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シンディ・シャーマンの記号- Untitled Film Still

シンディ・シャーマン(Cindy Sherman、1954年1月19日 - )アメリカ合衆国の写真家・映画監督。
コスチュームを着けた自分を被写体としたセルフ・ポートレイト作品(写真集-Untitled Film Still)は著名だ。その「女性」の記号としての表象を、シンディ・シャーマンは、こう語る。
「もし、私がこの時代とこの場所に生まれていなければ、こうした表現をすることはなかったでしょう。そして私がもし男だったら、このような方法で作品を生み出すことはなかったでしょう。」
これは、デュシャンの制服に重なる視点だ。

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         Fig.Untitled Film Still #21 1978

Untitled Film Still #21について
シンディ・シャーマンは、B級映画のヒロイン風のスチール写真の手法で写真を撮る。
若い女性は待ち受ける運命におののくかのように上方に不安げな視線を投げかけている。 このシーンはまるでヒッチコックの映画の導入部分のようだ。 被写体の女性はシャーマン自身だが、 派手なメーキャップといかにもお仕着せの服装は、彼女がすでにある物語のなかの存在であることをを示している。 
背景のビルや女性の服装からすると、写真の時代設定はニューヨークに高層ビルが建ち並び始めた20世紀の始め頃のようだ。地方の片田舎から上京したばかりの若いヒロイン。 彼女は目的の場所が見あたらず、街の規模の大きさと喧噪に当惑し立ち尽くしているのでいるのか・・・
それとも、事態は全く逆で、彼女はこの街を去ろうとしているところなのかも知れない。 ビルから出てきた彼女は、後にしたオフィスのあたりを嫌悪の情をもって振り返る・・・
それとも・・・写真の情景は、観る側の私たちに多様な読解をせまる。そのストーリーの全体は、シンディ・シャーマンの胸のうちに秘められていて決して明かされない。

Untitled Film Still、、どうやら、そのストーリーはこちらの側の問題だ。

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                     Fig.Untitled Film Stillから引用

(註) 記号のシステムのなかの映像デザイン:
そのシステムの記号の世界では、事象のニュース映像さえも虚構のイメージ記号(映像デザインされたモノ)となる、それは受け取り側の認識のあり方もあるだろう・・・


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