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【#30】材料力学の強化書 〜断面二次極モーメントとねじり断面係数〜

今回のトップ画像はフィンランドの首都のヘルシンキにあるヘルシンキ大聖堂です。大聖堂だけあって、神々しい印象を受けます。フィランドを訪れた際は是非立ち寄りたい観光スポットです。

さて、材料力学の話に戻りましょう。

前回より新章(ねじりで生じる変形について)に突入しました。回転が拘束された棒をねじることで、棒の軸線に垂直な面にねじりによる応力が発生します。前回はこの変形(応力)を定量的に求めるための式展開まで追いました。

今回はねじり断面係数と断面二次極モーメントについて説明します。以前に曲げの問題で「断面係数」という概念が登場しましたが、基本的な考え方はこの時と同じです。以前の復習も兼ねて見て頂けたらと思います。

断面二次極モーメントについて

前回の復習です。ねじりモーメント(T)が作用する棒のねじり角(Θ)は、次式のように求められます。

$${\theta=\frac{T}{GI_p}}$$

ここで、右辺の分母を「ねじり剛性」と言いました。ねじり剛性を決める定数は主に2つあります。

・横弾性係数:材料固有の固さ
・断面二次極モーメント:断面形状で決まる固さ

ここで登場する定数が断面二次極モーメントです。断面における微小面積を積分することで求められます。

$${I_p=\int r^2dA}$$

この辺は以前に扱いました「断面係数」の話に似ています。登場する定数が異なるだけで意味は同じです。これも復習ですが、横弾性係数はヤング率とポアソン比から計算することが可能です。

$${G=\frac{E}{2(1+\nu)}}$$

断面二次モーメントと断面二次極モーメントの違いですが、断面二次モーメントは軸線と部材の回転軸の方向が異なる場合に相当し、断面二次極モーメントは軸線と部材の回転軸が一致する場合に相当します。

ねじり断面係数について

ねじりにおけるせん断応力(せん断ひずみ)は中心軸からの距離rに比例しますので、棒の表面で最大値をとります。

中心軸から表面までの距離をRとするとき、最大せん断応力はとなります。

$${\tau_{max}=\frac{TR}{I_p}=\frac{T}{Z_p}}$$ , $${Z_p=\frac{I_p}{R}}$$

この時の定数(Zp)をねじり断面係数と言います。断面係数の時と同じで、変形抵抗の大きさを意味しているので、この定数によりねじり(量)の定量的な大きさが決まります。

円形断面の断面二次極モーメント

円形断面における断面二次極モーメントを求めてみましょう。今回は上記の図でdrで囲まれた微小面積を利用して、全体に渡り積分します(この円周上ではねじりによるせん断応力は同じであることに注意します)。ここで言う微小面積とは、

$${dA=2{\pi}rdr}$$

であり、これを先ほどの断面二次極モーメントの定義式に入れると、

$${I_p=\int r^2dA=2{\pi}\int^R_0 r^3dr=\frac{\pi}{2}R^4=\frac{\pi}{32}D^4}$$

となります。断面二次モーメントと断面二次極モーメントの違いは先ほど説明しましたが、円形断面のように中心軸から見て対称形状であるときは、他の軸回りの断面二次モーメントは同じなので、

$${I_p=I_y+I_z=2I_z}$$

が成り立ちます。つまり、円形断面の断面二次モーメント(今回はz軸回りの値を求めます)は下記の通りになります。

$${I_z=\frac{I_p}{2}=\frac{\pi}{64}D^4}$$

ねじり断面係数(断面二次極モーメント)の求め方については、工学便覧など大抵の専門書に記載されているので、それを利用するでも良いです。

おわりに

今回は断面二次極モーメントとねじり断面係数について説明しました。これらは専門書などに求め方が書いてありますが、個人的には簡単な形状は自力で導出できるようにした方が良いと思います。

次回は実際に例題を解くことにします。ここでねじりの変形の感覚を掴んで頂けたらと思います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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