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Art,walk to me. | アート鑑賞と多様性をめぐるとある市民たちのはなし。vol.5

ーーこの企画は、鹿児島市主催の講座「カルチャークリエイター講座」のプログラムの一環として企画・運営されています。

どうもモトです。アラフォーの会社員です。いよいよ11月19日(日)に「アートが歩いてやってくる」を世界にお披露目します。
     加治屋まちの杜公園 11:00-15:30
     天文館本通り 16:30-17:30
      ※雨天時は天文本通りのみで1時間だけの開催
   ※無料
アート鑑賞を鹿児島の皆さんの生活にもっと身近に・・・という大変お節介な思いで始まったこの展示企画、この記事ではそんな思いに込められた私の話に少しだけお付き合いください。


アートから遠い町に生まれて

私の生まれ故郷は、私が成人になるまでギャラリーやアートに触れられる場所がほぼなかった記憶です。田舎すぎるが故の意味不明なモニュメントや銅像もありませんでした。なのに私は何故アート鑑賞が好きなのでしょう。

子供の頃、外からの情報といえばテレビ・漫画・ゲーム・CDでした。今でこそアートと言える作品もありますが当時は単なる娯楽でしかなく、私もそれらをアートだとは思っていませんでした。だけどこれらはクリエイティブによって生まれたもの、ということは確かでした。

私が小学生の頃ビックリマンシールが最盛期でした。「達急動、にゃおーん」と全く速くない、むしろ鈍足で主人公のヤマト王子ごっこもしました。
※達急動(たっきゅうどう)とは高速移動するヤマト王子の必殺技のひとつ

捨てられずにいるビックリマンシール

このヤマト王子、実はモチーフが神話のヤマトタケルとヤマト運輸(クロネコヤマト)から来ているキャラクターなのです。私は子供ながらにヤマト王子からこの二つの情報を知ることになりました。ビックリマンシールのキャラクターからは十二支も七福神も覚えました。無縁仏や魯迅など難しい単語や偉人も覚えました。
調べてみたら世界観が深まり、いろんなところに興味が広がり、そして楽しみました。ビックリマンシール・・・侮れないです。

「気になるものから世界が広がっていく」
この構造、アート鑑賞と全く同じではないでしょうか。

アートが好きだなんて言えない

先日甥っ子の文集に甥っ子がプロゲーマーになりたいという夢を書いていました。その話を本人にしたらめちゃくちゃ恥ずかしそうにしていました。ビックリマンシールを作る人やCDのジャケット写真を撮影する人になりたいと思っていた子供時代の私といったら、文集にも書く勇気もありませんでした。だから甥っ子はなんだかんだですごいんです。

高校生・大学生と成長するにつれてアートやクリエイティブなことに惹かれながらも、親の言う通り公務員を目指すようなルートで地元の大学へ私は進学しました。もう少しアートやクリエイティブなことが好きであることを声に出していたら、動き出していたら、進学も芸術やデザインの道を歩んでいたかもしれません。今考えると高校で遅れて美術部に入り、大学で写真部に入ったのは精一杯の意思表示だったのかもしれません。(将来のやりたいことが定まらず人より遅れて社会人になるという遠回りもしました。)

私の思い込みかもしれないし、風土による刷り込みかもしれませんが、鹿児島の片田舎では当時、そこにない仕事に夢を見ることは、「現実を見ていなくてかっこ悪い」という価値観があったように思います。

アートが好きな自分に、酔いしれろ

気づけば今私は、公務員への道は選択せず、IT企業でUXデザイナーをしつつ、写真家としてアートフォトを撮り、アートプロデューサーとしても活動しています。ワークショッパーとして場作りをしたり、グラフィックレコーディングで副業をしたり、なんだかクリエイティブでアートに距離が近い人生を送っています。

アート活動をしていると、もちろん応援者もいっぱい現れるけど、馬鹿にされることも、悪く言われることもまだあります。去年鹿児島で個展を開いた時には嫌がらせも受けました。
私個人で言えば、‟アートやクリエイティブが好きな自分”がとにかく好きで、そんな自分に酔いしれていることがモチベーションなのかもしれません。だけど「自分を好きになること」を他の誰かに邪魔されてなるものでしょうか。

展示会の企画・運営・出展までやってます/写真は出展メンバと

今回のイベントは私が私を好きになる手段のひとつとしての「アート鑑賞」を皆さんのところまで歩かせて、体験して欲しくて企画しました。コンセプトを持ったアートドレス三体が会場を回遊します。好きな作品の腕に「いいね」の代わりに毛糸のリボンを巻いて、コンセプトの説明を聞き、一緒に写真を撮って楽しんでいただけたらと思います。

アートが好きなくせに、まだ好きって声に出して言えない誰かさんが、「アートが好きだ」「アートが好きな自分が好きだ」と告白できる後押しをしたいと思っています。その告白は必ず両思いになれます。


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