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新旧入り交じる、わくわくする商店街

中野駅南口を出てレンガ坂を抜けたあたりから目に入る桃色の提灯。そこに書かれた「桃園」という文字。昔ながらのお店、新しくできたお店、それぞれの歴史が混ざり合う「桃園商店街」で商店街会長を務める渡邊明恵さん、副会長の蟻塚純さんにお話しを聞いてきました。(以下、敬称略)

with you07 桃園商店街 渡邊明恵さん / 蟻塚純さん

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桃園商店街とモモゾノクラフト

― 早速ですが「桃園商店街」と「モモゾノクラフト」のことを、まずお伺いできたらと思うのですが。

渡邊 桃園商店街という名前は「実業桃光会 桃園商店街」というのが正式名称なんですよ。今度中野駅に西口が新しくできるので「桃園っていう名前を大事にしてゆきたい」「みんなに周知してもらいたい」ということで、桃光会よりも桃園商店街という方ををメインで打ち出しています。それに伴って、商店街でそこにしかないものも打ち出してゆきたいね、というところで蟻塚の方でモモゾノクラフトっていうのが生まれたんですね。そうだよね?

蟻塚 そうですね(笑)。きっかけはやっぱりコロナっていうのが大きいかなというのがあって、コロナの後を見据えて商店街一丸となってやっていければいいなというのがモモゾノクラフトの一番重要なところかなと思います。

― 桃園という地名は古くから使われているのですか?

蟻塚 僕が調べた中では、明治の頃は桃園町という風に言われていた。

渡邊 (徳川)吉宗が、桃の木を...

蟻塚 桃の木を植えさせたんですね。

渡邊 ここら辺にね。

蟻塚 その後、桃の花がこの辺り一帯に咲くようになって、お花見の名所にもなったっていう。そのあたりから桃園っていうのがきているんじゃないかと思います。

― 今も桃園の名残はどこかにあるんですか?

渡邊 ないよね?

蟻塚 今はさすがになくなってしまっている...逆に名前が名残になっちゃってるんですかね。桃園とか桃園町会とか桃園商店街とか。

人と街とのつながり

― 桃園商店街のどこかのお店をピックアップしてではなく商店街全体として、アピールしてゆくというところで、モモゾノクラフトは商店街全体のブランドという感じなのでしょうか?

蟻塚 そうですね。狙いとしては、いわゆる飲食店は飲食店だけで宣伝するとかではなくて、商店街の異なる業種が同じブランドから物を出すということで、共通項ができるんじゃないかというところで、それをどんどん繋げていって「面」として商店街をアピールできればいいのかなと考えています。

― コロナという状況の中で人とのつながりを感じ直すこともあると思うのです、この状況になってからの変化や気づいたことなどはありますか?

渡邊 私はコロナになってからの方が、人とのつながりが濃くなったと思う。商店街のこともそうだし、個人が周りのことを考えてあげられる人になったと思いますね。コロナ前は普通の生活をして、自分のことを考えていたのが、コロナになってから周りのことを考えてあげられるようになったと思う。商店街としてもコロナ禍で、どういう風にしたら皆さんに喜んでもらえるだろうとか、すごくいろんなことを考えさせられましたね。

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蟻塚 まさに、今言われた通りで、逆に立ち止まる時間があったちゃあ、あったんですね、去年。強制的に(笑)。まあそこは開き直って、これからの商店街はどうあるべきかというところを考える時間はあった。そこを皆で「ああしようこうしよう」と、現在進行ですけどできてるのがいいかなと思います。

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― 話は少し飛ぶのですが、ここで長く生活し、お店を営まれる中で中央線にまつわる思い出など聞かせていただけたらと思うのですが。

蟻塚 僕で言ったら、歩道橋あるじゃないですか。そこから電車に向かって手を振るっていうのが、THE中央線ですよね。

― 歩道橋というのはテルプシコール(中央線芸術祭パフォーマンスプログラム会場)の近くの?

渡邊 そうそう!

