【#06】材料力学の強化書 〜弾性変形とフックの法則〜
今回のトップ画像は福島県大沼郡金山町にある、本名ダムの堤頂を抜ける国道(トラス橋構造)です。水門と一体となった近代的な構造物と言えます。
さて、材料力学の話に戻りましょう。
前回から材料力学の本格的な話に入りました。まずは材料力学で基本となる、応力とひずみの定義を見ていきました。
今回は応力とひずみを関連づける「フックの法則」について説明します。まずは一様な棒を持ち出して、定義などを見ていきましょう。
応力とひずみの関係式
下記の図に示すように、ばねに手で力を加えて変形させたとき、力を解放するとばねは元の形に戻ります。このような変形を「弾性変形」と言います。この性質はばねに限らず、鉄鋼などの金属でも成立します。
一方で、この加える力を大きくするとばねが元に戻らないことがあります。このような変形を「塑性変形」と言います。
材料力学では、基本的に弾性変形で荷重と変形が比例関係にある場合を考えます。塑性変形についてはまた別の分野とします。
弾性変形において、物体に生じる応力とひずみは「フックの法則」により関連づけられます。正式には「物体に生じる応力とひずみは比例関係にある」という重要な法則です。
垂直応力(σ)と垂直ひずみ(ε)を考えた場合に、
$${\sigma=E\varepsilon}$$
が成り立ちます。ここで、比例定数Eを「ヤング率」と言います(縦弾性係数とも言います)。
せん断応力(τ)せん断ひずみ(γ)についても、
$${\tau=G\gamma}$$
が成り立ちます。ここで、比例定数Gを「せん断弾性係数」と言います(横弾性係数とも言います)。
また、ヤング率Eとせん断弾性係数Gは互いに独立ではなく、ポアソン比を用いて下記のように表されます。
$${G=\frac{E}{2(1+{\nu})}}$$
前に書いた通り、材料力学では弾性変形を前提として話を進めるので、これらの関係式は今後の内容を支える基礎事項とも言えます。
■参考:金属材料のヤング率とポアソン比
棒の応力・ひずみと伸び
まず、内力の符号の扱いについて説明します。下記の図のように、内力が断面に対して外向きに作用する場合を「正」として、内力が断面に対して内向きに作用する場合を「負」とします。それぞれ「引張力」および「圧縮力」と呼びます。
内力の符号に応じて対応する垂直応力の符号も決まります。内力が正の場合は「引張応力」と言い、内力が負の場合は「圧縮応力」と言います。
断面積(A)、長さ(l)の一様な棒の垂直ひずみ(縦ひずみ)は、先ほど説明したフックの法則から解くことができます。
$${\varepsilon=\frac{\sigma}{E}=\frac{N}{AE}}$$
ここで、Eは棒のヤング率です。垂直ひずみの定義式は前回で出しているので、それを用いて一様な棒の伸びを求めます。
$${\lambda=\frac{Nl}{AE}}$$
式を見て頂くと分かるように、伸びは内力(N)の符号で正負が分かれます。正の場合は棒の伸びを表し、負の場合は棒の縮みを表します。
おわりに
今回は応力とひずみの関係式について説明し、そこから求められる変形の導出を行いました。今回の考え方が今後のベースになるので、きちんと押さえて頂けたらと思います。
次回は複雑な事象(条件)に対してフックの法則を適用することで、問題を解いていくことにします。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。
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