アルスシムラ講師ブログ「日日」にちにち

京都嵯峨にある芸術学校アルスシムラの講師ブログです。アルスシムラは染織家 志村ふくみ・…

アルスシムラ講師ブログ「日日」にちにち

京都嵯峨にある芸術学校アルスシムラの講師ブログです。アルスシムラは染織家 志村ふくみ・志村洋子が創造した染織の世界を芸術体験を通して学ぶ場です。「私が染めて、私が織って、私が着る」ー染めと織りの日々をお伝えしていきます。https://arsshimura.jp/

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ブログ移転のごあいさつ

2022年4月、アルスシムラは開校から10年目を迎えました。 これまでアルスシムラにお集まりくださった方々とのたくさんの出会いとご縁に深く感謝しております。 10年という節目に、「note」へブログを移転することにいたしました。 二度とない「日」と「日」がつづく毎日を、また、アルスシムラに集う方々がつむぎだす色や音が、ここちよく響いている秘密を、少しずつお伝えしていきます。 改めまして、どうぞよろしくお願いいたします。 アルスシムラ 講師一同

    • 秋から冬へ

      彩り豊かな嵐山の山並みから少しずつ葉が落ちてゆき、 嵯峨野は冬を迎えようとしています。 嵯峨校では、本科の年間の集大成、 着物の制作が進行中です。 着物を織るためには、 まず生徒さん各々がイメージをふくらませ、 デザインをします。 デザインに添うように、糸に色を染めて、 着物が織れるように、経糸・緯糸の準備をしていきます。 染めている時、 糸を準備している時、 織り始める時。 想像以上のものが現れて感激したり、 想定外のことが起きて驚いたり、 全てが一期一会です。

      • 織り始めるまで

        秋を味わう間もなく急にやって来た寒さの中、嵯峨校では卒業制作の準備で熱気の漂う日々が続いています。 気持ちは早く織り始めたいと先を急ぎますが、そこまでの準備の大切さを理解してひとつひとつ丁寧に作業を進めています。 今回はその作業内容をご紹介したいと思います。 染めた経糸は毛羽立ちを抑えるために糊付けをします。ふのりとしょうふを溶かして混ぜた糊液の中に綛を浸漬して糊付けします。 この時期は大量に使うので糊づくりも皆で行います。 糊をつけた経糸は木枠にあげます。五光を使う方法

        • 収穫祭

          ナンキンハゼや銀杏、ケヤキなどが少し色鮮やかになってきて、暖かい中にも秋の気配を感じます。 気持ちの良い青空が広がり、染め日和。 予科の授業前、清凉寺で待ち合わせてドングリ拾いをしました。 鈴なりの樫の木の下で拾っていると、あちこちからドングリの降る音がします。夢中で拾った大小さまざまなドングリからどんな色が出るのかと、教室で早速炊き出しました。 「親子染め」なんて言いながら、ドングリのなる白樫の枝葉も炊き出して、 隣り合わせで見比べながら染めてみます。親の白樫より少しし

          初秋 パワー全開

          秋とは名ばかりの蒸し暑い日々が続いていますが、嵯峨校では1年生も2年生も暑さに負けず各々の作業に熱気を増しています。 秋の訪れで行った裏庭の剪定で刈り取られた植物の一部は、色として新たなプレゼントとなってくれます。 1年生が初めて織った白生地を洋子先生や昌司先生、宏先生、そして仲間に披露する会が開かれました。 一本の糸が裂になっていくことを実感する最初の一歩となった裂です。 白の経糸に色に導かれて色糸を入れていくことで自らのイメージが表出する経験をされた生徒さんもいました。

          夏休み

          8月。 アルスシムラの本科の授業は夏休み。 授業がお休みの間、嵯峨校では染めと織りのワークショップを開催しました。 夏の時期のワークショップは久しぶり。陽ざしに負けず華やかに咲いている百日紅で、織り入れる糸を染めました。 どんな色も受け入れてくれる百日紅の穏やかなベージュと、赤味のあるグレー。その色をベースに様々な色を一本一本響かせるように織り入れる方。イランの砂漠やモスク等、物語のように織り入れる方。織が初めての方も何回目かの方も、その人の人柄が機の上に色やリズムとなっ

          夏の始まり

          7月に入り、京都の街中では祇園囃子が響くようになりました。 お祭りの華やかな雰囲気が高まってきています。 いっぽう嵯峨では夕立ちが増えて、夏が間近に迫っている気配を感じます。 アルスシムラでの夏の染色といえば、藍の生葉染め。 青々と茂った蓼藍の、葉だけを取って、染めに使います。 葉を揉みだすうちに緑みの液ができ、白糸を浸けると 鮮やかな水色が染まります。 本科はまもなく夏休みです。 今年はどんな夏になるのでしょうか。 アルスシムラでは2023年度通信科 秋期生徒を

          甕の中の宇宙

          2023年度の藍建てと藍染めが始まりました。 アルスシムラでの藍染めを始めて以降、回数を重ねてきましたが、何度目でも初めての染めまでは緊張が続きます。 初染めを経て、一安心。 染まる色、香り、ときおり味見しながら、 深い闇のようでもあり、宇宙のようでもあり、どこか胎内でもあるような藍甕をのぞき込み、かき混ぜて見守っていきます。 染めては休み、休んでは染めて、 ”藍さん”と過ごす日々が続いています。 アルスシムラでは見学会を開催しています。 また、2023年度秋期

