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【#16】材料力学の強化書 〜材料力学で利用する微分方程式について〜

今回のトップ画像は東京国際フォーラム内部の撮影写真です。こうして見ると、かなり近代的な印象を受けますね。ガラス張りの迷宮みたいですが、非常に複雑な構造をしているので、確かな設計も求められているかと思われます。

さて、材料力学の話を進めましょう。

前回は機械設計を行う上で重要な「安全率」という言葉について解説しました。実際に設計の問題に携わる場合は避けて通れない指標です。

今回は以前に説明した「微分積分」の復習の第2弾になります。微分積分の基本的な話についてはこちらの回に任せるとして、今回は発展編となる「微分方程式」について見ていきたいと思います。

今後の単元で必ず必要となる分野になります。大学で習うレベルの数学の話にはなりますが、なるべく分かりやすく書きたいと思います。

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微分方程式とは

皆さんがご存知の方程式と言うのは、何かしらの変数で表された数式に対して、その解が数値として与えられていたかと思います。

$${{x^2}-4x+4=0}$$

上記の2次方程式ではx=2が解になります。このように、等式を満たすような数値を見つけることができれば方程式が解けたと言えます。

この話を踏まえて続けますが、微分方程式は解が数値ではなく関数となります。つまり、等式を満たすような関数を見つける必要があります。そして、関数の微分形が必ず含まれるような方程式になります。例えば、yがxの関数であるときに、下記のような形で書かれる方程式のことを指します。

$${y'=\frac{dy}{dx}=2x+1}$$

この微分方程式は比較的に単純で、左辺の関数yを微分すると右辺(2x+1)の形になるという意味です。そう考えると、解(関数y)は高校で学習する微分積分の知識で導くことができます。右辺を不定積分すれば良いのです。

$${y={x^2}+x+C}$$

ここで、Cは積分定数です(この積分定数の存在が微分方程式では重要です)。このように、等式を満たすような方程式(関数)を見つけることができれば、微分方程式が解けたと言えます。

特に、解が1変数関数となる微分方程式のことを「常微分方程式」と呼びます。2変数以上の場合は「偏微分方程式」と呼ばれますが、材料力学では特に扱うこともないので、常微分方程式に的を絞って話を進めます。

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一般解と特殊解

微分方程式で扱われる用語はいくつかありますが、特に工学で重要となるのが「一般解」「特殊解」です。

一般解とは任意定数Cを含んだ解のことを言います。この一般解の任意定数の数は積分を実行した回数で決まります。例えば、先ほど示した微分方程式では積分は1回でしたので、積分定数も1個でした。それに対して、

$${\frac{{d^2}y}{d{x^2}}=6x+2}$$

のように2階微分を伴う場合は積分定数も2個になります。この微分方程式の意味も2回の微分で右辺(6x+2)の形になるということですので、一般解は右辺を2回だけ不定積分することで求まります。

$${y={x^3}+{x^2}+{C_1}x+C_2}$$

出てくる微分の階数に応じて、1階もしくは2階微分方程式と呼ばれます。そして繰り返しになりますが重要なのがこの積分定数。工学では初期条件や境界条件に応じて積分定数を求めることになります。

例えば、上記で求められた一般解に対して、次の境界条件を設定します。

$${y(0)=0}$$ , $${y(1)=0}$$

境界条件に従うと、

$${C_1=-2}$$ , $${C_2=0}$$

となることが分かります。これにより、

$${y={x^3}+{x^2}-2x}$$

が改めて求まります。このように、積分定数に数値を適用した解を「特殊解」と呼びます。

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一般解は、言うなれば無数にある曲線(解)を表しています。初期条件や境界条件を適用して特殊解を求めるというのは、無数にある曲線群の中から条件に合う1つの曲線に絞ることを指しています。

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基本的な微分方程式:直接積分形

既に例題として触れていますが、1階の微分方程式が下記の形をしている場合を直接積分形と呼びます。

$${\frac{dy}{dx}=f'(x)}$$

この場合の一般解は積分定数Cを用いて、

$${y=\int{f'(x)dx=f(x)+C}}$$ 

と導くことができます。今後の単元で登場する微分方程式の形としては、これが最も多いと思われます。

2階の直接積分形も登場することがありますが、やり方は同様です(2回同じ作業を行うだけです)。従いまして、この形を覚えておけば、材料力学で使う微分方程式としては概ね完了です。

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おわりに

今回は材料力学で使われる微分方程式に関して、初歩から解説しました。主に使われるのが、先の直接積分形ということなので、まずはそちらを頭に入れておいて頂ければと思います。

今回は以前に紹介した微分積分の発展編ではありましたが、高校数学の範囲で収まる内容でもありますので、ぜひ理解して頂けたらと思います。特に不定積分として扱うことがミソになるので、そこは注意が必要です。

今回は基礎的な内容がほとんどなので、より詳しい内容を知りたい場合は、別途書籍を当たって頂けたら嬉しく思います。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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