蛾の誕生と変態の真相をつきとめた。-マリアの著書「スリナム産昆虫変態図譜」より

スリナム産昆虫変態図譜

アリストテレス学派の考えと相反する視点

1665年、マリアは義父の徒弟だったヨハン・アンドレアス・グラフと結婚し、2年後には最初の娘ヨハンナ・ヘレンを授かり、ニュルンベルクに移り住んだ。その地でも彼女は、羊皮紙と亜麻布に描いた絵の作成や、刺繍用図案の作成を続けた。それらは評判を呼び、多くの生徒に教えるなどで生計を助け、また、それは、彼女の知名度を押し上げた。
裕福な階級とも交流が生まれ、マリアは彼らの美しい庭園を見る機会を増やすことができた。
訪問した庭園で、マリアは昆虫、特にイモムシと蝶のライフサイクル観察を始めた。当時の学者たちはカトリック教会と密接に関連したアリストテレス学派の考えに基づき、虫は「腐った泥から自然発生した」生き物であり「悪魔の生物」だという視点だった。
1675年、マリア28歳の時にこの最初のスケッチブックが「Neues Blumenbuch」第1巻として発売された。
1679年、「ヨーロッパ産鱗翅類‐その変態と食草」が、発売された。

ヨーロッパ産鱗翅類‐その変態と食草

1681年、義父が亡くなり、マリアは相続争いに巻き込まれる。
1690年、母のヨハンナ・ハイム・マレルが亡くなり、マリアは娘2人とラバディストのコミュニティを去ってアムステルダムに移った。そこでは、絵画の教え子を集め、自らも絵を描き続けた。マリアの挿画はアムステルダムの自然科学者やコレクターなどから注目されていった。

1692年、夫ヨハン・アンドレアス・グラフと離婚。旧姓に戻ったが、公言せず未亡人と言うことで通した。

女性画家・学者として南米「スリナム共和国」へ

スリナム共和国

1699年、スリナム(スリナム共和国)に到着し、首都パラマリボに住んだ。
ヨーロッパの支配者層は昆虫に興味を抱くマリアに戸惑ったが、現地のインディオたちは、その協力を惜しまなかった。他の先住民との交渉や、植物や昆虫の探査に都合がよかったため、アフリカ人奴隷とインディオの女性を助手として雇っていた。マリアは、熱帯雨林の気候をものともせず植民地周辺の固有動植物をスケッチしてまわっては、それらの名称や土地での用いられ方などの詳細を記録した。その過程で、オランダ人農場経営者たちが土地の人々を酷使する様を目の当たりにし、これを強く批判もしている。

1701年、マリアは病気(マラリアと言われる)に感染し、オランダへ帰国せざるを得なくなった。
1701年9月、オランダに戻る。1701年12月、ドロテアはフィリップ・ヘンドリクスと結婚した。後にドロテアは画家のゲオルグ・グセル(英語)と再婚する。ゲオルグ・グセルはマリア・シベラ・メーリアンの肖像画を描いている。

スリナム産昆虫変態図譜

1705年にはスリナムの昆虫類についての手彩色銅版画集「スリナム産昆虫変態図譜」を出版した。

スリナム産昆虫変態図譜
スリナム産昆虫変態図譜

1715年、マリアは、脳梗塞を患い闘病の末、1717年、マリアは世を去る。

昆虫の変態が進む経過

(註)
植物画家としてキャリアを始め1600年代後半に3冊の彫版を出版したマリアは、やがてその視点に生物を加え、昆虫の変態が進む経過を明らかにした。当時、泥から生まれる悪魔の動物という悪評を受けていた昆虫に知的好奇心を向けることは稀であり、一部の学者が少々気づく程度でしかなく一般には全く未知であったその生態に着目した彼女の着眼点は革新的だった。

artoday

現代のジーン・コーエン(Jeane Cohen)に影響を与える

この1700 年代のマリア・ジビーラ・メーリアンの自然画は、ジーン・コーエン(Jeane Cohen,1988- /アメリカのアーティスト・絵画)に大きな影響を与えている。文化の伝承ということだろう。それは、また、パラダイムシフトして、現代アートの世界に・・・

Jeane Cohen

マリア・ジビーラ・メーリアンの業績・作品

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