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美しい思い出は、ここに。

まだまだ暑い日が続き秋を迎える気配は感じられないが、
8月が過ぎると夏が終わりを迎えたように感じる。

私が「夏」で連想するのは小学生時代の夏休み。
自然溢れる祖父母の家で過ごした時間は良い思い出だ。

親戚が集まり、昼食は庭で焼肉。
大きな鉄板を皆で囲んでの焼肉は本当に楽しいものだった。

従兄は毎年ゲーム機を持ち込み、祖父母宅のテレビにつないでゲームをしていた。
従兄がプレイするゲームは全てが輝いて見え、
『ゲーム=従兄がプレイしていたゲーム』
が私の中で無条件で成立し、誕生日やクリスマスに買ってもらっていたのを覚えている。

祖父母宅の庭…とはいえ、家の裏は山、周りは田んぼ、道は遠くまで続く1本道、と庭の境があるのかどうかも分からない庭…を散歩するのは、幼い私にとって冒険だった。
目に映る緑、流れる水の音、土のにおい、セミの鳴き声。
未知の世界であふれていた。

テーブルを増やした茶の間での夕食。
毎年祖父のカレーがふるまわれたのだが、正直に書こう、私は辛くて苦手だった。
そういえば夕食に庭で焼肉、というパターンもあった記憶がある。

夕食後、外が暗くなってからがメインイベント。
花火だ。
従兄が大量の花火を用意してくれていた。
手持ち花火に打ち上げ花火。
打ち上げるだけの十分な広さがある庭だから問題ない。
今思えば大勢で花火なんて小学生時代以来していない。
昔は線香花火に興味はなかったが、今の私が一番好きな花火は何かと聞かれれば線香花火と答えるだろう。
花火…うん、懐かしいな。

夜カブトムシを探しに行った事もあるが、残念ながら捕まえた記憶が無い。
今でも私にとってカブトムシは偉大なる昆虫の王だ。

祖父母宅の玄関・台所を除くすべての部屋に布団を敷いて、親戚皆が泊まっていた。
朝6時に外から聞こえてくる音楽(タイトルは分からない)で目が覚め、新しい1日が始まる。

早く遊びたい一心で朝食を急いで食べていた。
だから正直、朝食に何を食べていたのか記憶が無い。

外で遊んで、従兄とゲームをして…帰る時間が訪れる。

名残惜しく、車の窓から祖父母宅を眺め、見えなくなると涙を流していた。
記憶が正しければ、小学5・6年生になってからも涙を流していたと思う。


そんな夏の景色が懐かしく、思い出の場所に行ってみたくなる。

懐かしい、でも何かが違う。

私は『あの夏に過ごした時間』に行きたかったのだ。

懐かしい思い出の場所。

でも本当に美しい景色は、『ここ』にあって、『ここ』にしかない。

今は、いつか穏やかな心で線香花火をみつめ過ごす時を感じられる未来に辿り着く事を願おう。

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夏の思い出

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