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成長し続けること(勝ち続ける意志力)

こちらは、友人との読書会で読んだ名著や流行書を人に勧める形で紹介してみる記事です。

今回ご紹介する本

梅原大吾『世界一プロ・ゲーマーの「仕事術」 勝ち続ける意志力』です。ギネスブックにも載った”ウメハラ”の愛称で知られるプレイヤーの自伝本になります。

本書も前回の『ケーキの切れない非行少年たち』を推薦した友人による選出になります。

プロ・ゲーマーの先駆者として、私たちの世代に親しみ深いウメハラ。ゲームが「単なる遊び」や「頭が悪くなる」と言われた時代で、私たちのようなゲーム少年にとって、好きを仕事にした彼は煌々と輝く一筋の光のようでした。

彼はなぜゲームで世界一を目指し、どのようにして成し遂げたのか。興味津々で私たちは本書を手に取りました。

一言でいうと何?

本書『勝ち続ける意志力』は、著者の人生とゲームを通して、「勝つこと」ではなく「勝ち続けること」の秘訣を解説してる自己啓発本です。

先に言っておきますが、私の読んだ本の上位10%には入るであろう良著です。ゲームに関する専門用語はほぼ出てこないので、「ウメハラ」や「ゲーム」に馴染みのない人でも、気軽に楽しめるかと思います。

全容はどんなもの?

前半では、著者がゲームを好きになり成長し続け、どのようにして世界的プレイヤー”ウメハラ”となったのか。また、その裏に存在する「勝ち続ける」ための姿勢が綴られています。

後半からは、世界一となったウメハラの苦悩と一時的に表舞台から姿を消した真相について、彼の思考の変化とそのとき得た教訓について共に振り返られています。

他の本と何が違う?

一般の自己啓発本は、「〇〇をすべき」「〜〜したければ、〇〇はするな」などの主張が文脈なく列挙されているイメージがあります。

それに対し本書は、「勝ち続ける」ことに焦点を当て、著者の人生で得たいくつかの糧が文中で主張されます。そのため、それぞれの教訓がストーリーとして飲み込みやすく、納得しやすさ・共感しやすさという点で非常に優れています。

キモは何?

端的に言って、「成長をだけを追い求める強さ」です。

好きなものを仕事にするとかしないとか、よく議題にされるテーマです。でも、好きなものってどうやって見つけるの?このような悩みを持つ人ってたくさんいると思います。私もその中のひとりに違いありません。

ウメハラも例外ではなかったそうです。しかし、世界一の看板を背負うようになったいま、彼は誰よりも自信を持ち、数々の若者から投げかけられる同様の疑念にも一つの明確な指標を向けています。

(バンドマンに対して、)メジャーデビューできなくてもいいという覚悟と熱意があるならば、そのことと向き合い続ければいい。けれども、その覚悟がないならば、「ただ単にチヤホヤされたいだけならやめたほうがいい」と、苦言を呈するかもしれない。

何を目指していても、いつか誰かに努力を認めてほしいものです。たとえば、何かでいい成績を修めるとか、何かの職業になるだとか。それはもちろん悪いことではありません。

ただ人の評価をモチベーションにしてしまうと、勝ちやすいセオリーや一夜漬けなどの楽な道に頼ってしまいます。そのような人はイージーな勝ち方を知っていると言えますが、勝ち続けることはできません。

著者は成長し続けることだけを目的にしてはじめて、勝ち続けることができると言います。成長には成功も失敗もあります。それに耐え得る涅槃のような精神こそが本書の最も重要なメッセージであると感じました。

議論:トップを目指す努力とは

何(WHAT)をなぜ(WHY)追い求めるのかについては前節で触れましたが、私が個人的に印象的だったのは以下のどのように(HOW)の部分です。

これまでの経験から言えるのは、自分を痛めつけることと努力することは全然違う、ということだ。(中略)考えることを放棄して、ただ時間と数をこなすのは努力ではない。それはある意味、楽をしているとさえ言える。

「量より質」とはよく言われることですが、著者もこのことについて言及してしました。さらに、ただ時間と数をこなすのは楽であるとさえ主張しています。

まさにその通りだと思います。私はこのnoteを読書会のペースに合わせて月3回投稿しているのですが、初期の『サピエンス全史』に関しての感想文は、時間はかけたもののひどい有様でした。一度真剣に読書感想文について分析してみた結果、なんとかマシになっていると思います。

このように日頃の仕事や読書、その他作業において時間と数ばかり重ねていることは数え切れないほどあると思います。これからはウメハラが言っていたことをただの言説で終わらせずに、自分なりに実行して成長して行こうと思います。

普段から自己啓発本を読み漁りセオリーを探し続けている方も、意識の高い感じが苦手であまり読まない方も、「勝ち」を偶然で終わらせたくない方は、ぜひ書店で手にとってみてください。

おわりに

今回ご紹介した本『勝ち続ける意志力』は、アメリカでも英訳され、"The Will to Keep Winning"として出版されているようです。さすが世界のウメハラ。

ところで、日本と海外ってどちらの方が自己啓発本の売れ行きがいいのでしょうか。海外の方はそんなもの必要ないよ!と言いそうですし、逆に哲学や思想に対して積極的でもあるので、さっぱりわかりません。どちらにせよ、ウメハラの書籍は海外の方が売れていそうですね。

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