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機械力学から物体の運動を学ぶ

機械工学系の大学(学部)に進学すると必ず通ることになる、通称「4力学」について。機械力学・熱力学・流体力学・材料力学の4科目を指します。

前回はその4力学から「材料力学」について紹介しました。物体の「変形」について、理論的にまとめられた科目です。

今回は「機械力学」について紹介します。機械力学はその名の通り、機械動作により生じる力を扱います。

機械動作はカムやリンク、歯車などの機械要素の力の伝達を扱う機構学、センサーやアクチュエータなどに関する自動制御学など幅広い分野があり、機械力学はその基礎(土台)とも言える科目になります。

高校の物理学の延長線上にある内容も多いので、比較的に序盤に登場する科目でもあります。復習として見てみるのも良いかと思います。

機械動作の基本と前提

機械力学は、ニュートンの力学で言うところの「剛体力学」の話題が中心です。つまり、変形しないもの(剛体)の運動を扱うことが前提です。

機械力学で扱う問題は「静力学」「動力学」に大別されます。静力学は、動かない物体に働く力の釣り合いを扱います。また、動力学は、物体の動作による力の関係を扱います。

静力学における力のつり合いとは、物体に多数の力が働いても平衡が保たれて、その物体が動かない状態のことを指します。つまり、力とモーメント(回転)の合力がゼロになることを意味します。

一方、動力学では物体にかかる力と物体の加速度を関係付けて、物体の挙動を求めます。いわゆる、ニュートンの第二法則(運動の法則)を使います。

もちろん、ニュートンの第一法則(慣性の法則)や第三法則(作用・反作用の法則)も登場します。

力をはじめとした物理量には「スカラー量」「ベクトル量」があります。前者は質量や面積など大きさのみで表される量のことで、後者は大きさと方向で表される量のことを言います。

力はベクトル量なので、理解するには線形代数の考え方が重要になります。ここも注意が必要です。

振動で機械力学の真価が発揮される

振動とは、物体が一定の時間間隔をおいて、平衡状態を中心として繰り返し変動する現象のことを言います。つまり、一定間隔の間を一定時間で物体が往復するような状態を言います。

例えば、ばねにおもりをつけた後に引張りを与えて離すと、おもりが上下に振動します。振動はこのように質量をもつおもりとばねで構成される系として扱うのが一般的です。

振動の発生はねじの緩みを起こしたり、機械性能に影響を及ぼすなど、重大な損失に繫がります。機械はこの振動を抑えるために、様々な工夫が施されています。例えば、自動車は走行時に発生する振動を抑えるために、ダンパーや防振ゴムなどが用いられます。

また、外部から力を加えなくても振動を起こす現象があります。このような振動のことを「固有振動」と言います。特に、物体が持つ固有振動数と同じ振動を外部から受けると、物体は大きく振動します。これを「共振」と言います。

固有振動数を求めることは、機械設計を行う上で非常に重要です。例えば、洗濯機がガタガタと大きな音をたてて揺れることがあります。これは共振によるもので、破損の原因に繋がります。

つまり、機械は運転範囲において共振が発生しないように設計されます。このような問題に対しても、機械力学からアプローチします。

おわりに

今回は機械力学という科目について、基本的な概要と用途を説明しました。高校生レベルの物理(力学)の知識と高等数学の知識が必要になりますが、4力学の中では最もハードルは低いかと思います。

昨年にこの辺の話を書いた際に、使用していた参考書を残しておきます。機械振動の話題に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

4力学を理解する上で、数学の知識は不可欠です。この辺は好き嫌いが分かれそうですが、理系方面を突き進んできた私としては、着実に理解することで楽しさを覚えることばかりでした。

専門性の高い話題ではありますが、周囲に受け入れられる形で広まれば、書いた身にしても嬉しく思います。

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