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【#05】材料力学の強化書 〜応力とひずみの定義について〜

今回のトップ画像は、福岡県大川市にある昇開橋のライトアップです。

複数の棒状の部材を互いに軸力(棒の軸方向に作用する力)を伝えて、モーメントは伝えないように連結した構造のことを「トラス構造」と言います。一般的に部材をコンパクト(軽量的)にした設計が可能で、汎用性が高い構造形式のひとつです。

詳しくは構造力学の言う分野がありますので、そちらにお任せするとして、材料力学の話を進めましょう。

前回は高校数学で学習する微分積分の復習と、材料力学における微分積分の使い方について説明しました。

今回から材料力学の本格的な話に入ります。まずはこれまでに何度か登場した「応力」に関する説明と、一般的な形態について話を進めます。

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応力の基本形態は2種類

まずは「応力」の定義に関して確認しましょう。物体に外力が作用して、静力学的なつり合いの関係を満たしているとします。物体は静止している訳ですが、物体の内部では外力に抵抗しようとする力が発生します。

材料力学_#05_01

この外力(変形)に抵抗しようとする力を「内力」と言いました。そして、内力を単位面積当たりに換算した形を「応力」と定義しました。

物体の変形状態に応じて様々な応力の名称が存在しますが、本質的には垂直成分とせん断成分の2種類しかありません。それぞれ、垂直応力とせん断応力という呼び方をします。

材料力学_#05_02

この2種類が基本となりますので、ここできちんと理解しておきましょう。

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せん断応力の共役性

物体がせん断応力を受けると、物体内部の微小部分では左右面に加えて上下面にも同じ大きさの応力が発生します。これを「せん断応力の共役性」と言います。

具体的に下記の図のように、物体がせん断応力を受けたときの微小部分の応力がどうなるかを考えます。

スクリーンショット 2022-01-16 13.25.03

まず、微小部分の左右の面のせん断応力が同じであると考えると、並進方向の力のつり合いは保たれますが、モーメントのつり合いを保つことができません。このままでは回転運動が発生することになります(図のように大きさが同じで向きが逆の一対の力の組を「偶力」と言います)。

次に、上下面に左右面と大きさが同じで向きが逆の偶力を作り出すようなせん断応力が発生している場合を考えます。この状態では微小部分は並進方向の力のつり合いだけでなく、モーメントもつり合いがとれることが分かります。

偶力に関してはあまり話をしてきませんでしたが、モーメント(回転運動)を考える上では重要な力のひとつなので、ここで押さえて頂けたらと思います。

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ひずみの定義

物体の変形量を無次元量で表した値を「ひずみ」と言います。応力の時と同様に、本質的には縦・横ひずみとせん断ひずみに分けられます(縦ひずみのことを垂直ひずみと呼ぶこともあります)。

下記の図のように、任意の棒に荷重を与えます。棒は軸方向に伸びると同時に、軸の直行方向に収縮します。それぞれの方向のひずみを縦ひずみ(垂直ひずみ)、横ひずみと呼びます。それぞれの定義(式)を図の横に記載しましたので、確認してください。

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縦方向と横方向のひずみの比を「ポアソン比」と言います。これは材料により決まる固有の値です。

また、せん断ひずみについても同様です。せん断方向に荷重を与えると、下記のようにずれを生じます。このずれた量を長さ(l)で除した値をせん断ひずみと呼びます。なお、変形角(Θ)の単位はラジアンです。

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そして、物体の体積の変化についてもひずみが定義できます。物体の元の体積をV、変形前後の体積の変化分をΔVとすると、

$${{\varepsilon}_V=\frac{{\Delta}V}{V}}$$

と表されます。この無次元量を「体積ひずみ」と言います。特に証明はしませんが、体積ひずみは3軸方向の垂直ひずみの和で表されます。

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おわりに

今回は応力とひずみの定義について説明しました。今後で式的な話に入る前に、まずは応力とひずみのイメージを付けることから始めてみました。

今回説明した応力とひずみの関係は式的に結びつけることができます。この辺は次回で進めます。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。実際は非定期ですが、毎日更新する気持ちで取り組んでいます。あなたの人生の新たな1ページに添えるように頑張ります。何卒よろしくお願いいたします。

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