蟻塚 やっぱ当時は黄色とか青よりも赤が格好よかったのかな。中央線の電車に手を振りたがっていましたね。快速っていうフレーズが「この電車、すげー速いんだろうな」っていうのがあって(笑)。子供ながらに格好いいと思って、いつも手を振るのは中央線でしたね。

渡邊 私は結婚してからこっちにきたので。もう30年ぐらい中野に。

― その間に中野駅の周りとか大きく変化した部分はあるんでしょうか?

渡邊 (中野駅)北口のセントラルパークのところとか、全然違いますよね。あそこ、昔は警察の学校があって、公園があって、警察の官舎があって。それがなくなった後、こんなに警察の学校って広かったの!?って(笑)びっくりした。大学3校でしょ、セントラルパークイーストとサウス、キリンビールが入って、あんなに広いところに学校があったっていうことにびっくりした。

― 南口は大きな変化はないのですか?

蟻塚 ここ3丁目は変化ないんですけど、向こう側(2丁目の方)が。

渡邊 島忠(中野駅南口から東方面にあるホームセンター)に行く右側のところ。そこは公団だったのが、今はビルに変わっている。

― 南口も場所によって変化があった中、桃園商店街の辺りは大きくは変わっていないのですか?

渡邊 一度地上げがあったと。私は知らないのだけれど、今マンションが立っているところが全部商店街だったんだけど、地上げで皆やめてなくなってしまったというのは聞いたことはありますね。辺り一体が商店街だった名残で、今もこの辺りは16時〜18時には、お買い物通りといって通行止めになるんです。そのぐらい商店街が密集してたいたと聞きましたね。

― すごく大きな商店街だったんですね。

蟻塚 なんでもあったイメージですね。

渡邊 私が来た時は魚屋さんもあったよね。

蟻塚 ありましたね。

渡邊 魚屋さんも、お肉屋さんもあって、それがみんな無くなっちゃって。

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真剣に真面目に遊ぶ

― モモゾノクラフトの活動にあたって、商店街の皆さんで絵を書かれて、その絵を使ったTシャツも作られたと聞いています。アートには楽しむという部分が要素としてあると思うのですが、その中で皆さんにとって遊びとはなんでしょうか?

蟻塚 僕からいいですか?真面目にやることです。真面目に遊ぶこと、真剣に遊ぶ。

渡邊 私は何も考えずに、好きなことをやる。損得勘定なしに思い切り遊ぶ。

― 普段生活の中で、仕事と遊ぶことの区別を意識されていますか?

渡邊 それってすごく境界線難しいよね。難しいと思います。

― はっきりと分かれているわけではないということでしょうか。

渡邊 一つお花を作る時も、楽しみながらやっちゃう時とかは、自分では真剣と遊びとは反対ではないと思うから。真剣でも遊び。ここで遊びたいよねっていう感覚はあるし。そう、遊んでいるから真剣じゃないとかそういうのではないと思うので。※渡邊さんは桃園商店街で長く続く花屋さん「花月」を営まれています。

― 蟻塚さんも言われていた、真剣に遊ぶにつながりますね。

蟻塚 真剣に、真面目に遊ぶ。境界線関係なく僕は楽しんでます。

― 今取り組まれているような、アートにまつわる活動には元々興味があったのですか?

蟻塚 単純にやりたかったっていうのがあります(笑)。アート自体はすごくいいものだなって。僕はアーティストじゃないですけど、絵とか見るのは好きですし。皆それぞれ個性があるだろうからというところが、取組を始めたきっかけなんですけど。面白いからいいかなって。

― 普段の生活の中で、アートを身近に感じる瞬間とかはありますか?

蟻塚 ありますよ。明恵さん(渡邊さん)にお花を入れてもらった時。それはアートですよ。いつもお店に飾るお花をお願いしているんです。いつもお任せでお願いしているのですが、明恵さんが作ってくれるお花はアートですね。

― 渡邊さんはご自身の仕事とアートとの関係性はどのように感じられていますか?

渡邊 大きいですよね。季節ごとも違うし、作る人によっても、同じ花でも全然違ってきたりするので。そういうところに感じますね。

パッションを集めよう

― 商店街の中で若い世代の皆さんと長く商売を続けてきた皆さんとの交流が、モモゾノクラフトの活動から見えてとても良いなと感じているのですが、最初にモモゾノクラフトをご紹介いただいたモコ・ポコ帽子店さんが「この前、絵を描きに行ったよ」と教えてくださったのですが、これはモモゾノクラフトの活動で絵を描かれたんですか?