          2023年度本科授業 始まりました

          オガタマの花が香るなか、新年度本科授業が始まりました。 1年生の初めての染め。 最初の染料は、校舎近くで採取したノニンジン。 媒染で現れる色に歓声が上がったり、 まぶしい陽ざしに糸をかざしてみたり。 「今日この時」染まった色は、「今日この時」だけの色。 期待と緊張の中、五感を使いながら、染めていきます。 いっぽう、2年生はそれぞれにテーマと計画を立て、制作を進めています。 これから始まる1年間。 どんな”出会い”が待っているのか、楽しみです。

          2022年度アルスシムラ卒業制作展を開催しました。

          2023年3月10日から12日まで、京都府京都文化博物館にて、2022年度アルスシムラ卒業制作展を開催しました。 1年間、もしくは半年の集大成としての作品が科を越えて一堂に並び、「今のアルスシムラ」を体感できる空間になりました。 また、アルスシムラ卒業生も数多く訪れ、在校生と卒業生との貴重な交流の場のひとつとなりました。 晴天と、春を思わせる暖かさに恵まれ、最終的には3日間に650名を超えるお客様にご来場いただくことができました。 ご来場くださった皆様、開催にあたり支え

          2022年度アルスシムラ卒業制作展を開催しました。

          卒業制作展に向けて

          馬酔木(あせび)の花が咲き、寒さのなかにも春が訪れています。 アルスシムラでは、3月11日から始まる卒業制作展に向けて、織り上げた着物を仮仕立てする追い込みの日が続いています。 洋服が主の現代、和裁に親しむ機会が減りつつあります。 それでも、生徒さんたちは自分で一針一針縫うことで、着物になっていく行程を体験していきます。 互いに縫いながら、着物は着ていても、細部まで意識せず着ていたことや、本仕立てを縫う職人さんの技に改めて感心する話になります。 日本の染織文化を体験していく

          立春

          嵯峨は冷え込みの厳しい、最も寒い時期を迎えています。 いっぽうで、雪が降るたび、厳しい寒さを感じるほどに、やがて来る春を思うようにもなります。 本科の校舎では、日々機音が響き、着物が続々と織りあげられています。 着物を織り終え、伸子をはり、裁ち合わせ、仮仕立てを終えたら、ひとつの区切りを迎えます。 一方で、つぼみのついた梅を染めたり、ミモザの枝を染めてみたり。 はたまた、次の制作を考えて、準備を始めてみたり。 染めと織りが積み重なり、繰り返し、終わりなく続いていきます。

          裂を裁つ

          大寒を過ぎたころ、強い寒気の影響で各地で大雪となり、アルスシムラ嵯峨校にも今までにないくらいの雪が積もりました。 日ごろ見られない嵯峨野の白銀の景色に包まれ、生徒さんたちは卒業制作展に向けて織る日々です。 着物を織り終え、機からおろし、伸子張りをして裂地を整えると、裁ち合わせをします。織りあげた長い反物に、着物の部位ごとにはさみを入れていく作業を裁ち合わせと言います。 この裁ち合わせで仕上がりの印象が大きく変わります。誤ってはさみを入れると、着物のデザインに大きく影響する

          新年会

          久しぶりの雨模様。小倉山には朝靄がかかり、この時期にしては暖かな日が続いています。 新たな年が始まり、本科・特別コースの生徒と講師一同で、岡崎の細見美術館に集いました。着物姿の方も多く晴れやかな表情でさざめきながら、「細見コレクション 江戸時代の絵画」の鑑賞をして、東山が一望できる三階のお茶室『古香庵』へ。 新年らしい福鈴や仏手柑などの床飾りも美しく、福々しい花びら餅を頂き、一服のお茶を共にしました。 ご自身が織ったり、ご家族や大事な方から譲り受けたお着物や帯、お気に入

          「ワクワク」~心情のいろ~

          冬の柔らかな日差しが射し込む予科の学び舎。 それぞれの機には、桜で淡く染めたピンクやグレーの縞の経糸や白糸がかかり、緯糸も皆で染めた季節の色が手元に揃いました。 自分にとって大切なことを言葉にすると、仲間にも情景や時間、気持ちが伝わります。でも、機の上で色として広がった時、言葉よりも豊かに織り手の感性を分かち合うことができます。心にぴたりとくる色を追いかけて織るうちに、織り手自身がハッとすることも、心が軽くなることも、深みにはまることも、誰かと繋がることも、思いがけない心の

          飛び立つ時に向かって

          12月に入り、嵯峨の山並みは、 紅葉の彩りから冬のたたずまいに変わってきています。 本科の生徒さんは、修了制作の『着物』制作が本格化し、 作業に打ち込んでいます。 着物を着慣れた方も、普段ほとんど着ない方も、 自ら制作するのは初めて。 まずは、 「どんなものを作りたいか?」 イメージを持つところから始めて、 図面に起こし、実際に糸を染めて、準備を進めてきました。 機に糸をかけて織り始めたら、今度は、 「どんな色の緯糸を織り入れようか?」 試行錯誤の連続です。 着物制作の