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解析学の基礎である微積分の話 -5-

前回に引き続き「解析学」をテーマに書きます。解析学は数学を構成する大きな分野のひとつで、高校数学で学習する「微積分」を本格的に紐解いたものです。

前回は微分方程式で物理モデル(減衰自由振動)の挙動を理解することに取り組んでみました。

ところで、前回までは1変数関数(1個の変数で値が決まる関数)で話を進めてきました。しかしながら、一般的な関数は多変数関数(2個以上の変数で値が決まる関数)であることが多いです。

解析学に関するシリーズの最終回となる今回は、多変数関数による微積分(偏微分・重積分と呼びます)の話をします。

偏微分について

今回はひとまず2変数関数で話を進めます。偏微分を端的に言うと、ひとつの変数に着目しながら、その他の変数は「定数」と見做して微分することです。計算は複雑になりますが、本質は1変数の微分と変わりません。

そもそも、微分の意味は変数が微小量だけ変化したら関数(値)がどれだけ変化するかを調べることです。このことが「傾き」という言葉に繋がります。偏微分もその点は同じです。

一般的に1変数関数は2次元の曲線を表しますが、2変数関数は3次元の曲面を表します。2変数関数のある点における偏微分係数は、曲面上の同点で接する平面の傾きという意味になります。

重積分について

重積分に関してもポイントは偏微分と同じで、対象以外の変数は「定数」と同様に扱います。ただし、積分範囲は2次元空間のある領域として現れるので、その点は注意が必要です。 

一般的に1変数関数の積分は、2次元の曲線がある区間で切り離された際の面積を表していました。2変数関数の重積分(2重積分)は、3次元の曲面がある領域で切り離された際の体積を表しています。

2変数関数の微積分を説明してきましたが、私たちが認識している空間は3次元ですので、物理現象の定式化には多変数関数がよく用いられます。例えば、ある物理量が3次元空間の位置の関数であ場合は、それは3変数関数として定義されます。

おわりに

今回は多変数関数の微積分(偏微分・重積分)を扱いました。私が生業とする数値解析の分野でも、多変数関数を扱うことは多いです。繰り返しになりますが、それは3次元空間が生態のベースになるためです。

今回で解析学に関するシリーズは一旦終わりです。私たちは数学をあくまで道具として扱いますが、その利便性は既に証明されている通りです。これからさらに発展していくことでしょう。

数学の世界はまだまだ興味が尽きません。今回を通して皆さまが数学(解析学)に興味を持つキッカケになれたら幸いです。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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