蟻塚 あれは、本当に僕の独断と偏見と言っても過言ではないんですけど、商店街の皆さんに声をかけて今の気持ちとか、そういうものを色で表して欲しいなと思って。いろんな色ができると思うんですけど、それが今の商店街のパッションなんだろうなと思い、面白いなと思って。

渡邊 そういう風に皆さんに来てくださいって言って、会館を借りてブルーシートを広げて、いろんな絵具とか筆とか置いて、みんなに自由に描いてもらいました。こっちから来てくださいって言うだけだと、なかなかでてこれない人もいるから、「ちょっと時間ない?」って呼びに行ったりして。呼びに行ったら出てきてくださって...だから年代関係なくみんなが来てくれて、思い思い描いてくださって。

蟻塚 (絵を手に)実際やったものがこれなんですけど。

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渡邊 みんなが本当に思い思いに描いたものです。

蟻塚 めちゃくちゃあるんで全部は並べられないんですけど。

渡邊 年代関係なくいろんな人が描いてくれて。

蟻塚 やっぱり面白いですよね。

― これは、何かアートに繋げようとか、アートに関する想いがあって始められたものなんですか?

蟻塚 難しいアートだとか、それこそハイアートみたいなものじゃなくて、皆で何かできることとか、皆のパッションですよね。パッションを集めようって。

― 面白いですね。

渡邊 面白いですよね。ほんとこれはね、やってよかったよね。皆が楽しんで、年齢関係ないじゃないですか。男女も関係ないし、本当にみんなが楽しんでやってくれたんですよ。照れながらでもすごく楽しんでやってくれたから、普段出てきてくれない人も出てきてくれたよね。

― 帽子屋さんに話をお伺いした時も、すごく楽しかったということが伝わってきて。

渡邊 皆さん、笑いながらやってましたよ。ぜひ、その時の様子を見ていただきたかった。皆さんがやっている姿を。すごく楽しそうだったよね、みんな童心に戻って。70代のおじさんたちが(笑)。

蟻塚 毎年やったら、年ごとに変化はあると思うので、もっと明るくなったり、暗くなったり青色が増えたり。その変化見るのが面白いですよね。

― 今後もこういった取り組みは展開されていく予定なのですか?

蟻塚 していきたいですけどね。いろいろやりたいなと思いますけど。もっともっと桃園商店街として住民の人にも来て欲しいですし。まだまだ、まだまだこれからだと思います。

渡邊 まだ初めの一歩...半歩ぐらいだよね(笑)。去年私が会長になって、副会長になってくれたから、そこから動き出したんだよね。ほやほやなんです、本当に。いろんなことやって超特急みたいな感じで。

― そうなんですね!?もう長くされているのだとばかり思っていました。

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渡邊 全然全然。ここから一気に走り出した感じです。

蟻塚 パッションです。

変化することへの挑戦とそれを楽しむ心。渡邊さん、蟻塚さんによって、時代の新旧が入り交じり、そこから生まれるこれからの桃園商店街の姿を想像するとワクワクしてきます。この気持ちこそが、人と街を動かす原動力になり、その原動力を生み出す源こそ、お二人が作り出す動きと相手を思い繋がりあう気持ちなのだと感じました。

渡邊さん、蟻塚さんとのインタビューの様子は、YouTubeにアップしている、with you 映像版からもご覧いただけます。
お二人の笑顔、対話から溢れる桃園商店街への思いを映像でも感じてみてください。



桃園商店街×モモゾノクラフトの情報は以下URLよりご覧いただけます。https://momozono3351.myshopify.com/桃園商店街会長の渡邊さんのお花屋さん「花月」はこちら花月https://www.flower-kagetsu.shop副会長 蟻塚さんのスパイスと自然派ワイン、カレーのお店 「roji spice&____ 」はこちらhttps://tabelog.com/tokyo/A1319/A131902/13232833/https://www.instagram.com/rojispice/?hl=ja(Instagram)

中野駅南口を出たら、皆さまぜひ桃園商店街を散策してみてください。

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