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女性作家テレサ・マルゴレスと死へのコンセプト

女性作家テレサ・マルゴレス(Teresa Margolles)の死へのコンセプト
テレサ・マルゴレス(Teresa Margolles,1963- /メキシコのアーティストであり、コンセプチュアルアート、彫刻、写真、ビデオ、パフォーマンス、法医)

テレサ・マルゴレス(Teresa Margolles)のコンセプト

テレサ・マルゴレスは、アーティストとして、彼女は死の社会的原因と結果をリサーチ、研究している。
テレサ・マルゴレスの仕事は、常に人体とその液体成分を主人公としてとらえてきた。それらは、世界全体、特に彼女の母国、すなわちメキシコで増大する暴力の容赦ない起訴の手段として機能する。

彼女の故郷であるメキシコシティやラテンアメリカにある他の遺体安置所からのデータを遺体安置所からの観察を伝えている。
そこあるのは、殺人による死の結果、発生する精神的苦痛と社会的影響の拡大、それらは、家族、愛する人の死までも及ぶのだ。

テレサ・マルゴレスの作品は、主に遺体安置所からのものであり、それは観客に記憶の感覚を引き起こす感覚的な体験に変わる。
メキシコシティの場合、彼女は犠牲者の大多数が下層階級に属しているとリサーチする。

「死者を見ると社会が見える」-Teresa Margolles

テレサ・マルゴレス

Teresa Margolles

・略歴とアートワーク-Teresa Margolles

1963年にメキシコのクリアカン(Culiacan)で生まれ。
その後、法医学病理学者として訓練を受け、メキシコ市のメキシコ国立自治大学(Universidad Nacional Autónoma de México/UNAM)でコミュニケーション科学と法医学の学位を取得し、その後、芸術を学ぶ。
1990年、マーゴレスはメキシコの検死官事務所にSEMEFOというアーティストの集団を設立した。パフォーマンスとインスタレーション・ベースの作業を通じて、SEMEFOはメキシコでの社会的暴力と死についてコメントしている。ただ、その年の後半には、SEMEFOから退去している。それ以来、彼女の独立した芸術活動は、特に法医学資料と人間の遺体を使用して、死、暴力、排除のテーマを探求し続けている。
「水はメキシコシティの遺体安置所から来ています。それは殺人の犠牲者の体を洗うために使われる水です。」Teresea Margolles、2006年

遺体安置所

繰り返すが、彼女にとって遺体安置所は社会、特に麻薬関連の犯罪、貧困、政治的混乱、軍事行動が暴力と死をもたらしたメキシコの都市の経験を反映するのだろう。
「遺体安置所の中で何が起こっているのか、そして死体安置所の数メートル外で家族や親戚の間で起こっている状況に非常に興味を持っていました。しかし、メキシコ死体安置所の中から外で何が起こっているのかを説明することがもはや不可能になるほど激しく変化しました。痛み、喪失、空虚さが見られます。」-Teresa Margolles/2009

37 bodies

2007、TATE(UK)コレクション「37 bodies」(メキシコの殺人の犠牲者を短い一本の外科用糸で結び合わせて一列に並べた)

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What else could we talk about?

 2009年、ヴェネツィアビエンナーレ:メキシコパビリオン「What else could we talk about? 」(他に何について話すことができますか?)
Venice Biennale 2009: Mexican Pavillion

Venice Biennale 2009

2012年、プリンス・クラウス賞(Prince Claus Fund/オランダ外務省の補助金から-文化と開発のテーマへの現代的なアプローチへの賞)及び第5アルテス・ムンディ(Artes Mundi/ウェールズで、隔年で開催される国際的な現代美術展)の国際現代美術賞。

MayYou Live inInterestingTimes

2019年ヴェネツィアビエンナーレ「MayYou Live inInterestingTimes」のメインキュレーション展(メキシコのシウダードファレスで、組織犯罪に関与した4人への罰が行われた公立学校のコンクリートブロックの壁。)

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850 Improntas

2021年7月5日には、「850 Improntas」(トランスジェンダーの痕跡)が、ロンドンのトラファルガー広場にある4番目の台座(The Fourth Plinth/2024-から)、受賞。

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Global Feminisms: Teresa Margolles



(最後に)

彼女の作品から、忘れさられた人々を思い起こすことは、何よりのご供養となる気がする、それが、2024年から、ロンドンのトラファルガー広場にある4番目の台座に展示される「850 Improntas」(トランスジェンダーの痕跡)・・・それは、現代アートの2020年代へのパラダイムシフトのような気がするのだ。ただ、観るだけではなく、誰しも考えるだろうし、、そして、末筆ながら、それら、死のアートのモチーフになった人々には、ご冥福をお祈りしたい。


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